"軽い"セミナーの作成プロセス
最近、イベントの作り方が分からないので教えてほしいという相談がちょいちょいあります。
そこで、これまで17年にわたり複数コミュニティを運営し、年間最多で200件、延べで1,000件以上のイベントやセミナーを企画してきたノウハウを簡単に説明します。
今回は、セミナーを例に具体的なプロセスを考えてみます。
ここでは、直近に私が実施したイベントを具体例として説明します。
何のためにやるのか(目的、成果)
主催者・企画者が、これをやることによって何を得るのかが曖昧だと継続しないので、まずこれを明らかにしておきます。
最終ゴール:最終的にどんな状況を実現したいのか
例)アルムナイ研究会に入会してもらう企業を増やす
今回ゴール:
どんな対象に、どうなってもらいたいのか
→会員になる見込みの企業の担当者に認知・参加してもらう自分たちが何を得たいのか
→ターゲットのニーズを探るイベント終了後、誰にどんなアクションをしてもらうのか
→アンケートに回答してもらう:ニーズ、参加意向
何をするのか(コンテンツ)
シンプルかつ具体的に「何をするか」を言葉にしてみましょう。
基本は「何を、どうする」です。
企業アルムナイの作り方を学ぶ
誰が(講師=価値提供者)
何かを定義したら、どんな価値があるかも明らかにします。
まずは「誰が話すか」。
起業未経験の人が起業の方法論を話しても、説得力がないように、コンテンツはスピーカーとセットで価値が出ることが多いです。
企業アルムナイの専門家(説明)
疑い深い目で見れば、説明は「自分で言ってるだけ」でしかありません。
価値を裏付ける
例えば肩書き。
中央大学 企業アルムナイ研究会 客員研究員(肩書き)
ソニー有志アルムナイ発起人(肩書き)
若干「人のふんどし」の力は借りられても、これでは弱いでしょう。
経験/実績/成果など、「客観的」事実や論理で裏付けられないか。
経験:17年にわたり、複数コミュニティを運営
実績、成果
ソニーの有志アルムナイを立ち上げ
1,000人規模に拡大
その他:資格、賞、評価、など
注意:形容詞で説明しない
「経験豊富な」「業界トップの」などの形容詞はいずれも「解釈」です。
当人が主張しているだけで、他者が信じる根拠にならないからです。
どう提供(How)
どの様に提供するかも決めておきます。
提供内容に合わせ、ターゲットに伝わる言い回しを選びます。
セミナー、講義:一方的な説明
ディスカッション、ゼミ:双方向の議論
対談、パネル:複数人の登壇者による話
ワークショップ:アウトプット型の学び
提供形態:リアル、オンライン、ハイブリッド
誰が、何のために(ターゲット)
次に、どんな人が、何のためにそれをやるのか、を考えます。
属性
まずは他の人からも分かる特徴で考えてみます。
どんな人(属性):大企業の人事
より具体的に-1:アルムナイ立ち上げを担当する人
より具体的に-2:カムバック採用に携わる人
状況
状況を想定してみると、ニーズや課題がイメージしやすくなります。
担当役員から「我が社でもアルムナイを立ち上げろ」と降ってきた
ニーズや課題
上記を踏まえ、内面的な欲求や困りごとを言葉にしてみます。
どんな人(ニーズ):企業のアルムナイに関心がある
どう立ち上げればいいか分からない
どう活性化すればいいか分からない
目的やゴール、評価指標をどう決めればいいか教えて欲しい
主語を参加者に置き換えてみる
参加者の立場になり「私は〇〇のために参加する」言い換えてみます。
何のために/何をしに、このセミナーに来るのか、明らかにします。
アルムナイをうまく立ち上げるため
アルムナイのメンバーが共創するようになる施策を具体化するため
アルムナイの成果指標を具体的に落とし込むため
「ひとこと」にしてみる
ここまで整理したら、どんなものかを一言で説明してみましょう。
誰のための、何(コンテンツ)
誰が、どうなる(ターゲットと効果)
誰が、誰に、何を、どうする(講師推し)
「誰のための、どんなもの」
まずはシンプルにまとめます。
誰のための:企業アルムナイ担当者のための
何:アルムナイの作り方セミナー
「(どんな)誰が、どうなる」
ニーズや課題解決を核に整理してもいいです。
どんな課題をもつ:どの様に立ち上げればいいか分からない
誰が:アルムナイを立ち上げたばかりの企業担当者が
どうなる:活動を盛り上げられる様になる
「誰が、誰に、何を、どうする」
ウリが講師なら、誰が話すかを全面に出してもいいでしょう。
誰が(講師):経験豊富な企業アルムナイの専門家が
誰に(参加者):アルムナイを立ち上げたばかりの企業担当者に
何を:アルムナイを活性化する具体的な打ち手を
どうする:説明する
前段で「形容詞は使うな」とは言いましたが、導入をシンプルにするため、最初は形容詞にして、続く本文で簡潔に説明することもあります。
