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若い人が相手だとついつい人生論を語ってしまう

今働いている美容室は街の中心地にあり、

大学が近いこともあって

10代や20代の若い人もよく来店する。


今日担当した男の子は、

高校を出たばかりの18歳。

なんともフレッシュな印象だった。


高校在学中に介護の資格を取り、

先週から働き始めたばかりだという。


仕事で接する施設の利用者は、

どんなに若くても60代。


「自分の3倍も4倍も年上の人たちに囲まれて、

豊富な人生経験話を聞かせてもらえて、

すごく勉強になります。」


純粋な目でそう語る彼。

「自分がもし18歳に戻れたら、

何がしたいですか?」

と質問を受けた。


一瞬考えて、

「もっと真剣に仕事をすればよかった。」

と答えた。

今までも、

充分真剣にやってきたほうだとは思う。

しかし、

美容師になった当初から

しっかりとしたビジョンを持って、

もっと大きな組織に属して、

規模の大きな仕事や、

海外での仕事や、

クオリティーの高い仕事に触れたかったという思いもある。


「もしあの時に戻ってやり直せるなら…。」


誰しもがいくどとなく考えたことがあることだ。


気づけばありもしない事を妄想し始めている自分にハッと気づき、

何を格好つけようとしたのか、

目の前の18歳のお客さんに、

自分武勇伝まがいのことを話して、

「へえ、すごいですね!」

と純粋なまなざしで言わせてしまっていた。

若い人が相手だと、

ついつい老婆心が出てしまうのは、

いよいよ歳を取った証拠か。


彼の若さがうらやましいのか、

自分の威厳を示したいのか、

会話の最後には、

「やりたいことはできるうちにやっておいたほうがいいよ!」

とありきたりなアドバイスで締めくくっていた。





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