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コラム|建築家の出自と経済格差| 4/12~4/18のメニカンjournalまとめ

今週のメニカンjournalまとめ

メニカンjournalは、デザイン・建築・都市に関連する最新情報を紹介する企画です。メニカンのtwitterアカウント(@ConfMany)にて毎日更新、現在テスト運用中。ご意見・ご要望・リクエスト等あれば、こちらのフォームからどうぞ!

それでは今週のまとめと、担当者コラムをどうぞ。

4/12|公衆衛生からみた社会運動

【公衆衛生からみた社会運動】国民皆保険は、道義的な問題であると同時に、公衆衛生上の集団自衛策でもある。1世紀におよぶ医療社会運動の歴史を研究する歴史家ナンシー・トムズへのインタビュー

4/13|キッチンとフェミニズム

【キッチンとフェミニズム】20世紀に「登場した」キッチンと、そこを舞台に繰り広げられてきた闘争についての記事。歴史に埋もれた「フランクフルト・キッチン」とは。

4/14|ドキュメンタリー「East Lake Meadows」公開

【ドキュメンタリー】70年代のアトランタに作られた公営住宅地「East Lake Meadows」。治安の悪さから「リトル・ベトナム」と呼ばれ、のちに再開発されたこのエリアの生活の実際を追ったドキュメンタリーが公開中

4/15|「East Lake Meadows」クリエイターへのインタビュー

【インタビュー】治安の悪さで全米に知られたアトランタの公営住宅地「East Lake Meadows」。同名のドキュメンタリーを作成したSarah BurnsとDavid McMahonへのインタビュー。治安の悪い町、では片付けられない実態とは。

4/16|2つの都市と、コロナウィルス。分断の可視化

【2つの都市と、コロナウィルス】コロナウィルスは、都市を分断していない。そもそも都市は分断されていた──。NYタイムズに掲載された記事「Can Cities Survive Coronavirus?」のナイーブさを批評する、FailedArchitectureの記事。

4/17|"検疫アーバニズム"から学ぶこと

【"検疫アーバニズム"から学ぶこと】ロシアのストレルカ・インスティチュート他で教鞭もとるデザイン思想家、ベンジャミン・ブラットンによる18の現状分析。

4/18|マイノリティ建築家とコロナ禍

【コロナ・建築・人種】コロナ被害は社会的弱者により大きな負荷を与えており、それが「建築家を続けられるかどうか」の問題になることもありうる。いま建築家コミュニティにできることを考える記事。


コラム|建築家の出自と経済格差

メニカンjournal、今週の担当者コラムをお届けします。

今週、特に注目を集めたのは、「4/13|キッチンとフェミニズム」と、「4/18|マイノリティ建築家とコロナ禍」でした。前者はフェミニズム運動と密接に関わってきた「キッチン」についての長文記事。後者は盛んに指摘されるようになってきたアメリカにおけるコロナ禍と格差の問題について、マイノリティ層出身の建築家の進退というトピックにまで踏み込んだ一本。いずれも切れ味のある記事です。

メニカンjournalで取り上げてきた論考には、建築界という一種の社会集団におけるマイノリティの問題(女性、黒人、etc..)を取り上げたものが一定数あります。特に3/16~3/22のまとめにあわせて書いたコラム「マイノリティと建築」では、建築界において女性が置かれている問題に関して、長谷川逸子氏を起点に取り上げています。よければあわせてご覧ください。

さて、今週コラムの題材に取り上げるのは「4/18|マイノリティ建築家とコロナ禍」です。ここには他の記事ではあまり見なかった興味深い論点が示されていました。「建築家の出自の多様性はなぜ重要なのか」という問いに関するものですが、同時に「建築家の出自と経済格差」の問題でもある、というものです。重いテーマですが、読み解いてみたいと思います。

既に述べたように、記事そのものの展開は大きく二部に分かれています。前段はアメリカにおけるコロナ禍と格差の問題について、そして後段はそのことがマイノリティ層出身の建築家にどのような進退を迫るのかについて、です。

パンデミックとマイノリティ建築家の進退

しかし「建築家の進退」とはどういうことでしょうか? 記事の中でも衝撃的なのは次のふたつの数字です。ひとつ目の数字は、アメリカの建築家の出自に関する以下のデータ。

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