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ヒッツフェルト氏の語る「ローゼ監督騒動、ムシアラの才能、レーヴ監督の改革」

—— 以下、翻訳 (インタビュー記事全文)

監督業のレジェンドであるオットマール・ヒッツフェルト氏が、古巣クラブ同士の熱い戦い、監督の退団条項、バイエルンで成功溢れるフリック監督とサリハミジッチ取締役のコンビ、そしてミュラーのドイツ代表復帰について、ドイツ『アーベントツァイトゥング(AZ)』紙に語ってくれた。

AZ:ヒッツフェルトさん、ドルトムント・ボルシアは、敵地メンヘングラードバッハで行われたDFBカップ準々決勝で1:0と勝利を収め、土曜日にドイツ伝統の一戦、FCバイエルン・ミュンヘンとの戦いに臨みます。この勝利は、どれほど重要だったのでしょうか?また、これによりドルトムントはどれほど弾みがつくのでしょうか。

オットマール・ヒッツフェルト:グラードバッハでの強豪チームに対するこの勝利は、モチベーションを高め、力を解き放つだろう。ドルトムントのチームには優秀な選手がいるものの、比較的若い選手が多い。そこで、成功体験を重ねることが大切だ。なぜなら、原則として、若い選手はベテラン選手と同じようにはスランプを隠せないからだ。バイエルンとの対決には、非常に大きな価値がある。ドイツや欧州全体がこの試合に注目しているからね。

ドルトムントは、自分たちが再び侮れないチームだと示したいはずです。その一方で、RBライプツィヒは、現在ドイツサッカー界における第二の勢力ですよね。

今のところ、ライプツィヒの方が好調だが、彼らは選手獲得で非常に成功しているね。ユリアン・ナーゲルスマン監督は良い仕事をしており、チームを鼓舞することができる。また、ドルトムントに比べて失うものは少ない。ライプツィヒは上位争いができなければ、自分たちのファンのことは気にするが、ドイツ全体のことは気にしていない。BVBは、バイエルンと同様に巨大なファンを抱えているね。

ミュンヘンで勝利できれば、ドルトムントはタイトル争いに復帰できる可能性もあるのでしょうか?

いや、それはないと思うが、ドルトムントはミュンヘンで勝利すれば、ファンの気持ちを少し和らげることができるのではないかな。結局、今シーズンは不本意な結果に終わってしまうのだからね。BVBにとっては、かなりの危険に晒されている。とはいえ、突如、残りのシーズンで復調すれば、チャンピオンズリーグ出場権を獲得できる可能性もあるだろう。これは財政的に非常に重要なことだ。だが、ドルトムントが勝つとは思えない。それほどまでに、バイエルンは優れたチームだ。

ここ数年、BVBはこれまでアリアンツ・アレーナで4:0、5:0、6:0という結果に終わっている。

なぜなら、これはバイエルンの選手たちにとっても特別な試合だからだ。誰もが集中しており、注目度は絶大だ。そして、バイエルンは、ただ純粋にバイエルンなのだからね。

グラードバッハのマルコ・ローゼ監督の、BVB移籍についてどう思いますか?

クラブ責任者は、すでにある程度の経験豊かな監督が必要だと判断し、ローゼ氏に至ったと思う。この監督交代は、ドルトムントの視点で私は理解している。ローゼは監督に適した性格で、優れた人格を持つ。彼には、専門性、人当たりの良さ、プレー哲学があるからこその人選だと思う。また、彼はグラードバッハで穏便にシーズンを終えることができると思うし、周囲の環境は落ち着いている。スポーツディレクターのマックス・エベールと副社長のライナー・ボンホフは経験豊富で、彼のことは擁護するだろう。

この退任が実現するのは、ローゼ監督の契約内容に含まれる契約解除条項によるものですね。

そういう条項は好きではない。私自身は入れたことがないね。私の哲学は、契約書にサインするならば、それを全うすべきということだ。監督とは、お手本でなければならない。1年も前に退任の意向があるなら、話し合うこともできただろう。選手からしても、良い気はしないだろう。もしそうならば、高額な契約解除金も入ったはずだ。

ルシアン・ファヴレ前監督のアシスタントコーチを務めたエディン・テルジッチ暫定監督は、マッツ・フンメルスを中心に選手たちから支持されています。テルジッチ氏は本当に文句なしに、ローゼ新監督のアシスタントコーチとして2番手を受け入れるのでしょうか?

