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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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#クレジット

追加性(Additionality)を理解しよう

皆さん、「追加性(Additionality)」という用語はご存知ですか? J-クレジットの実施規定において「プロジェクトが満たすべき要件」の一つとして挙げられていますので、クレジットに携わったことのある方なら、当たり前の概念ですよね。 何も国内に限ったものではなく、国際的な概念であり、ボランタリーなGHG排出削減プログラムを推進する非営利団体のICROA(International Carbon Reduction & offset Alliance)は、認証可能なクレ

クレジットと証書の違いを押さえておこう(2)

前回は、カーボン・クレジットと証書違いの、根本的なところをご案内しました。「まずは違うと言うことを知っておいて下さいね」と。 1回目はこちらです。 ただ、理屈ではそうだと思うのですが、個人的には、「高品質なクレジット」であれば、積極的に購入してほしいと思っています。 というのも、バリューチェーン内であれば、製品開発や購買行動、取引先へのエンゲージメント等を通じて、全体の排出削減を図ることができます。 しかしながら、バリューチェーン外では影響力を及ぼすことができないとこ

Jブルークレジットのスゝメ(2)

前回は、「Jブルークレジット®」制度の現状と、取り組む意義についてご案内したところで終わってしまっていました。 今回は、具体的なモニタリング方法について見ていきたいと思います。 基本的には、スキームオーナーが発行している「Jブルークレジット®認証申請の手引き- ブルーカーボンを活用した気候変動対策 -Ver.2.2.1」にしたがって説明していきます。 まず、そもそもブルーカーボンは何を算定しているのか、つまり、どこに蓄えられた炭素量を認証するのかを理解してください。

GHG削減待ったなしです

2023年に突入しました。 2022年は、4月にnoteを始めたのが、個人的に大きな進歩。 というのも、これまで、個人的な発信をほとんどしてこなかったからです。 もちろん単発的にはありましたが、継続したことがありませんでした。 ただ、お客様の脱二酸化炭素化、持続可能な研究開発、地域活性化等を支援していく中で、その活動のコアとなる部分はほとんど共通しており、繰り返しご説明する過程で、かなりの程度蓄積され、もっと活用できるようにしたいと思い、重い腰を上げたのでした。 具体的に

検証の実際〜その5

現地検証の実際、4回目。 午前の流れを紹介した前回に引き続き、今回は午後の紹介です。 前回はこちら。 工場を見せてもらうに当たっては、検証側は非常に気を遣います。 立入禁止区域があったり、服装・手順が決まっていたり、機密保持上の制限があったり。特に、食品工場は大変ですね。キャップ・マスク・防護服の上、手洗い、消毒、エアシャワーは当然として、筆記用具の持ち込みも不可だったり。 最近は、スマホNGの事業所も多いです。一方、デジカメはOKだったりします。「撮影している」という