ゆるくつながる技術-3.困りごとを拾う
良い形でつながりをつくり、わらしべ長者的にコトを形にしていくと、人生が思いがけず愉快な方向にシフトしていく気がします。
「普通の人」が、そうしてご縁の輪を広げる、ちょっとした基本行動について書いてみます。
前回は、誰でもできるGiveとしての「人をつなぐ」ことについて書きました。
今回は、人の困りごとを解決することについて。
人の困りごとを解決する
新しく人と会っても、「昨日はありがとうございました」や「今度また会いましょう」では記憶に残りません。
Giveしてくれる人は記憶に残りやすく、その最も簡単な一つが人をつなぐことと言いましたが、より踏み込んだ策は、相手のためになることを実現することです。具体的に何かを一緒にした相手は記憶に残りやすいからです。
とはいえ、「普通の人」はなかなか価値ある提案もできないと思いがち。
そんな人でもできるのは、相手の困りごとを解決すること。実現でにるかはともかく、解決しようとする姿勢を姿勢を見せるだけでもいいでしょう。
相手から頼まれる方がいいですが、最初からそうはなりません。しかし、拾いにいくのは誰でもできるものです。
つぶやきを拾ったら、3年後に仕事に
私の場合、つぶやきを拾って解決したら、数年後に仕事なりました。
具体例でお話しましょう。
サムスンで働いている頃、ある集まりで早稲田大学ビジネススクールの先生と会い、自己紹介したら、彼が「うちのゼミ生が大企業とビジネスプランコンテストやりたいと言ってるんだよね」と呟き半分で言いました。
頼まれたわけではないけれど、敢えて「じゃあ、うちでやりましょうか?」と拾い、上司の役員に掛け合って会社をスポンサーにつけ、学生をサポートして、サクッと企画を実現させました。
3年ほどしてまた偶然その先生と再会します。彼はちょうどその時、早稲田大学の社会人スクールの立上げに携わっていました。
私が、ちょっとしたひとことを拾って解決したことが記憶に残ったのでしょうか、「事務職員が講座の企画に苦心しているから相談に乗ってやってくれないか」と、軽く頼まれたのです。
二つ返事で快諾すると、当の職員たちを紹介され、毎週くらいのハイペースで壁打ちすることにしました。
純粋な善意で、最初はボランティアでしたが、個人的に興味があるテーマだったので、毎回2時間くらい真剣に知恵を絞っていたら、やがて先方から、仕事としてやってくれないかと頼まれました。
さらに、最初の講座を立ち上げる動きが評価され、通年で講座を作るプロデューサーとなり、やがて最多で、自身の主催含め年間200本も作ることになりました。
これが、今につながる仕事のキッカケとなったのです。
困りごとを拾い続け、「頼めば何とかしてくれる人」と記憶してもらう
上記のようなことを日々続けていくと、その内何だか色々頼まれるようになります。
変わったものだと、コロナ直後に、ある化粧品会社の社長から、工業用アルコールを2トン調達出来ないかという相談が、個別メッセージで来ました。
私は化学メーカーや商社にいたわけでもないので、なぜ私に頼んだのか全くの謎ですが、こうしたGiveの積み重ねが奏功したのか、Facebookで投稿しただけで、数日で何とかなりました。
「基本行動」として続けられるように
そうはいっても、自分のためになるかも分からない、よく知りもしない人の困りごとを拾いまくって、手数を取られ、疲弊しないかとの心配もあるかもしれません。
コツは単純な話で、手数かからず出来そうなことだけをやればいいのです。やりたいと思ったことをすればいいのです。Giveしたくなる相手だけでいいのです。それを超えると、自己犠牲で消耗することになり、続かなくなります。
息をするように、気分良く楽しく出来ることだけに留めれば、気軽に続けることができ、そうしている内に、できる範囲が徐々に拡がっていくのです。
続ける仕組みが欲しくなる
紹介にせよ困りごと解決にせよ、個別のマッチングを続けていたら、気軽にできるものばかりにしても、そこそこ大変になってくるでしょう。効率的にさばく仕組みが欲しくなります。
そこで役立つのが、ちょっとした人つなぎの場をつくること。人が集まり、横につながる場をつくれば、自分があまり手をかけずとも、当人同士でのマッチングが、まとめて捌けます。
次回はそんな「場をつくる」ことについてお話しします。
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