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クレジットの「創り方」「使い方」の基準

noteにおいて、カーボンプライシング、特にカーボン・クレジットに関わるテーマを繰り返し採り上げてきました。

排出権取引については、国内では22年9月から23年1月の5ヶ月間、JPXにて取引所市場の実証事業を行う予定。

カーボン・クレジットの品質及び利用についてはこちらで紹介しました。

ただ、いかんせん分かりにくいということで、解説したこともありました。

ですが、散発的にお伝えしてきたので、自分でも収拾がつかなくなってきました。ですので、クレジットの種類や分類方法、高品質なクレジットの要件及び適切な使い方について、ドラフト段階のものも含めて、抑えておきたい代表的なものを抜き出してみました。


クレジットは何によって作られたかによって、下記のように分類できます。

由来に基づいたクレジットの種類

特に、自然ベースの吸収・貯留・除去系のクレジットは、2050年ネットゼロを達成するための「中和クレジット」として利用できると考えられますので、ウォッチしておくとよいです。

「誰」が主管しているかに着目すると、国連か政府(国)か民間かで分かれます。民間が運営主体のものは、主にボランタリークレジットです。

運営主体によるクレジットの分類

なお、「クレジット」と似た仕組みとして「証書」があります。

国内で利用できる証書

混同されやすいので、以前、説明をしています。
こちらを参照下さい。

さて、一口にクレジットと言っても、多くの種類が存在しています。
代表的なものは?と考えると、個人的で恐縮ですが、CORSIAに使用できるクレジットを例に挙げると、ほぼ網羅されると思っています。

CORSIA Eligible Emissions Units

CORSIAについては、何度も採り上げましたので、よろしければこちらを〜

品質については、ICROA(International Carbon Reduction & Offset Alliance)とIC-VCMの基準を抑えておけばOKでしょう。その他の主体が規定している基準も、ほぼ、これらと同等の内容となっています。

クレジットを創出する側は、この基準に従っていれば、「高品質」であると主張することができますし、お客様側からも「高品質」であると認めてもらえます。

ICROA

ICROA CODE BEST PRACTICEより

IC-VCM(Draft)

IC-VCM Public Consultation Part-2 Core Carbon Principlesより

品質について理解できたら、次は適切な使い方です。
クレジットを購入する側は、この基準に従っていれば、出自の明らかな、ウォッシュでない、「高品質」なクレジットを使用している旨主張できます。

こちらは、VCMIの「The Claims Code of Practice (CoP)」に注目です。
具体的には、下記事項について基準が示されています。

VCMI (2022) Provisional Code of Practiceより

ここでは、4つのコードのうち、「参加の前提条件」及び「主張の特定」をチェックしておきましょう。

1.参加の前提条件

VCMI (2022) Provisional Code of Practiceより

2.主張の特定
企業の訴求方法として、「Gold」「Silver」「Bronze」3種類のラベルが設定されています。

VCMI (2022) Provisional Code of Practiceより

冒頭で述べましたように、民間主導のクレジットについては、乱立している品質基準を統合しようという目的の下作成した、CoPとCCPが年末までにファイナライズされる予定ですし、国連主導のクレジットについては、今年11月にCOP27で、パリ協定6条ルールの中身が固まってきます。

J-クレジットでは、森林吸収系クレジットの創出が容易になるよう改訂がなされますし、海域による吸収量、ブルーカーボンを扱うJブルークレジットの事業も本格化します。

これから来年へ向けて、目が離せません。
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