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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
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2023年9月の記事一覧

日本版S1・S2プロジェクトの進捗状況

SSBJが今年2月、企業側が対応しやすいようにと、「現在開発中のサステナビリティ開示基準に関する今後の計画」を公表、下記スケジュールで日本版S1・S2プロジェクトが進行中であることは皆さんご承知かと思います。 予定通りに公表された場合、確定基準公表後に開始する事業年度から早期適用が可能となります。3月決算だと、2026年3月期の有価証券報告書から、日本版S1・S2に基づいて、サステナビリティ開示ができるようになるということですね。 その後審議が進み、今年8月、状況がアップ

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(5)

EFRAGが作成中の、ESRS導入ガイダンス。 8/23の会合でドラフトが公開されたのを受け、紹介しております。 「Value Chain Implementation Guidance(VC IG)」と「Materiality Assessment Implementation Guidance(MA IG)」の2種類があり、前回からMA IGの方をご案内しています。 4回目では、MAステップの、A及びBまでご案内しました。 今回は、最後の「C.現在及び潜在的な影響の

CCSとCCUのSHK制度での立ち位置

以前のnoteで、SHK制度における排出量の報告内容について議論がなされているとご案内しました。担当以外には「?」のような内容なので、分かりやすく説明したつもりですが、いかがだったでしょうか。 地球温暖化に対する国際的な取り組みや技術開発は、日進月歩、朝令暮改の世界なので、致し方ないところではありますが、致し方ないものはまだまだあります。 今回ご紹介する「CCS:Carbon Capture and Storage」と「CCU:Carbon Capture and Uti

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(4)

EFRAGが作成中の、ESRS導入ガイダンス。 8/23の会合でドラフトが公開されたのを受け、紹介しております。 「Value Chain Implementation Guidance(VC IG)」と「Materiality Assessment Implementation Guidance(MA IG)」の2種類があり、前回からMA IGの方をご案内しています。 3回目では、MAにおける重要な概念、「Impact materiality」と「Financial m

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(3)

EFRAGが作成中の、ESRS導入ガイダンス。 8/23の会合でドラフトが公開されたのを受け、紹介しております。 「Value Chain Implementation Guidance(VC IG)」と「Materiality Assessment Implementation Guidance(MA IG)」の2種類があり、2回目ではVC IGを紹介しましたので、今回はMA IGの方をご案内していきます。 個人的には、ISSBなど、他のサステナビリティ情報開示スキーム

「作る」から「使う」へ、フェーズチェンジ始まる

欧州委員会がESRS(European Sustainability Reporting Standards:欧州サステナビリティ報告基準)の最終版を公開したことを受け、EFRAGが、報告の核となる2つの重要な概念についてのガイダンスを発表しました。 これにつていは、noteで順次ご案内していこうとしているところです。 (執筆段階で、1まで説明済み) 対象が大企業及び大手銀行に限られていたNFRDから、上場している中小企業まで含む50,000社へと拡大することから、欧州委

SHK制度 報告する排出量 悩みまくり?

SHK制度において報告する排出量/排出係数には、以下の2種類があります。 報告を担当されていない場合は、「何が何だか」かもしれませんね。 「調整後」はその名の通り「基礎」に対して何かしらの調整を加えたものです。 説明しますね。 電気は、水力・火力・太陽光・風力などなどの一次エネルギーを用いて、発電所で発電しますよね。ですので、小売電気事業者(発電事業者)は、皆さんがスコープ1排出量を算定するのと同様に、発電に当たって排出した排出量を算定します。 これが「基礎排出量」とな

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(2)

7月末に公開された、ESRSの最終版。これから、EU理事会及び欧州議会での審議が始まりますが、現在のNFRDで既に対象となっている大企業は、2024年会計年度から適用が開始されますので、ルールを読み込んで、開示の準備を進めておかなければなりません。 また、2022年11月に公開されたEFRAGのドラフト版からは、重要な修正が入ったこともあり、欧州委員会も速やかな導入を図るべく、EFRAGがガイダンスの作成に入ったことを、前回ご案内しました。 今回は、「Value Chai

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(1)

7月末、欧州委員会がESRS(European Sustainability Reporting Standards:欧州サステナビリティ報告基準)の最終版を公開したことは、ご承知でしょう。 これについては、それに先駆けて、欧州委員会からドラフトを作成したEFRAG(European Financial Reporting Advisory Group:欧州財務報告諮問グループ)に対し、EFRAG案からの修正内容を説明した際、ご案内済みです。 ESRSはCSRD(Corp

EFRAG SRB会合に興味津々

8/23のEFRAG SRB 会合には、興味深いアジェンダが並んでいました。 こちらは、Interoperability、つまり、CSRDとGRI及びS1・S2の間で、ほぼ同じ内容の報告をできるようにしようというもの。 ダブルスタンダード、ダブルディスクロージャーを回避し、報告者の負担を軽減することを目的としており、アルファベットスープ状態であったサステナビリティ情報開示ルール統合の動きの中で、中心のテーマとなっていたものです。 何度もご案内しているので、皆さんにとって

CBAM移行期間のルールが最終決定(5)

CBAMの移行期間に適用される規則及び附属書について、実施されていたコンサルテーションが終了、最終版が公開されたことを受け、2回に亘って、フィードバックの状況及び内容をご案内した後、附属書の報告リストを、ドラフト版と最終版とで比較したところでした。 全体的に、フィードバックの内容の反映はあまり見られないな、という感想をもちつつ、今回は移行期間の施行規則「C_2023_5512_1_EN_ACT_part1_v6」と附属書「C_2023_5512_1_EN_annexe_ac

CBAM移行期間のルールが最終決定(4)

CBAMの移行期間に適用される規則及び附属書について、実施されていたコンサルテーションが終了、最終版が公開されたことを受け、2回に亘って、フィードバックの状況及び内容をご案内。 3回目からは、フィードバックを受けて、最終版がドラフト版からどのように修正がなされているかを、確認しています。 前回は、附属書の報告リストの前半を見ましたので、今回は後半です。 両者を横並びで比較しており、赤字は最終版で追加となった項目、青字は削除された項目です。 前半と比較すると、さほど大きな

CBAM移行期間のルールが最終決定(3)

CBAMの移行期間に適用される規則及び附属書について、実施されていたコンサルテーションが終了、最終版が公開されたことを受け、2回に亘って、フィードバックの状況及び内容について見てきました。 今回は、フィードバックを受けて、最終版がドラフト版からどのように修正が入ったのかを見ていきたいと思います。 前回ご案内したように、フィードバックの内容は、主に次の5点でした。 「1.機密情報の扱い」は、とにかく報告する内容が細かすぎることに起因するものです。また、「2.EU-ETSに