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排出量算定〜はじめの一歩

前回は、「検証を受けることを前提に、排出量を算定してみましょう」というお話をしました。どうせやらざるを得ないのなら、さっさと始めて、先駆けてスキルアップしておきましょう、というお話です。

今回は、実際に着手しましょうというお話。

算定式は、各所で紹介されているので、勢い具体的にデータを集め出した方もいるかもしれません。

サプライチェーン排出量算定に関する実務担当者向け勉強会(環境省)より

いやいや、その前に、算定対象、バウンダリを決めないと始まらないよ。
確かに、それはそうです。

財務諸表における、子会社、関連会社の範囲のアナロジーで、考える賢い方もいらっしゃるかもですね。

サプライチェーン排出量算定に関する実務担当者向け勉強会(環境省)より

ここで、いそいそと、出資比率データを調べ出すかもしれません。
しかし、その前にすべき、重要なことがあります。

何のために算定するのですか?

  • 温対法の報告

  • 補助金申請

  • 組織、商品の脱炭素/低炭素化

  • CDP質問書への回答

  • SBTi申請

  • TCFD対応

  • 環境報告書

  • サプライヤーからの開示要請対応

  • オフセット商品開発

  • J-クレジット申請

  • インターナルカーボンプライシング

それぞれにルールがあります。

温対法であれば、対象の活動が限定されています。
補助金申請であれば、CO2のみが対象だったり。
組織・商品の脱炭素も、全セクターから始めるのですか?
環境報告書では、自社にとって重要なカテゴリのみの公表なのでは?
オフセット商品開発では、対象となる商品の排出量のみですよね。
J-クレジットであれば、該当の方法論に従わなければなりません。
インターナルカーボンプライシングでは、事業領域毎の算定でしょう。

また、初回であれば、まずは大ざっぱに把握することを優先すべきです。
精度を上げようと思ったら、切りがない。コスト的にも人的にも。
毎年実施して、スキルアップしていけば良い話。
算定目的に応じた算定精度があるということを、覚えておいて下さい。
デファクトスタンダードのGHGプロトコルも、それを求めています。

テストの時は、いきなり解かず、全ての設問にざっと目を通してから〜
などと、アドバイスされませんでしたか?

それと一緒です。落ち着いて始めましょう。
ただ、目的の設定に当たっては、考えた経緯を記録しておくとよいです。
違う目的に流用する際に役立ちます。
折角、苦労して算定するのですから、様々な場面で使いたいですよね。

データ収集のしくみも残しておくようにしましょう。
仕事が人についてしまわないようにするためにも重要です。
あなたがいなくても廻るように、システムで担保する。
こうすることによって、全社のスキルが向上していきます。

さぁ、はじめの一歩、歩みを進めていきましょう。



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