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共感的コミュニケーション②相手への共感

相手の話を共感的に聴く

前回、対話や人の話を聴く前に土台となる自分への共感について
まとめてみました。
話を聴く時も、話そうとする前にも、自分の心の中や頭の中を整理することで自分の中にゆとりが生まれます。
ゆとりができたら、「相手の話を聴かせてもらう」か「自分が話す」かということになりますが、相手に聴く余裕がなければ話を本当に聴いてもらうことは難しいですよね。

なので、相手の話を聴くことが重要になります。
傾聴の技術は色々とありますが、共感的コミュニケーションにおける
相手への共感=「共感的に相手の話を聴くこと」は、
いろいろなことを考えたり感じたりしている相手の心とともにいる
ということです。
相手の話を聞きながら、
「相手は断るつもりだ。どう言って説得しよう…」と次を考えていたり、
「またこの部下は言い訳ばかり言ってるな。嫌になるな。」と自分の思考や気持ちに注意が向いている状態は、相手の心とともにいません。

産業カウンセラーの勉強で傾聴を学んでいた時もとても難しさを感じました。共感的コミュニケーションの「共感的に話を聴く」という方法が、私にはとてもサポートになりました。

「相手への共感」①観察

基本は自己共感と同じことを、相手に対して行うだけです。

OFNR図他者共感

例えばお客様が商品についての文句を言ってきたとします。
少し聞いてくすぐに反論を始めれば、相手の怒りに油を注いでしまいますよね。
まずは、自分の中に沸き起こった感情があれば自分への共感をし、
ニュートラルに話を聞けるスペースを自分の中に確保します。
その上で、相手は今何に対して話しているのかを観察します。
「先日買った商品について話している」
「店員の接客について話している」
またそのことについて、どんなことを考えているのか、言葉を聞きます。
「勧められたから買ったけど、自分には合わなかった。無理矢理買わせようとして売りつけられたと考えているようだ。」

相手の行動や思考を決めつけないように気をつけます。
「商品や接客について文句を言いに来た」
文句というのはこちら側の決めつけです。
事実や推測と、自分の解釈や思い込みを分けて考えます。

②気持ちを推測する

次に、相手の気持ちを推測します。
「買っては見たものの、思っていたものと違ってがっかりしているのかな」
「無理矢理売りつけられた気がして、店に対し不信感を感じていそうだ。」
また、話をしている「今」の感情もあるかもしれません。
「私に話を理解してもらえるかどうか、不安があるかもしれない。」
などなど…

自分への共感のページに載せた「感情リスト」が役に立つと思います。

③相手が必要としていることを推測する

推測した気持ちは、その人が「何を必要としている」かを教えてくれます。
「がっかりしたのは自分が望むものを買いたかった(目的)からだろう」
「不信感を感じているのは、本当はこの店や店員を信頼したかったからかな」
「不安なのは、話をしっかり聴いて大事に扱って欲しいからかな」
などなど…

「必要としていること」も、自分への共感のページに載せた「ニーズリスト」が役に立つと思います。

必要なこと・大事にしたい価値観は、具体的・個別的なことではなく、普遍的・抽象的に考えるのがコツです。

④相手の願い(求めていること)を推測する

「気持ち」と「必要としていること」の推測は、可能なら聞いてみると推測が正しいかどうか分ります。しかし通常は
「あなたは不信感を感じていますか?それは信頼できることを望んでいたからですか?」
などと聞かれることに慣れていないので、混乱させてしまいます。

特に仕事上では、推測で構わないと思います。
ただ、どうしても本当に相手が何を求めているかわからない場合は、
できるだけ伝わりやすい言葉で聞いてみるのが良いのかなと思います。

相手が必要としていることを推測したり、聞いたら、それを満たすために、相手は何を望んでいるのでしょうか?
相手の願っていることを推測してみます。

「一度使ってしまったけど、この商品を返品したいのかな?」
「誠意を求めているのかも。ちゃんと時間をとって今話を聴いてもらいたいのかな」
などなど。

リクエストを考えるコツとしては、
・具体的に今、行動できること
・肯定的なこと(「〜しないこと」ではなく「〜すること」)
を考えます。

信頼を求めているのかな、に対して、
「今後は精一杯誠意を持って対応します」
と伝えても、具体的に何をしてくれるのか相手は全く分りません。
ヘタをすると、「言葉だけで済ませようとしている!」と受け取られる危険もあります。

また、相手の話をしっかり聴くことが、リクエストに応える第一歩になります。
(「話を聴いて欲しい!」は誰にでもあると思います。)
その上でさらに、相手の話を要約したり伝え返したりすることで、
しっかり受け取ったということを伝えることができます。
(話を聴くだけでなく「理解して欲しい!」も、多くの場合あると思います。)

その上で、推測した願いを伝えてみます。
「先日お買い上げくださった商品にがっかりされてしまったんですね。
今からこちらを返品されたいのでしょうか?」

以上、他者共感についてまとめてみました。

まとめ

例え聴いたとしても、どうしても返品は受け付けられないなど、要望に応えられるかどうかは別ですが、こちらの言い分を伝える前に、まずはしっかりと相手の話を聴くこと、そして、こちらが「聴いた」ということが相手に伝わっていることが大事だと思います。

自分の思考や感情を一旦脇において、
相手の気持ちと、必要としていることを想いながら聴くこと、
相手が言いたいことを全て言い切るまで聴くことができれば、
相手の心の中にもゆとりができて、こちらの言うことを聴いてもらいやすくなる可能性が高まります。

私自身日々共感的に聴くことと格闘中ですが、これを知らなかった頃よりも自分の思い込みやコミュニケーションパターンから抜け出しやすいと感じています。
また、人と今までよりもずっと深い関係性を築ける可能性を感じています。
家族など親しい相手ほど共感しながら話を聴くことは難しいですが、それだけに身に着ることで妥協したり諦めたり、相手を批判・非難して終わるのではない、お互いにとって意味のある対話の道が開けるという希望を持っています。

共感的コミュニケーションが特に仕事において目的とするのは、
本当のWin−Winの関係性だと思います。
自分の感情は相手にぶつけるのではなく自分で共感し、相手の思いや考えを相手の話し方や言葉にとらわれず本質を捉えて聴くこと。
その上でこちらの思いや言い分を、伝わりやすい形で相手に伝えることができることが、発展的な関係性の構築につながると思っています。

特にチームメンバーとこのような関係を築けるリーダーや管理職の方が増えたら、働くことはもっと豊かな人生の一部になるのではないでしょうか。

まだまだ自分自身学び中の身で、このようにまとめることは恥ずかしさもありますが、自分の学びのためになり、また少しでも共感的コミュニケーションに興味を持つ人が増えたら良いな〜という願いで取り組んでいます。
次回は、相手に伝わりやすいように伝える、「自分の思いを相手に伝える」についてチャレンジしてみます。

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