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ミュラーの語る「成功」とは

昨シーズン、クラブ史上2度目となるトレブルにチームを導き、現在ばいやんで大活躍するトーマス・ミュラー(31)
自身の LinkedIn で、プロサッカー選手としての姿勢や考え方についての記事を寄稿していたので、紹介します。
【記事リリース日: 2020/10/9】


—— 以下、翻訳 (記事全文)

今日は、現在FCバイエルンが直面するテーマについて、私の考えをお伝えします。自分自身を駆り立てるものは何か、そして自分の感情にどのように向き合っているのか。

「成功」(愛おしくもあり苦しくもある)

成功とは、誰もが求め、誰もが欲するもの。それはたとえ、人によってその定義が異なっていたとしてもです。少しの間、何かを手に入れたと思っても、次にまた更なる成功を追いかけるものです。一方では、これは私たちの社会が形成した仕組みであり、他方では、私たち人間が、自分自身の中にその構図を持っているとも言えます。そして、それが私たちを駆り立てるのです。すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、私もその一人です。🤓

しかし、成功は、時に辛い側面や、そして何よりも、非常にチャレンジングな側面も持ち合わせています。チームであれ個人であれ、たとえどれほど凄い結果を出しても、成功はずっと続くという類のものではありません。私たちの監督であるハンジ・フリックの言葉を借りれば、「成功は所有物ではない。ただの借り物であり、毎日がその支払い期限なのだ」という表現が、まさにピッタリだと言えます。

進め、もっと先へ!

「コロナ明け」後の数ヶ月間、特にリスボンで行われたチャンピオンズリーグ決勝トーナメントでは、見事な連勝で欧州サッカー界の頂点へ返り咲くことができました。選手たちは個人の高いクオリティにも関わらず、チームの成功のために自我を捨て、そして、チームの団結力や、選手一人ひとりの意志というものが、ピッチ上のあらゆる瞬間で感じられました。ありがたいことに、ヨーロッパ各国のファンやサッカー専門家の皆さまから、私たちのプレースタイルに多くの賞賛と高い評価をいただきました。

称賛や祝福を受けるというのは、当然この上ない気持ちで、その最高の瞬間で時間をストップさせたくなります。しかし、ここで初めて成功の問題というものが生じます。時間を止めることなどできませんし、更なる成功に向けて期待は非常に高くなります。そして、これは、自ら次なるミッションのハードルを設定するようなものであるとも言えます。今や誰もが打倒を目指す、まさに欧州中で「追われる立場」となったのです。

これに争い、何度も自己研鑽を重ね、それでもなお自らのパフォーマンスを伸ばすというのは、非常に大きな挑戦です。今まさに求められているのは、頭脳的そして精神的な要素です。傍から見ると、今は少し気楽に取り組んだり、1〜2つのステップを省くことができると思われるかもしれません。とはいえ、新シーズンの試合スケジュールはかなり過密で、すぐにその続きが再び始まります。皆さんもこの困難な状況がお分かりでしょう。

休息を取るのと同時に、トレブルという歴史的な偉業を自分の中で消化し、メンタルを整えるには、2週間というのは相当短かったです。そして、あっという間に新シーズンが始まり、シャルケ04戦での勝利でその幕を開けました。それも、開幕戦で8:0という好発進!この勝利で、すぐにチームは再び大きな喜びに包まれました。続くUEFAスーパーカップとドイツスーパーカップで、それぞれギリギリの戦いを制したことで、我々の中にまだ勝者のメンタリティがあることを示すことができましたが、その一方で、いくつかの弱点も露呈する結果となりました。そして、ホッフェンハイム戦で10ヶ月ぶりの敗戦を喫したことで、現在チームの抱える課題が浮き彫りになりました。ヘルタBSC相手に4:3という僅差の勝利を収め、代表ウィークを迎えることができました。

さて、これから再びスイッチを入れ直さなければなりません。ここ数週間から数ヶ月に掴んだ栄光を忘れて、ネガティブな思いも脱却すること。私の経験上、パフォーマンスを発揮するのに、過去は関係ありません。過去の出来事に文句を言っても何も変わらないのです。サッカーでも人生でも、常に次のチャレンジが待ち受けています。将来のことに対してであれば、自分の考え方によって影響を与えることができます。そこへ全てのエネルギーと集中力を注ぐべきです。それは例えば、大切な人を笑わせるといった、ささやかなことにも言えます。

私個人としては、サッカーにおいて、タイトルやトロフィーはまったく重要視してきませんでした。大事なのは、常に勝利への闘志を燃やすことです。たとえそれが、紅白戦でも、ブンデスリーガでも、チャンピオンズリーグ決勝でも同じです。一番になりたいという意志。この強い気持ちのために、精神的そして肉体的な限界まで自分自身を追い込む準備があります。それはまた、FCバイエルンの特徴とも言えます。困難を乗り越える局面では、しっかりと踏ん張ること。もしも苦しい時なら、より一層強い気持ちで臨むこと。これらは、これまで常に私の心を駆り立ててきた考え方であり、今後数ヶ月間の私たちに課された課題です。

これからが楽しみです!

▼元記事
https://www.linkedin.com/pulse/wie-es-ist-im-profisport-der-gejagte-zu-sein-thomas-m%C3%BCller?articleId=6720283405314994176#comments-6720283405314994176&trk=public_profile_article_view

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