見出し画像

プロフィールをつくる 〜自分の講座を企画する全思考過程(3)

年間200件の社会人講座を実現するプロデューサーが、企画の方法論を詳説します。

一般的なビジネスパーソンが、自らの知見を、セミナー等の学びのコンテンツに、全く白紙の状態から完成させるまでの全プロセスを、考え方も含めてお伝えします。

今回は、プロフィールの作り方です。

※この連載は3/23~26実施「自分の講座を企画する!オンラインゼミ」の内容を記事化したものです

講座を企画する-統合版2 (27)

案内文はどう読まれるか

講座案内におけるプロフィール(略歴)の役割は、読み手の動線を考えると明確になります。

画像1

読み手は、facebookなどで目にしたイベントのサムネイル画像やタイトルを見て「これは自分の役に立ちそうだ」と直感したら、ページを開いて冒頭を速読して概要を把握するでしょう。

次に、略歴を見て「講師はこの話を話すに値するか」を見るでしょう。

内容がいかに今の受講者に必要なものであろうと、それを語る人が、然るべき経験、実績を持っていなければ、受講者が自ら課題を解決することはできず、参加する価値がないと判断されるからです。

略歴に求められる要件

コンテンツを語るに値すると、読み手が信じるに足る根拠を提供することが、略歴の機能です。

信じる根拠となるには、整合性、信憑性、再現性が必要です。

画像2

整合性

講師の語るコンテンツと過去の行動や実績が整合していることです。

起業に本格的に関わったこともない人が、起業について語る講座があったとしても、受けようとは思えないでしょう。

信憑性

然るべき実績・実力があることです。

客観的に確認可能な実績・事実や、評価は最も分かりやすいでしょう。
やり切った・考え抜いた人にしか見えない生々しい事実・思考でも伝わります。

社歴、ポジション、学歴など、間接的に信用を補強するものも、コンテンツと整合するなら使います。

再現性

「それはあなただから出来るのでしょう」というものは、自分の課題解決には役立ちません。

受講者が「自分でも出来る」と思えることが求められます。

受講者がそう判断するためには、コンテンツが講師以外でも実行可能な方法論になっていることと、講師と受講者の間に共通する要素があることです。

略歴の具体例

図解・構造化などにより議論を可視化するファシリテーション術の講座では、以下のような略歴を構成しました。

議論を「見える化」する技術

現役プロジェクトマネージャーが実践する、リアルタイムで議論の要点を構造化・可視化する技術の基礎を体得します。

◆講師略歴
システムエンジニア、グラフィック・レコーダー
25年以上の経験をもつ現役エンジニアとして、新商品企画、大規模システム開発、炎上プロジェクト対応など多様なプロジェクトをリード。実務の必要性から、グラフィック・レコーディングを工学的観点で方法論化して実践を重ねる。プロジェクト以外でも、200件超の外部セミナーを可視化し、ワークショップも10回以上実施している。
情報工学科卒業、ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリストなどに合格。
※元ページ
https://www.facebook.com/events/1633984646731834/

「議論がまとまらない」という、ここでは多くの人が共通して直面する状況を示した上で、大規模プロジェクトというよりシビアな状況の必要から見出した解決策であることを示しております。

また、それを方法論化していること、工学という専門的手法に基づき体系化していること、実務で数多く実践するのみならず、異なる状況で実践したり、自主的に教える活動たりしていることも明示しています。

それにより、この方法論が実践的で、実務における様々な異なる状況でも成果を上げていることだけでなく、教材や教授法も体系化されており、よって、参加者が習得・実践できる可能性が高いことを、読み手が判断するように、材料を整理しているのです。

素材を洗い出す

まずは考える限りの素材を洗い出します。

最終的には取捨選択しますが、まずは使えそうなものを思いつく限り揃えるのがいいでしょう。

オーソドックスには、ベースとなる経歴、方法論に関する要素、信憑性を加味するもの、といった要素に分けて、自身の持つ材料を網羅的に出してみます。

なお、あくまでコンテンツや講義の内容の信憑性等を強化するためのものであることから外れないようにします。

画像3

講師に関する要素

まずは、一言で言える、所属・役職、専門(デザイナー)のような肩書きから、キャッチコピーなど。

次に、主な経歴。職歴や、個人活動。

他に、ターゲットとの共通・共感要素もあれば。業界、専門、スキル等のレベル、直面した問題などが近しいほど、そこから生み出された方法論は、自分にも有効で、自分にもできそうだという印象を持たせるでしょう。

さらに、原体験、価値観、ターニングポイント、ジレンマ、ミッション、ビジョンなど、人の共感を得られるポイントがあれば、この人から学びたいと思う要素になり得ます。

方法論に関する要素

方法論は、自分の課題に有効で、自分も使えそう、というのがポイントになります。

どんなジレンマに直面し、どんな課題を解決し、何を実現するために生み出されたのか、誰のどんな課題をどういうメカニズムで解決するのか、過去の手法や今の他の方法論と何がどう違うのか、などです。

確立された方法論であれば、方法論の正当性、習得の正当性、実践経験の質量、実績や評価に加え、講師の差異化要素などが素材になるでしょう。

信憑性を増す要素

一番は実績です。
客数、満足度、売上など定量的に表せるものもあれば、客名や象徴的な出来事など、定性的なものもあります。

資格もあるでしょう。
但し、講座と関係あるものに限ります。
賞やメディア掲載など、第三者の評価が入ったものもあり得ます。

学歴や有名企業も、好むと好まざるは別として、信憑性を増す要素にはなります。
変にそこばかりアピールしているように見えると「実力や中身に自信がないのか」と思われますし、変に伏せると「言えないのかな」と思われ、難しいところではあります。

ただ、公表して信憑性が増す要素になるのなら、あっさりと入れておくくらいが、現実的な対応ではないかと思います。

略歴を構成する

盛り込み過ぎて文章が長く複雑になったら読んでもらえません。
目的は、読み手に「この講師はこの内容を話すに値しそうだ」と思わせることです。
よって、その目的を達成する、簡潔な文章を構成することが求められます。

まずはターゲットの関心に合わせて要素を取捨選択し、上記目的達成に有効かどうかの観点から、優先順位づけします。

その上で、頭から速読しても要点が頭に入るような、思考の流れに沿った簡潔な文章に整えます。

講師本人が書くと、どうしても言いたことが多かったり、細かな正確性や自分なりのこだわりが入って、どうしても講師やテーマを知らない人が見ると意味が分からないものになる傾向があります。

300文字以内を目安に、作ったら圧縮してみると良いでしょう。

よって、真剣かつニュートラルな目でフィードバックをくれる人に速読してもらい、フィードバックをもらうことが校正には有効です。

次回は、各要素の解像度の上げ方について記します。

今後の「講座企画」講座

もしご興味あれば、以下のfacebookページをいいね!またはフォローください。講座公開時に通知されます。

参考記事:筆者について


よろしければTwitterもフォローください〜 https://twitter.com/Ryu_8cchobori