世界で起きていること TOP3 (5月21日)
1位:台湾、内部の対立
20日、台湾の新総統に民進党の頼清徳(ライ・チントー)氏が就任。注目されていた就任演説では、中国との関係について「現状維持」を明言した。
今回の総統選では民主進歩党(民進党)が勝利したが、同日に行われた立法委員(国会議員)選では過半数を維持できず、最大野党・中国国民党(国民党)が立法院(国会)の第一党となり、ねじれ国会になっている。そのため、法案や予算案の審議が滞る懸念がある。
中国指導部は頼氏を「台湾独立分子」として警戒しているが、反対に野党・国民党の馬英九(マー・インチウ)元総裁を4月に北京へ招き、習近平氏と会談を行った。中国は台湾の与党・野党対立を利用する可能性がある。
ちなみに、中国の国営メディアでは頼氏就任の記事は掲載されていない。また中国SNSの微博(ウェイボー)では、ハッシュタグで頼氏の名前が使えなくなっている。
2位:イラン大統領、事故で死亡
イランのライシ大統領がヘリの墜落により死亡。悪天候が原因とみられている。
憲法の規定で、モフベル第1副大統領が職務を代行するが、50日以内に大統領選を行う。
イランでは最高指導者(ハメネイ師)が政策に決定権を持つため、体制に影響はないが、84歳のハメネイ師の後継者選びに影響する。ライシ師は有力候補だった。
ライシ師は外交において、22年にウクライナ進行中のロシアにドローンを提供した疑いや、23年に中ロ主導の「上海協力機構」への加盟など、中ロへの傾斜を強めた。
一方で、ライシ師は反米保守強硬派であり、米国を後ろ盾とするイスラエルとは対立。今年4月にシリアのイラン大使館がイスラエルによるとみられる空爆を受けると、報復としてドローンやミサイルで史上初のイスラエル本土への攻撃に踏み切った。
3位:イスラエルとハマス、双方に逮捕状請求
国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は20日、ガザでの戦闘を巡り、戦争犯罪と人道に対する罪の疑いで、イスラエルとハマス双方に逮捕状を請求した。今後予審裁判部が、証拠を確認したうえで逮捕状を発行するか判断する。昨年10月にガザで戦闘が始まってから、ICCは双方が捜査対象になるという考えを表明していた。
請求したのは、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相、ハマスの最高指導者ハニヤ氏とガザ地区トップの3人。
これに対しイスラエルとハマス双方が激しく反発。イスラエル側への逮捕状請求についてバイデン米大統領は、ハマスと同列に扱うのは言語道断だと非難する声明を出した。
イスラエルはICC非加盟で管轄権を認めていないので、逮捕状が発行されても、ネタ二ヤフ氏とガラント氏がイスラエル国内で逮捕されることはないが、ICC加盟124カ国と地域では逮捕できるため、訪問などの外交が制約される。また、戦争犯罪の疑いがあるとなれば他国は支援が難しくなる。
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