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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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#カーボンオフセット

米国から目が離せない?!

4月9日、SBTiによるスコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発端として、サステナ界隈がざわつき始めたのは、皆さんご承知の通りでしょう。 実際問い合わせも多く、取り急ぎ、個人的な見解をご案内しました。 もしご覧になっておられないようでしたら、是非。 これに至る伏線は複数あり、さほど驚きではありませんでしたが、やはり、足元で起きている現象を俯瞰して、今何が起きているかを把握する「Insight」と、これらを解釈して将来何が起こりそうかを予測する「Fore

ブルーカーボンを推進しています

4月13日の報道ステーションで、持続可能な社会を目指すSDGs企画13回シリーズの第1回としてブルーカーボンが紹介されました。 ブルーカーボンとは、「海洋生物によって大気中のCO2が取り込まれ、海域で貯留された炭素」のことです。森林など陸域で貯留される炭素であるグリーカーボンと区別して、このように呼ばれます。 陸域で生育する植物により固定されるグリーカーボンと比較して、ブルーカーボンは貯留期間が長期にわたるため、炭素貯蔵庫として特に重要です。 排出量算定方法のスタンダー

環境価値の活用について

IHIと富士通は12日、CO2排出削減量などの環境価値を流通させるプラットフォームの構築で協業したと発表しました。IHIの見える化技術と、富士通のブロックチェーン技術を活用、削減量をトークン化したものを取引するとのこと。他企業や関係省庁、関連団体とも連携して利便性の高い流通用プラットフォームを目指すとしています。 しかし流通させる環境価値は「CO2削減量」であることに、注意。昨日のnoteで説明したように、SBT認定及びRE100には使えないからです。 SBTの長期目標に

削減クレジットと再エネ証書の違い

J-クレジットの省エネ由来のクレジットのような削減系のクレジットとグリーン電力証書や非化石証書のような再エネ証書(属性照明) いずれも、排出量削減に寄与するものと考えられがちですが、全く異なります。まず、覚えていて頂きたいのが、 削減クレジット→SBT・RE100に使えない 再エネ証書→SBT・RE100に使える ということです。 削減クレジットは、従来と比較して排出量が減っているというだけで、実際にはCO2を排出しているわけです。他方、証書は間接的に再エネで発電した電

登米市の森づくりを応援します

私のnoteを見て「カーボンオフセット商品」に興味を持って連絡頂いた佐賀県の熊本電気工業様から、早速のご依頼を受けました。 熊本様は電気工事会社として創業されましたが、業務を通じてお客様の省エネ意識の高まりを実感し、次々と環境保全、排出量削減に寄与する製品を開発、販売するにいたっているとのこと。 今般、環境に排出されると多大な被害をもたらす油分を完全に無害化する製品「ミセルクリーン」を開発されました。 この販売に当たって、単純に環境を破壊しないという効果に加え、さらなる

J-クレジットの使い道

J-クレジットの使途として一番多いのは、温対法の報告です。(SHK制度) 特に、電気事業者によるものが過半数を占めます。 以前のnoteでも紹介したように、再エネ由来のクレジットは温対法に加え、RE100でも利用可能であることから、削減系よりも遥かに多くの需要があります。 なお、使用できるクレジットはこちらになります。 具体的には、報告書の「第5表の1」にこのように記載します。 では、使用できないクレジットを購入する意義がないのかというと、そうでも無く、任意報告におけ

カーボン・クレジットって難しいですねぇ

国内において温室効果ガス排出削減・吸収量をオフセット・クレジットとして認証する制度は、2008年の国内クレジット制度とJ-VER制度が最初です。 ただ、この2つは京都議定書に基づくスキームであったため、第2約束期間に日本が参加しなかったことから制度の見直しが行われ、2013年から両者が統合された「J-クレジット制度」となりました。 他方、海外では複数存在し、以下のようなものがあります。 「プロジェクトが存在しなかった場合の排出量(ベースライン排出量)」から「実際の排出量