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花冷え

満開となった桜が
午後には強い雨と風で振り落とされた
雨上がりの薄紅色の
3歩前を歩くあなたに
向ける私の狂った感情も
花冷え
だから、きっと、秘してみせる

わかっているようで
わかってないようなそぶりのあなた
本当にどうでもいいと思う時もあるのに

撫でた紺色の肩に
重い花びらを
一つひっつかせて
発する唇に寄せられて
学校の壁にでも書いてやりたくなる
ありとあらゆる世間から
ありとあらゆる非難を浴びても

私があの子の彼氏だったらいいのに
私があの子の彼女だったら

振り返って私に問うたあなたに
「さあ」と言ったら
曖昧に笑った









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