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企業課題解決プログラム・最終発表(株式会社マルヤナギ小倉屋×甲南大学西村ゼミ)

2024年7月16日(火)、甲南大学5号館508教室にて、㈱マルヤナギ小倉屋(神戸市東灘区)と甲南大学経営学部西村順二研究室3年ゼミ生による、企業課題解決プログラムの最終発表が行われました。
 
西村順二研究室3年ゼミ生は、昨年12月より「兵庫県産もち麦の認知度向上と喫食機会の増加」という課題に取り組んできました。今回はその最終発表として、㈱マルヤナギの担当者にこれまでの活動の成果を報告し、学生たちが考えた課題解決を提案しました。
 
西村ゼミ学生による最終発表 
学生たちは、これまでに取り組んできた課題の分析とそれに対する提案について、中間発表のフィードバック・反省点を活かして「ゴールイメージ」「ターゲット」「ストロングポイント」「戦略提案に向けての仮説検証」「アウトプット(戦略の提案)」「まとめ」の順に発表しました。
・「ゴールイメージ」:“もち麦のある暮らし”
・「ターゲット」:10-20代の若者
・「ストロングポイント」:学生自身のもち麦経験の不足を補うために、
  ゼミメンバー8名が一定期間実食して検証を行った。その結果、スト
  ロングポイントとして「満腹感」「早食い解消」「アレンジが幅広い」 
 「白米の代わりとしても違和感がない」などが導かれた。
・「戦略提案に向けての仮説検証」:戦略提案に向けて、第1仮説「認知
  と購買の非関連」、第2仮説「認知していない新製品の購買において
  SNS等の情報との接触が重要」の2つの仮説を、ゼミ生のSNSでアンケ
  ートを実施し(対象:285名)、検証を行った。その結果、第1仮説に
  ついて、支持される結果が確認され「もち麦を知っている人が必ずしも
  もち麦を買っているわけではない」との結論を得た。また第2仮説につ
  いては、アンケート結果より新製品の購買の基準として「SNSからの情
  報」が51%、「パッケージ」が25%との回答が得られ、新製品の購買に
  おいてはSNS等の情報との接触、製品の外見が重要であることが明らか
  になった。
・「アウトプット(戦略の提案)」:第1仮説、第2仮説の検証結果より得ら
  れた「もち麦自体の訴求による認知向上よりも、もち麦の活用により生
  活を彩ることを訴求するコミュニケーション戦略が重要である」との結
  論に基づいて、①SNSの活用②パッケージの改良③アンテナキッチンカ
  ー④学生が集まる場所での提供、の4点からアウトプット(戦略の提
  案)を行った。SNSの発信方法について、若年層の視聴傾向・特性の考
  察を踏まえて、若者が興味を持てる投稿内容を提案した。また、パッケ
  ージの改良、あらたなデザインや販売手法の提案を行った。
・「まとめ」:‘’まず、もち麦を食べてもらうこと“を入口に、提案したコミ
  ュニケーション戦略を通して、‘’もち麦のある暮らし“から‘’常食化“をゴ
  ールとするストーリーを提示した。

最終発表の様子

企業からの講評・コメント
学生たちの発表を受けて、㈱マルヤナギ小倉屋の溝口様と田中様より講評・コメントをいただきました。お2人からは、
・古い伝統的メーカーとしてどう若者にアプローチしていくかを盛り込んで
 くれた点と若者らしい若年層の分析などは大変参考になった。
・マルヤナギの抱える企業課題の問題点を明確にしていただいた。保存の問
 題については具体的な指摘で的確だった。
・SNSの発信方法の提案はよくまとまっていた。自分が知らないことも多く
 あり、特に購買のアンケート結果については驚いた。
・世代差の考察から、若者に適合した発信と商品の内容の紹介方法、商品の
 QRコード表示とステップを踏んで商品を知っていくプロセスが興味深かっ
 た。
 
など、学生たちの「コミュニケーション戦略」が生活シーンの訴求に焦点をあて、設定したゴールイメージに向けて、段階的で具体的なSNS発信方法等について提案されている点を評価されました。
 
指導教官の西村先生からは、発信方法としての動画・SNSの魅力と特性についてお話があり、SNSマスメディアの活用では、ターゲットやその置かれた環境も考慮して、発信方法を個別に考えなければならない点をコメントされました。
 
最後に学生よりこれまでの課題解決の取組の感想と㈱マルヤナギのお2人に対する謝意が伝えられて会が締め括られました。

最終発表の講評をする㈱マルヤナギの溝口様と田中様
最終発表についてコメントする西村教授
集合写真、西村ゼミのみなさん、西村先生、㈱マルヤナギの溝口様、田中様

所感
今回の最終発表では、約7カ月にわたって学生たちが取り組んだ課題の分析と提案、中間発表の企業視点のフィードバックを反映させた、学生たちの若者目線のSNSを駆使した解決案が成果として具体的に提案されました。若年層の生活スタイルに密着した情報の受け取り方とそこに注目した学生たちの提案には、能動的に情報に接し、合理的に判断する現代の若者像が垣間見える大変興味深いものでした。