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キリンのうた

もう、首を伸ばして生きるのは疲れたの
同じことをやっても、
三十点の人もいれば、
五十点の人、
六十点、七十点、八十点の人もいる
今、三十点だから、ずっと三十点だということもなくて、
大人になってやり直してみれば、
五十点になっている人もいるかも知れない

「最後がないけど、その楽譜でいいの?」
長さがちょうど良かったんで、
気づきませんでした
初中級なんで、
どっかカットされてると思いますし
ずっとこうやってるのは、
首が疲れてきました

――本当は、最初っから、
百点の人生が欲しかったし
百点の人生を歩みたかったけど
この編曲には中級がないし、
中上級もまだ弾けない
でも、やっぱり、
私はあの飛翔感がないのはちょっと……

「あの曲は最後が綺麗だから、
あなたがあそこを一番弾きたがってたから、
最後がないけどいいの?って聞いたんだよ?」

そうでしたっけ?
話が噛み合ってませんね

「あれは難しいよお~~」という
先生が持っている楽譜を借りて
弾いてみることになったけど
中級には最後がなかった

「移調するから」ということを知らなくても
聴けば難しいというのは分かる
ネットで初級から楽譜販売しておきながら、
サンプルが中上級しかないのはやめて欲しいけど

百与えられる家庭に生まれ育ったからって、
百点の人生を歩めるわけではないけど
全て「自己責任」で済んだら、
どれだけ楽だろう?

私にも、
アレンジする能力があればよかったのにな

「冒頭が弾きたかったので、もう満足しちゃいました」
そう私が言うと、先生は笑って、
「最後まで弾こうよ」
と言って下さったけど

「大分音が乗ってきた。完成が見えてきた」って言われたって、
最後がどうなるのかは、
やっぱり私にも分からない

グランドピアノがある家に生まれたかったな
……なんて、思ったりもするけど

私には、
父が買ってくれたアップライトがあるから

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