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半分夜

午後4時から急に半分夜のようになった
東の空から真っ黒な暗雲が立ち込めて
辺りの湿度が上がりだし
急に暑くなって強い風が吹いて
涼しくなった
君はぼつり、ぽつりと少しずつ
静かな声で話した
ずっと遠くで降っているだろう
雨の音が聴こえそうなくらい
僕の脳裏にはなぜだかずっと昔の
どうでもいい夏の風景が浮かんでいた
まるで図書館でめくった古い本の紙の感触のような
そして、すべてが現実味を帯びだした

「その時ね」
「うん」
「落ちていた松の葉のことをよく覚えているの」
「うん」
「黒い砂に落ちた、薄く、はりのある」
「うん」

久しぶりに匂いを嗅いだ気がした




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