見出し画像

ワーケーションの仕事場について

ワーケーションにおける仕事の環境の確保は、どんな種類と特徴があるのか、実体験に基づいて整理してみよう。

仕事の種類

ワーケーションで行う仕事のタイプを分類すると、大きくは、資料作成のような自分で完結するものと、オンライン・ミーティングのような人とのやり取りが発生するものに分かれる。

自分で完結するものは、電源や通信などの環境が確保できるなら、PCを使った作業ができるし、そうでない環境なら、読書や手書き作業に充てればいい。

自分で完結する作業

  • アウトプット

    • デジタル:メールなどの作文、スライド作成、表計算での計算、など

    • アナログ:紙への手書き(プレゼンスライドの下書きなど)

  • インプット

    • デジタル:リサーチなど

    • アナログ:本や資料の読み込み

リアルタイムでのやり取り

  • Zoomなどのオンライン・ミーティング

  • オンラインセミナー(登壇、参加)

  • 対面でのミーティング

特別な環境を必要とするものはやりにくい

物理的に隔離された空間が必要とか、特別な設備や環境が必要という仕事は、汎用的な環境しか用意されないことの多いワーケーションではやりにくくなる。どうしてもやりたければ、専用の場所を探すしかない。

  • 高いセキュリティ(デジタル的、物理的)

  • 大容量通信や高スペックのコンピューター

  • 3Dプリンタなどの特殊用途の設備

  • ワークショップ(プロジェクタ、ホワイトボード、多数の机とイス)

また、外付けのディスプレイがある環境で仕事をするのに慣れた人にとっては、Zoomにせよ資料作成にせよ、PCの小さいモニタ1つで仕事をするのはちょっと辛く、生産性も落ちると感じるだろう。

仕事場の種類

これまで様々な地方で仕事をしてきた中で使った主な場所を挙げると以下のようになる。

宿泊施設

ワーケーションにおいて仕事に使うのが最も多いのは、ビジネスホテルなどの宿である。チェックインは大体15時なので、地域を移動する場合、10時までにチェックアウトして移動を始め、新しい目的地でお昼を食べた後、少しカフェで2時間ほど仕事をしたらちょうどいいくらいの時間だ。夜は19時くらいから予定が入ることが多いと考えると、ホテルで2時間ちょっとは仕事ができる。朝は10時かプランによってはチェックアウトを11時にできるので、9:00-10:00時などのZoomミーティングを入れることができる。

同じ地域に滞在するのに宿を変えると、10時〜15時の仕事場を確保しなければならず非効率なので、連泊がお勧めである。

今は安宿でも無料の無線Wi-Fiがあるし、電源もある。机と椅子は部屋の中の設備で、通常は事務用のものではないが、コロナ後に企画された新しいホテルの中には、仕事のしやすい独立の椅子とデスクがあるところもあり、仕事しやすかった。

現地のコワーキング

最近は地方都市には必ずコワーキングがあり、自治体が提供するものや、地場の有力企業の有休スペースを使ったようなところなど、設備がいい割に安いところも多い。金額は、ドロップインの3時間パックや終日利用で1,500〜2,000円くらいというのが感覚値。

電源と通信は申し分ないが、デスクは大きなものを数人で共用、チェアは普通のオフィス用、外付けディスプレイなはい、というのが一般だ。

私が行った中には、昇降デスク、外付けディスプレイ、ヘッドレスト付きの椅子があるところもあった。出先でもそれだけの環境が揃うなら、としても仕事がしやすいと思う。

ちょっとした地方都市には、近年のスタートアップ支援強化の流れの中で、それなりに設備が充実しているだけでなく、思いを持って場づくりをしているコミュニティ・マネージャー的な人がいるところがあったりする。

現地でスタートアップ支援をしている人や、その地に関係ある人に聞くと、大抵1つや2つに場所は絞られるので、教えてもらったところを利用したことが多い。

プログラム提供者が用意した場所

地方で行われるプログラムの場合は、運営側で仕事場を用意していることが多い。過疎地で行われるようなものは、近年新設されてところや廃校を改装したところが案外多い。地方振興の予算支援を受けてつくったような、なかなか環境が充実しているところが少なくない。

また、ホテルの一階がコワーキングで、宿泊者は無料で使える、というところもあった。

公共空間(カフェや空港など)

電源と通信のあるカフェなどでも仕事はできる。地方都市ならスタバが大抵あり、スタバにはWi-Fiと電源が必ずあるあるのでよく使う。電源のある席が埋まっていることがあるのと、オンラインが1時間ごとに繋ぎ直しなところは不便だが、移動の合間にちょっと作業やzoomをするのに使うことは多い。

飛行機の場合、到着後などに空港のラウンジを使うことがあるが、基本的に通話禁止でZoomができないのが問題。電話ブースに椅子を持ち込んでやったことがあった。

大きめの温泉施設でやったこともある。一応机とWi-Fiはあったが、回線が不安定でZoomがちょいちょい切れたり、後ろで子供が騒いでいたりと、オンラインミーティングをするにはあまりいい環境ではなかった。専用施設ではないのだから仕方ないが。

新幹線、特急、長距離バス

長距離移動も今は仕事がしやすくなっている。新幹線などはWi-Fiついているし、在来線の特急やバスでもWi-Fiがついているところもある。また、テーブルや電源がついている車種もある。

ただ、テーブルはそもそもお弁当を食べるためのもので、長い時間仕事をするのに快適とはいえないし、バスなどではない場合もある。新幹線でも電源がないこともあるし、電源がない特急やバスなども少なくない。在来線などは特に、トンネルなどで通信が途切れることもよくある。

よって、移動の間はなるべくミーティングは入れないし、資料作りや調べものなどは前もって済ませる。

移動の合間

ちょっとしたメールやメッセージなどは、近距離移動の電車やバスの中でもできるし、近しい相手とのカジュアルなZoomなら、スマホにイヤホンをつけて歩きながらでもできる。

ワーケーションは制約もあるし生産性は下がる

このように、ワーケーションでは使える時間も減るし、設備や環境の関係で、できることが限られたり、効率も下がる。人との共創なら、一緒に行くのでない限り、生産性も下がるだろう。

それでもやるのは何のためか。私としては、個人がいつもと違う環境に身を置き、普段付き合うのとは違う人と話すなどして、様々な刺激を蓄積し、ひとりの時間で思索を深めることが、場所を変えて仕事をする意義ではないかと考えている。

よろしければTwitterもフォローください〜 https://twitter.com/Ryu_8cchobori