内容の調整
大まかな内容を決めたら、それが現実的か検証し、中身を調整します。
制約の整理
時間/場所/人数など、コンテンツの制約条件を整理する必要があります。
時間:何分か
人数:何人か
会場や形式(オンラインなど)
検証:制約に対し、内容が現実的か
考えている内容が、人数などを勘案した時、時間に収まるか考えます。
一般的に、時間に対して、内容が盛り込み過ぎのことが多いです。
検証して無理そうなら、全体の辻褄が合うようにします。
内容を削る
時間を延ばす
定員を減らす
実行できること、目的、コストなどの兼ね合いで判断します。
調整
内容を削るにしても、単に内容を間引くだけでは不満に繋がります。
根拠に基き、メリハリをつけて調整する必要があります。
判断根拠を整理
まずは判断の根拠を整理します。
目的やターゲット
ターゲット:企業のアルムナイ運営者
目的:研究会に入会してもらう、ゼミを受講してもらう
全体的な目的達成の中での、今回イベントの位置付け
例:バックエンド(入会、ゼミ受講)への入り口
例:コンテンツのブラッシュアップと、ニーズとの突合
対象とコンテンツのバランスを取る
その上で、対象やコンテンツの絞り込みを調整します。
対象を絞る
レベルを上下:初心者向け基礎編、実践者向け応用編
→コンテンツと整合させる属性=ニーズを絞る:
例:アルムナイ関係者→企業のアルムナイ責任者
コンテンツを絞る
ステップや範囲を限定
例:立ち上げ段階まで、などエッセンス版にする(要約や抜粋)
内容を具体的に細分化
内容をより詳しくしてみます。
「具体化するため」と「主催者と講師の備忘」の2つの目的があります。
主な要素は以下で、必要なもののみ記載します。
コンテンツが複数の場合:進行に分解
いつからいつまで、誰が、何をするか、個別要素に分解します。
時間(何時何分〜何時何分:何分間)
内容、担当
個々のコンテンツ:構成に分解
コンテンツの主な構成要素を3〜5つ程度に落とし込みます。
自己紹介
主催者や講師が何者かも説明しておきます。
主催者(安心材料)
誰が何を目的にやっているか分からないと、参加者は不安になります。
以下を目的や参加者の関心に応じて取捨選択して、簡潔な文章にします。
活動の目的(全体の目的、今回の目的)
メンバー(属性や規模)
活動の内容(アクティビティの数や種類、活動期間)
信用補完(受賞、著名なものとの連携、など)
講師(価値の説得力UP)
「どんな人が話すか」は、コンテンツの価値の裏付けとなります。
本文では簡潔な記載(何の成果を出した〇〇)に留めますが、略歴ではより多面的に価値を裏づけます。
基本条件の確定
内容以外の部分を確定していきます。
開催概要
参加するかどうかを判断する基本となる情報を設定します。
日時(何時〜何時)
会場(具体的にどこか)
オンラインの場合:ツール
参加費:無償〜有償→いくらか
支払方法(手段、期限など)
参加関連
誰が、どうすれば参加できるかや、人数規模も決めます。
どんな人が、何人
定員:何人参加できるか
会場キャパに応じる
コンテンツ特性に応じる
ニーズ=予想参加人数を勘案
参加資格
イベントの趣旨に応じて条件を絞る
申込方法
申込手順と、どうすれば正式申込になるかも決めます。
一般的なパターンとしては以下となるでしょう。
SNSのイベントページでの「参加予定」
最も手軽
管理しにくい
Google formなどへの登録
手軽
管理しやすい
フォロワー蓄積できない
Peatixなどツールでの申込や事前決済
会費徴収の手間が省ける
フォロワーを蓄積できる
申込にユーザー登録が必要
メール、電話、紙での申込
申込不要(当日、現地に来ればいい)
※ツールの選定
一般的に何がいいというのはありません。
以下の要素で総合的に判断します。
ターゲット属性にマッチしたもの
何が普及しているか
ITスキルレベル
運営側の使い慣れているもの
運営側の目的や事情
リストを取りたい
より多くの人に来て欲しい
工数を最小限にしたい
キャンセル率を最小限にしたい
参加者とのパワーバランス
価値が高ければ、手間も厭わない
おさらい:全体構成
上記をイベントページに再構成すると、以下になります。
*内容やウリ等、前提条件に応じて、順序や要素を変える必要はあり
タイトル
本文
リード(端的な1文程度の説明)
詳細
ターゲット
ポイント(ウリ)
概要
日時
会場/形式
参加費、支払方法
定員
参加資格
申込方法
進行、コンテンツ構成
講師略歴
主催者説明
備考
参考:備考の作り方
以下のnote記事をご参照下さい。
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