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未来からくる演奏家を聴く会 第278回 クァルテット・インテグラ(2020/1/26)

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『未来からくる演奏家を聴く会 第278回 クァルテット・インテグラ』に伺いました。(2020/1/26@山王オーディアム)

桐朋学園の学生により2015年に結成された弦楽四重奏団 Quartet Integra クァルテット・インテグラ」。メンバーは三澤響果さん(1stヴァイオリン)、菊野凛太郎さん(2ndヴァイオリン)、山本一輝(ヴィオラ)、築地杏里さん(チェロ)で、それぞれが国内外のコンクールで多くの受賞歴があります。第8回秋吉台音楽コンクールにて弦楽四重奏部門 第1位、ベートーヴェン賞、山口県知事賞を受賞。サントリーホール室内楽アカデミー第5期フェロー。NHK Eテレ「ららら♪クラシック」にも出演されました。

「未来からくる演奏会を聴く会」は、主催者の宮島将郎さんにより開始されて依頼、20年を経過し、若い音楽家を「聴いて育てる」という趣旨で非営利&ボランティアにより運営されています。今回が278回目、数多くの若手演奏家が巣立っていきました。演奏プログラムは出演者が決めているそうです。

会場の山王オーディアムはJR大森駅から徒歩圏内の閑静な住宅街にあり、天井が高く素敵なサロンホールでした。今回はクァルテット・インテグラを聴くために、約70席の客席が満席となりました。

プログラムはモーツァルトの「弦楽四重奏曲第16番」から始まりました。若々しく新鮮な響きが広がります。各自の自発性を発揮しながらも、繊細なニュアンスまで整えられた丁寧なアンサンブルが展開され、モーツァルトの躍動感、溌剌とした音楽が表現されていました。
続く、ベルクの「弦楽四重奏曲」では一転して緊張感と妖しい雰囲気の音楽が、ソリスティックな演奏でぶつかり合いながらも絶妙に調和していく様が素晴らしかったです。感情の起伏の大きな演奏と質感の高いサウンドにより、このアンサンブルの音楽性の高さを示しました。

休憩後にはピアニストの練木繁夫さんとがゲストとして登場しました。練木さんは国内外の多くの有名オーケストラとの共演やチェロの巨匠ヤーノシュ・シュタルケルのリサイタルパートナーとして長年に渡る世界各地での公演で絶賛を浴びてきました。現在は、桐朋学園大学教授ほか国内外の多くの音楽大学で後進の指導にも当たられています。

練木さんが加わったブラームスの「ピアノ五重奏曲」では一層スケールが大きくなり、第1楽章終盤の大きなうねり、第2楽章の優しい響き、雄大で激しい感情と彫りの深い高揚感が見事だった第3楽章、最終楽章はピアノの繊細な表情が特に印象的でした。明晰で洗練された練木さんのピアノと若手演奏家との音楽的な対話を存分に楽しみました。

満席の聴衆からの大きく長い拍手に応え、当初予定していなかったというアンコール演奏があり、ブラームスのピアノ五重奏曲から第3楽章の後半が演奏されました。

皆さんもぜひコンパスを使ってコンサートをお楽しみください!


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