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GHG削減待ったなしです

2023年に突入しました。
2022年は、4月にnoteを始めたのが、個人的に大きな進歩。
というのも、これまで、個人的な発信をほとんどしてこなかったからです。
もちろん単発的にはありましたが、継続したことがありませんでした。

ただ、お客様の脱二酸化炭素化、持続可能な研究開発、地域活性化等を支援していく中で、その活動のコアとなる部分はほとんど共通しており、繰り返しご説明する過程で、かなりの程度蓄積され、もっと活用できるようにしたいと思い、重い腰を上げたのでした。


具体的に、コンサルティングを始めたのは2009年頃からですが、そのルーツは、会社員時代の経験まで遡ることができます。

90年後半から生活設備関連企業に新卒で入社しました。当時は、機能追加による価格アップという足し算の開発思想がよしとされ、受け入れられていた時代。商品企画にわずかでも負かされるようになった2000年頃からは、その思想に疑問符が投げかけられるようになっていました。

「21世紀に間に合いました」のキャッチコピーをひっさげて、トヨタがプリウスを上市したのが1997年。HVシステムだけで無く、トップレベルの空力性能Cd=0.30や、高張力鋼板の大幅採用などにより、高剛性かつ軽量なボディを実現、低燃費という新しい観念を導入した頃でもありました。

私は、密結便器や温水洗浄便座のR&Dに在籍しており、節水節電が至上課題。便器は単体で機能を発揮することができないため、上下水道のシステムも研究。便座では、熱交換器やヒーターなどのハード面だけで無く、人体の冷温感、あるいは座圧など、ソフト面の研究にも没頭しました。

業務を通じて、お客様の水道料金削減や電気料金削減だけでなく、環境に対するインパクトの低減にも寄与したと自負しています。(削減貢献量という考え方につながりますね)

余談ですが、下水道料金は上水道料金を基礎に算出されますから、節水はダブルで効いてきます。(なので、逆に、上水で漏水していると、ダブルでダメージがあります)


最初の企業では、材料開発及び機械設計が主業務であったところ、目的の機能を発揮するには、さらに上流、素材の研究が必要であることを痛感。幸い、ガスからプラスチック原料を製造する化学会社から声がかかり、用途開発に従事することになりました。

振り返って考えると、この時の経験が、今の算定業務支援や企業の低炭素化支援に大きく寄与していることを実感します。

この化学会社の主力製品は、エチレンと酢酸から合成される、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)という、酸素バリア性の高い樹脂です。

現在、フードロスを減らすべく、3分の1ルールの緩和やコンビニにおける値引き販売といったソフト的対応と、、チルド商品やロングライフパッケージ、製造方法の変更、開発等のハード的対応が進められているところ、後者に寄与する素材です。

2000年に入ってから急激に需要が増大したのですが、それは、中国において中間所得層が増加し、内地でも牛乳やチーズなどの酪農製品の需要が高まったことに起因します。日本のようにコールドチェーンが発達していなかったことに加え、冷蔵庫も普及していなかったためです。

でも、逆に考えれば、必要なときに冷蔵すれば良いというのは、まさしく現況に合致しており、オペレーションを最適化すれば、もう一段の利用促進が図れます。環境負荷削減と業績向上に寄与するものとして、俄然、やる気が出たことを記憶しています。

また、石油化学製品は、どこの油田の原油をどこで精製し、どこで製品化し、どこに納品するかによって、排出量が大きく異なることも、実体験しました。当時、北欧のあるパッケージメーカーから依頼を受け排出量を算定しましたが、この時既に算定の困難さに直面していたのですね。

今考えると、このメーカーは相当最先端を行っていたといえますが、担当者と話をしても、さも当然のような感じでした。欧州、特に北欧はそもそも、そのような「環境」にあったのでしょう。


このような経緯から、排出量の削減に当たっては、まず大まかに全体を捉え、ホットスポットを特定し、削減計画を立てて実施していく、という今の自分のポリシーが固まりました。

そこに、2008年、時を同じくして、森林吸収クレジットである「J-VER」と省エネ/削減クレジットである「国内クレジット」という、環境価値を金銭価値に変換できる仕組みが生まれました。存在しなかった検証業務を構築する試行事業に声をかけてもらったのも、幸いでした。

それ以降、排出量取引の国内統合市場の試行的実施 (国内排出量取引制度)、自主参加型国内排出量取引制度(JVETS)、カーボン・ニュートラル認証、カーボン・オフセット認証、ASSET事業、SHIFT事業など、第三者検証を必要とする制度が実施されてきました。

しかしながら、これらは全て、補助金とセットの施策です。削減をプレッジして補助金をもらうもの。未達であれば取引をして埋め合わせることが必要なので、クレジット創出者には収益が入ることになりますが、未達になることはほとんど無く、結局補助金をもらうためにプレッジするものでした。

つまり、いつまでたっても「補助金」頼みから卒業できず、金の切れ目が縁の切れ目となっていました。まぁ、国の補助事業の「あるある」を地で行くようなものと言えるでしょう。


ですが、2020年菅首相による「2050年カーボンニュートラル宣言」、2021年「2030年46%削減(2013年度比)」の日本のNDC決定を経て、環境はドラスティックに変わりました。

COP26において2050年ゼロカーボン、COP27において1.5℃目標は、世界全体のコンセンサスを得ました。情報開示ルールも、繰り返しnoteでご案内してきたように、統一化が進んでいます。

情報開示に当たっては、金融庁が、有価証券報告書の中に、サステナビリティに関する企業の取組みの開示を含めることを決定しました。

2021年、JPXは、コーポレートガバナンスコードを改訂し、プライム市場上場企業は、TCFD又は同等の情報開示要請が求められるようになりました。

また、CDPが、2022年より、署名機関からの環境情報開示要請(気候変動分野)の対象日本企業を、プライム市場上場全社(1839社)に拡大するという発表をした際も話題になりました。

ガバナンスコードに従わなければ、プライム市場から退場させられるかもしれませんし、CDPに対応しなければ、ステークホルダーからの信用を落とすかもしれません。しかし、これはいずれも「ボランタリー」なものです。

他方、金融庁の「企業内容等の開示に関する内閣府令」等が改正されるのです。つまり、こちらは、法的拘束力をもつものであり、従わなければ罰則があると言うことです。


ここでこそ私のポリシー「危機を機会に」を声高に謳いたいと思います。

国内は「ようやく」ですが、世界は「すでに」のレベルです。
CO2排出量はスコープ3が主流になるところ、バリューチェーンは世界まで繋がっているのです。やらざるを得ない、無関係ではいられないのです。

このような時流の中、2023年も、企業あるいは個人の皆様の脱二酸化炭素化を支援していきたいと考えています。併せて、私が30年の実務経験において獲得した知見を直接お伝えすると共に、巡り会えていない皆様にも活用頂けるよう、noteでも、積極的に発信していきたいと思います。

なお、朝令暮改のこの業界。
今日書いた内容が、明日にはひっくり返っていることもあるでしょう。
残念ながら、過去の記事を丁寧にアップデートはできません。

ですので、くれぐれも最終判断はご自身で行って頂きたいです。
不明な点等ございましたら、こちらのフォームからお問合せ下さい。
コンサルティングも行っております。
お気軽に、お声かけ下さい。

それでは、2023年も、どうぞよろしくお願いします。



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