マガジンのカバー画像

高品質なカーボン・クレジットを求めて

116
誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
運営しているクリエイター

#CCP

クレジット化、必要ですか?

「カーボン・クレジット」という概念が、環境に携わる方々の間では浸透し始めてきていることは、私も含め、皆さんも実感されていることでしょう。 noteでは、その意味・意義や活用については繰り返しご案内しているという自負があり、喜ばしいとは思っています。 しかしながら、普及するに従い、問題が発生することは世の常。いつまでも、スタートアップで居続けられるとは限らないのです。 それを痛感するのが「クレジット作りたいんですけど」という問合せ。 noteでは、ブルーカーボンを推して

クレジットの十全性とは?

打合せの中で不意に受けた質問に、一瞬戸惑い、我に返りました。 「易しい言葉で」「誰にでも分かるように」と言いながら、結局、受け手に頼り切った説明を行っていたなと。 ですので、ざっくりで恐縮ですが、説明をしておきたいと思います。 まずは、ITMOs(Internationally Transferred Mitigation Outcomes)から。 そもそも、これ自体が「クレジット」ではなく、「クレジットの総称」です。 例えば、次のようなクレジットが含まれます。 IT

GSがCCP(プログラムレベル)評価を申請

こちらのnoteで、しつこいくらいにお届けしている「高品質なクレジット」 その共通ルールとなるべく、ICVCMが「Core Carbon Principles:CCPs」の第一弾を3月に公開、第二弾を7月に公開して「完全体」になった旨も、いち早くお届けしました。 CCP認証は次の2種類の認証がありますが、ICVCMが行う認証は「1.プログラムレベル」のみです。 「プログラム」とは、例えば、Verraの「VCS」やゴールドスタンダードの「GS」などの「カーボン・クレジット

ESGに対する考察(1)

高品質なクレジットが果たすべき役割として、SBTiが「BVCM(Beyond Value Chain Mitigation)」のためのツールであると、Net-Zero Standardにおいて整理したのは、極めて適切であると考えています。 2021年10月のリリース当初は、とはいえ「高品質」とはどうあるべきかが明確ではなかったところ、統一ルールと目されるICVCMの「CCPs(Core Carbon Principles)」がリリースされ、厳しい条件ながらも、目標は明らかに

CCPがリリースされました(3)

「高品質なクレジット」の要件を定めたCCP(Core Carbon Principles)を2回にわたってご案内してきました。 3回目は、フレームワークについて考えます。 ICVCMは下記2種類のレベルを設定していることをご案内しました。 筆者なりに、章立てを下記のように整理してみました。 「Program-level」は、プログラムオーナー、運営主体が受ける認証であるところ、「Category-level」は方法論(およびその方法論において認証されたクレジット)につい

CCPがリリースされました(2)

待ちに待っていた、「高品質なクレジット」の統一ルール。 前回は、ドラフトとの相違などについてご案内しました。 今回は、政策決定者向けの内容について。 踏み込んでの説明はとてもできませんので、章立てを著者なりに整理して、概略をご案内していこうと思います。 CCPは、1回目でもご案内したように、10の原理からなります。 政策決定者向けの章では、もちろん、それぞれについて簡単に説明されていますが、「CCP Attributes」とCCPs及びフレームワークの継続的な改訂につ

CCPがリリースされました(1)

どのような要件を備えていれば「高品質なクレジット」なのか。 グリーンウォッシュが問題となる中、昨年、ICVCMが統一ルールである「Core Carbon Principles:CCP」を策定、パブコメを実施していました。 高品質なクレジットを適切に活用することにより、地球全体の温暖化対策につながると言う立場で応援しており、こちらのnoteでも繰り返し、ご案内してきました。 また、国連が旗振り役となっている、「Race to Zero Campaign」でも、クレジットの

高品質なクレジットを目指して(3)

VCMI(Voluntary Carbon Markets Integrity Initiative:自主的炭素市場十全性イニシアチブ)が、カーボン・クレジットの使用に際し、その透明性と信頼性を確保するための指針「The Claims Code of Practice (CoP)」の案が発表され、現在パブコメが終了し、内容を精査していると思われます。 このCoPについて、前回から紹介しています。 その「CoP」は4つのステップからなっておりまして、1と2は紹介済。 1.

高品質なクレジットを目指して(2)

「安かろう悪かろう」ではありませんが、ボランタリーなカーボン・クレジットについて、ネガティブな意見や懸念する声があるのも現実。残念ながら、実体の無いクレジット、ウォッシュと捉えられても仕方の無いクレジットもあるようです。 しかしながら、質の高いクレジットであれば、企業はクレジットの購入を通じて、自社のバリューチェーン内だけでなく、バリューチェーン外での排出削減に貢献できます。これは、まさしく、SBTiがNet-Zero Standardで求めている、「BVCM:Beyond