見出し画像

note de 小説「時間旅行者レポート」その18


ボクは急ぎ昼の
カフェテラスに戻ってきた。

だがここには
人陰は見当たらない。

万博が開催されている
パリのノートルダム寺院前にも
かかわらず夜はだれもいなかった。

昼間とは人の往来が全く違う。

ボクは人探しを協力してもらうため
店の中に明かりがついている
先ほどのカフェテラスのドアまで
やってきた。

そしてノックした。

「ボンソワール。
あの、すいません。

ボンソワール。
ちょっと伺いたいことが
あるんですが。

どなたか
いらっしゃいますか?

ボンソワー・・ㇽ・・?」


中の様子がおかしい。

ボクはドアの横の擦りガラスから
中をちらっと見てみた。


!!
あ、あれは!?

ウェルズ氏だ。
手足を縛られうずくまっている。


なんてことだ・・・。
それにしてもどうして・・?



その時ボクは理解した。

あれは店のギャルソンたち。
そうか、やつらボクの財布を見て。

付き添いだったウェルズ氏を
父親と誤解してたかっているのだ。


何とか助けなきゃ。
ウェルズ氏には全く
関係ない事なのだから。


ボクはそっとドアを開けて
中に侵入した。

数人のギャルソンが
ウェルズ氏を囲い
フランス語でまくし立てている。


「うっせーよ!
このフランス野郎らが!

理解できねぇ。
Englishくらい話しやがれ!

痛ってぇ。
ったく、放しやがれぃ!」

抵抗するウェルズ氏と
ギャルソンたち。

よりエスカレートする
部屋の中のムードに
つけ入るスキはなさそうだった。

恐る恐ると
部屋の中に忍び込む。


!!

ピストルだ。
テーブルの上に黒く光る武器!

最悪のパターンだ。

もしウェルズ氏が
命を落とすことがあれば
ボクは・・・

いや、そんなことよりも
ウェルズ氏を助けたい。

人命救助だ。
人助けだ!!

そのとき
ボクはありったけの
勇気を振り絞った。


男たちにとびかかろうと
していたのだ。

一般教養の学科で
東洋式護身術を履行
したことがある。

そう、AIKIDO!だ。
相手の力を利用し
最小限の力で相手を
翻弄するBUDOがそれだ。

だが相手がもし
全員ピストルを
持っていたら?

構っていられなかった。

「Shaise!!
(禁止用語!!)

お前ら、その人を
放せーーー!」

そこから後は
無我夢中だった。

あまり覚えていない。
ボクからまさか
汚い言葉が出るなんて
父や母すらも
信じないだろう。


覚えていない。

しかし
唯一覚えているのは

ボクはテーブルに置いてあった
ピストルをぶっ放した事だ。


鉛色の炸裂音のあと・・・


そのあと静寂が訪れた・・・


ボクは勝ったのだ。


ーーーーーーーーーーーー

続きます。







この記事が参加している募集

#スキしてみて

526,258件

サポートをお願い致します。 素敵なことに使います。何にって?それはみなさんへのプレゼント! ぼくのnoteをもっと面白くして楽しんでいただく。これがプレゼント。 あとは寄付したいんです。ぼくにみなさんの小指ほどのチカラください。