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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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#スコープ1

排出量算定〜スコープ2 間接排出

スコープ1の次はスコープ2 間接排出。 これについては、突っ込んだ話を紹介済です。 スコープ3のカテゴリー3と絡めて解説しています。 ご参照下さい。 ですので、今回は別の視点の話をしてみたいと思います。 まずは、前回同様、コーポレート基準の定義から。 ここもやはり「所有または管理する」とありますね。 この概念は、忘れずに算定業務を進めていきましょう。 コーポレート基準では、スコープ2は特別なカテゴリーとしています。 そう、スコープ2は温室効果ガス削減ネタの宝庫だと言っ

排出量算定〜スコープ1 直接排出

前置きが長くなりました。 これまでの内容は、こちらからどうぞ。 さて、算定企業は、GHGプロトコルに基づいて算定し報告する場合には、2つのオプションを持っていました。 SBT申請をするに当たっても、スコープ1とスコープ2は必須です。 ちなみに、中小企業向けは、スコープ3はマストではありません。 なお、IPCC第6次評価報告書の公表を受けて、ネットゼロ目標を採用する企業が増えていることを踏まえ、SBTは「ネットゼロ基準」を開発しました。 それにおいても、当然ながら、スコー

排出量算定〜バウンダリの設定

算定の第一歩は「目的設定」であることを説明しました。 以降の話は、「GHGプロトコルに基づいて算定し報告する」という前提で話を進めていきますので、ご了承ください。 さぁ、次こそは計算だー とはならないのが、この業務。 そうですね。「何を」算定するかを決めないと、ダメですよね。 「算定対象範囲(バウンダリ)」を決める必要があります。 対象範囲としては、以下の2種類の境界を考えます。 1.組織境界 2.活動境界 「1.組織境界」は前回チラ見せした、こういうことです。

排出量算定〜はじめの一歩

前回は、「検証を受けることを前提に、排出量を算定してみましょう」というお話をしました。どうせやらざるを得ないのなら、さっさと始めて、先駆けてスキルアップしておきましょう、というお話です。 今回は、実際に着手しましょうというお話。 算定式は、各所で紹介されているので、勢い具体的にデータを集め出した方もいるかもしれません。 いやいや、その前に、算定対象、バウンダリを決めないと始まらないよ。 確かに、それはそうです。 財務諸表における、子会社、関連会社の範囲のアナロジーで、

販売した製品の使用による排出量(解説編)

前回、カテゴリー11についての、お題を出しておりました。 次の二つのメーカーになったとして想像してみて下さい。 販売した製品の使用に際し、どのような行為に対して、どのようなエネルギーを必要とするでしょうか。 自家用車 食パン どのような場面を、想像されたでしょうか。 まぁ、そんなに難しく考えることではないのであっさりと。 A.自動車であれば、例えば、 1.移動するときに、ガソリン(軽油、電気)を使う 2.洗車するときに、水道水を使う B.食パンだと 1.焼くと

販売した製品の使用による排出量(出題編)

カテゴリー11「販売した製品の使用」 メーカーにとって悩ましいカテゴリー。 なんってったって、ストーリーを作らないといけないですから。 作る側は、意外とお客様のことを知らなかったりしますし。 算定初年度は手が回らないことが多いです。 これについては、徐々に精度を上げていけばよいでしょう。 今日は、そんな悩ましいカテゴリーの排出量について語りたいと思います。 さて、次の二つのメーカーになったとして想像してみて下さい。 販売した製品の使用に際し、どのような行為に対して、ど何

電力の使用による排出量(解説編)

4月29日のnoteで、電力事業に係わる事業者間で、「排出量はどのようにカウントされるのか?」という記事を書きました。今回は解説編です。 復習しておくと、事業者はこの4者 企業A:燃料採掘事業者 企業B:発電事業者 企業C:送電事業者・電気小売事業者 企業D:最終需要家 で、このような条件を付けていました。 企業Aは採掘にあたり燃料のみを使用する 企業Bは発電した電力を全て企業Dに販売する 企業Bは自社では電力を使用しない 企業Cは企業Bの電力を全量企業Dに送電