クラブ責任者は、彼がクラブにとって重要な存在であることから、彼の長期残留を視野に入れていると思う。テルジッチ氏も給料の階層は上がるだろう。

もし他のクラブから、彼に対して監督就任のオファーが来たら?

そうなれば、彼は考えなければならないだろう。自分の道はどこに向かうのか?とね。彼はまだ比較的若く、柔和な態度で、チームとの関係性も良く、親密な関係を築いている。緊密になりすぎても良くはないがね。アシスタントコーチになれば、また違った関係性となり、選手の味方として、常に選手に耳を傾けてるものだ。監督は決定を下し、プレーできない選手は心を痛める。そしてその後、アシスタントコーチがまたそれを落ち着かせる、といった具合にね(笑)。

それがハンジ・フリック監督がアシスタントコーチから正監督になり、6つのタイトルを獲得したことにつながっています。今、プレッシャーと期待は高まっているのでしょうか?

ハンジ・フリック監督はセンセーショナルな仕事をした。トレブルは信じられないものだった。幸運ではなく、圧倒して優勝したのだ。監督にとっては、それを認めたうえで、レベルを上げていくのは難しいことだろう。というのも、選手たちはこれほどの成果を挙げ、多少の満足感はあるだろうからね。だからこそ、キールでのDFBカップ敗退のような挫折があるのは当たり前だ。私自身も、そういう番狂わせは経験してきたね(笑)。

18歳のジャマル・ムシアラは、イングランド代表ではなくドイツ代表を選んだことは嬉しかったですか?

ああ、もちろんだよ。彼はドイツの至宝であり、将来を約束されている。ムシアラだけでなく、アルフォンソ・デイヴィスも含めて、最近の良い移籍をしてくれたハサン・サリハミジッチのスポーツマネージメントには大きな賛辞を送らなければならない。精神的にも肉体的にも強く、技術的にも非常に優れており、スピードのある選手たちだ。まずは、こうしたタレントを見つける必要があるのだが、ブラッツォ(サリハミジッチ氏の愛称)は、良い目を持っているね。そしてフリック監督は、チームを組み立てる建築家だ。ムシアラのプレースタイルは、同じく繊細な宝飾技師のようなメーメット・ショルに似ている。

2019年3月にドイツ代表から追放されたトーマス・ミュラー、マッツ・フンメルス、ジェローム・ボアテングの、代表復帰への扉を開いたヨアヒム・レーヴ代表監督の発言をどう評価しますか?

ミュラーは、ワールドクラスのサッカーを披露し、重要なパスを出し、ゴールを決めるという、彼らしい特徴で活躍を見せてくれた。彼は結局、一時的なパフォーマンスの低下だった。当時のレーヴ監督は、決断がやや早すぎたのかもしれない。この時点を見れば、ミュラーのほか、フンメルスもボアテングも、それほど目立ったプレーをしていなかった。

レーヴ監督が代表監督を退任する可能性はあると思いますか?

私が思うに、重要なのは、レーヴ監督が何をしたいのかだ。つまり、欧州選手権だけで終わりたいのか、それとも、それ以降も監督を続けたいのか?ということだ。もし続投を望むなら、当初のチーム改革という、自身の決断を貫かなければならない。一方、もし今大会でベストを尽くして退任するのなら、また違った決断を下すことになるかもしれないね。

▼元記事
https://www.abendzeitung-muenchen.de/sport/fcbayern/hitzfeld-im-az-interview-musiala-hat-eine-gewisse-aehnlichkeit-mit-scholl-art-711110


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