マンション標準管理委託契約書 第8条(緊急時の業務)

(緊急時の業務)
第8条 乙は、第3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲のために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額 を甲に通知しなければならない。
一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等
2 甲は、乙が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やかに、乙に支払わなければならない。ただし、乙の責めによる事故等の場合はこの限りでない。
コメント
8 第8条関係

① 本条で想定する災害又は事故等とは、天災地変による災害、漏水又は火災等の偶発的な事故等をいい、事前に事故等の発生を予測することが極めて困難なものをいう。
② 第1号及び第2号に規定する災害及び事故の例等については、当該マンションの地域性、設備の状況等に応じて、内容の追加・修正等を行うものとする。

解説

 緊急時の管理業者の業務について定めている。『第3条にかかわらず』『甲のために、緊急に行う必要がある業務』と定めている。緊急時に管理業者がマンションにいたとき、対応できる応急工事を管理業者が行うことができ、その費用の請求ができる。第3条にかかわらない業務を緊急に行った時は、民法上の事務管理にあたり費用は請求できるが報酬は請求できない。

参照条文等

民法 第697条(事務管理)
 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
2 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。

民法 第698条(緊急事務管理)
 管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。



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