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美容師であることの意味を見失っていた時期

見た目の美しさに何の意味があるのかと、

自分のやっている事を疑問に思う時期もあった。

人間、肝心なのは中身だろうっ、と。

その時は、

ヘアカラーの色を何色にするか、

前髪をどうするか

細かいことにこだわるのに

どうしても身が入らなかった。

仕事を変えて美容師を離れたこともある。


しかし何故か、

どの仕事もしっくりこず、

半ば仕方ないといった気持ちで

美容師に戻ってきた。

そして、

中途半端で上の空なまま

美容師を続けてきたわけだ。

ところが、

自分の消化不良感とは裏腹に、

お客さんはいつだって

美容室へ足を運ぶ事を楽しみにしているし、

髪型ひとつで

一喜一憂する。

そしてある時突然、

初めて自分が与えているものの責任の大きさに気がついた。

自分の思考で曇ったフィルターでは、

見えてなかったのだ。

「自分」というやっかいなヤツを

一旦脇に置いて、

目の前の人をまっすぐ見てみたら、

なんとまぁ

大変に重要な仕事ではないか。


今なら、

身なりを自分の好みに整えることが

幸福感に直結することや、

自分を労ることの重要さ、

与えられることの大きさが分かる。

恥ずかしながらそれらに気づいたのは、

美容師になって20年以上経った最近だ。

紆余曲折はあったが、

自分なりに向き合ってきたんだな、と思う。

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