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【地域で輝く学生vol.29】関西国際大学・神戸学院大学・兵庫県立大学〜震災直後から街頭で活動した、学生たち「トルコ・シリア地震3大学連携募金プロジェクト」

2023年6月現在、2月6日のトルコ・シリア大地震の発生から4ヶ月以上が経ちました。メディア等で現地の様子が報道される機会は少なくなりましたが、今も復興に向けて継続的な支援が必要であることに変わりありません。大学コンソーシアムひょうご神戸では、3月13日から5月31日まで加盟校から義援金を募る活動(「令和5年トルコ地震兵庫県義援金募集委員会」への義援金贈呈式)等を行いました。

発災後、自主的に行動した学生たち

一方で、加盟校の学生の中には地震発生直後から、自分ができる具体的な活動の一つとして、自ら街頭で募金活動を行った学生が少なくありませんでした。阪神・淡路大震災の被災地でもある兵庫県の大学で学ぶ、震災を知らない世代と言われる学生たちも、今、自らできることを考えて様々な活動を展開していたのです。

トルコ・シリア地震発生直後の2月から継続的に街頭募金を行った学生たち
(3月11日、JR「元町」駅前で)

今回の「地域で輝く学生」では、関西国際大学・神戸学院大学・兵庫県立大学で防災教育を学ぶ学生有志が取り組んだ「トルコ・シリア地震3大学連携募金プロジェクト」について紹介します。彼らは、2月6日のトルコ・シリア大地震の発生後、2月18日には神戸市内で街頭募金を速やかにスタート。3月に入っても継続的に街頭活動を続けていました。

東日本大震災から12年目の3月11日も活動

2023年3月11日(土)、青空が広がるJR「元町」駅前の街頭には、10数人の学生たちの姿がありました。多くの人が行き交う駅前で2か所に分かれて、目の前の人々に想いを込めて次のように呼びかけます。

3月11日、JR「元町」駅前で二手に分かれて、呼びかける3大学の学生たち

本日3月11日(土)は東日本大震災から12年目です。日本が被災した際には、海外からも多くの支援をいただきました。今度は我々日本から被災地に支援を届ける番です。皆様の温かいご支援をよろしくお願いします。

2月6日に発生したトルコ・シリア大地震の被災地では、救助活動が困難を極める中、犠牲者はさらに増え続けています。皆様の温かいご支援をよろしくお願いします。

被災地では食料や清潔な水が不足し、十分な医療も提供できない状態が続いています。今後、少しでも多くの方々へ物資が届くように、皆様の温かいご支援をよろしくお願いします。

学生たちの呼びかけ「トルコ・シリア地震3大学連携募金プロジェクト」

14時46分、東日本大震災で犠牲となられた方々に黙祷

2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の地震が発生した東日本大震災。宮城県栗原市で震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県で震度6強など広い範囲で強い揺れが観測され、太平洋沿岸を中心に高い津波が発生するなど、東北各地に甚大な被害が広範囲に及んだ大地震でした。募金活動を行ったこの日、学生たちは発生した14時46分、東日本大震災の犠牲となられたすべての方々に黙祷を捧げました。

「人は優しい」ということを実感できた

当日、初めて募金活動に参加した学生・山本政哉さん(関西国際大学・災害心理学専攻1年生)は、「東日本大震災が起きた3月11日にこの活動に参加することは意義があると考えて参加しました。高校生の時、生徒会活動で募金活動を行った経験はありますが、今日は思いのほか暑くて、街頭で募金をしてくださる人は少ないかもしれないと考えていました。でも、呼びかけていると、心よく募金をしてくださる方が想像していた以上に、たくさんいらして『日本人って優しい』ということを実感できました」と話してくれました。

子どもから大人まで多くの人が、彼らの呼びかけに耳をかたむけていました。学生たちと同世代の若い人たちが募金する姿も印象的でした。

大学間で連携して、『助け合い』をキーワードに

学生有志とともに、当日は3大学の教職員が一緒に活動する姿も。学生たちの募金活動について、関西国際大学の齋藤富雄先生は「今、コロナ禍を経て、学生同士の交流が少ない環境になっています。大学間で連携して『助け合い』をキーワードに、防災を学んでいるさまざまな学生たちが集まり、交流を通じて共に体験する機会があることは大切。これからの学生たちの学びにもつながると思います」と語ります。
被災地支援の活動とともに、コロナ禍での長きにわたる生活を余儀なくされた学生たちだからこそ、共に体験することの重要性があるのですね。

まずは自分ができること〜被災地支援の経緯と想い〜

では、なぜ学生たちは、募金活動を始めたのでしょうか。兵庫県立大学の森永速男先生にお話を伺いました。「被災地を支援する経緯や想いを理解するために、まずは自分ができることとして、学生たちが募金活動から取り組むことは意義があると感じました。この地震の被災地支援は息の長い取り組みになります。まず、被災地ではお金が大切です。学生たちは現地に行くことができないので、募金活動から初めて、今後は勉強会などで被災地支援の様子を学び、防災教育につなげてゆくことができればいいかもしれないですね」と、彼らの活動を見守られていました。

様々な世代の人と交流。募金をしてくださる方との語らいも

街頭では、子どもから高齢の方まで、様々な世代の歩行者が学生たちの募金の呼びかけに耳を傾ける中、募金をされる方と学生たちが語らう姿がありました。また、同世代の若い人たちが小走りに駆け寄り、さりげなく募金をしていく姿が何度も見られたのも印象的でした。
2月18日から学生たちが開始した募金活動による基金の合計は348,270円。全額が『令和5年トルコ地震兵庫県義援金募集委員会』に託されました。そして、兵庫県全体の義援金は土日基金を通じて被災大学生の奨学金として活用されることとなります。兵庫県から土日基金への贈呈に際しては、3大学の学生有志からのビデオメッセージが添えられます。

2023年現在、兵庫県内で学ぶ大学・短期大学・高等専門学校生の多くは2000年以降に生まれた阪神・淡路大震災を知らない世代です。学生たちは、かつて被災地となった兵庫県が国内外から多くの支援を受けたこと、そして東日本大震災で日本がトルコ・シリアの両国からも多くの支援を受けた経験と感謝の気持ちを学んでいるのですね。彼らが街頭で活動する姿を通じて、過去から現在につながる人々の想いや感謝を受け継ぎながら、また新たに、自分ごととして活動に真摯に向き合っていることが伝わってきました。

「トルコ・シリア地震3大学連携募金プロジェクト」参考HP

関西国際大学HP
202302.20「学生有志がトルコ・シリア大地震の緊急募金活動を実施」 
202303.01「三木市役所にてトルコ・シリア大地震の緊急募金活動を実施しました」
202303.14「東日本大震災から12年目 助け合いの想いを胸に『トルコ・シリア大地震の緊急募金活動』を実施しました」 
202303.23「学生有志が実施をした募金活動の基金を『令和5年トルコ地震兵庫県義援金募集委員会』に寄贈しました」

神戸学院大学HP 
2023/02/22「トルコ・シリア大地震被災地支援 学生有志らが募金」
2023/06/01「本学など3大学の学生有志による募金活動で「トルコ地震兵庫県義援金募集委員会」に約35万円を寄託しました」

写真・映像提供:関西国際大学・兵庫県立大学 森永速男
文:大学コンソーシアムひょうご神戸 中水かおる