マンション標準管理規約(団地型) 第72条(議決事項)

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2021年6月22日改正(コメント部分)


条文

(議決事項)
第72条 次の各号に掲げる事項については、棟総会の決議を経なければならない。
一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
五 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却
六 区分所有法第69条第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと

コメント

第72条関係
① 棟総会の議決事項については、団地総会の議決事項とすることはできない。
② 棟総会の議決事項は、団地全体や他の棟に影響を及ぼすことも考えられるので、計画段階において他の棟の意見を取り入れるといった方法や棟総会で決定する前に理事会又は団地総会等に報告するといった方法で、団地全体の理解を得る努力をすることが適当である。
③ 特に、団地型マンションにおいて円滑化法第108条第1項の場合のマション敷地売却決議を行う場合は、マンション敷地売却決議は各棟において棟総会で行うものの、決議内容及びその他の手続きについては全棟での一体性が必要となるため、平成30年の円滑化法施行規則の改正を踏まえ改訂された「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」(平成26年12月国土交通省公表)を参考に、団地全体での合意形成を図ることが重要である。
④ 各棟修繕積立金の取崩しは、基本的に、団地総会の決議を経なければならないと規定している(第50条第第十号及び第十一号)が、各棟の建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施経費に充当するための取崩しのみは、団地総会の決議ではなく、棟総会の決議を経なければならないと規定している。

解説

 標準管理規約(団地型)では、原則としてすべての管理は団地総会で決めることになるが、区分所有法で団地関係に準用されていないことは各棟の棟総会で決めなければならない。区分所有法において団地関係に準用されていないのは
○第6条の区分所有者の義務
○各棟ごとの規約共用部分
○規約敷地
○管理所有
○敷地利用権
○第32条の公正証書規約(第67条第2項にて団地共用部分の公正証書規約は作れる)
○★共同利益背反行為に対する訴え
○★復旧工事(規模を問わず)
○★各棟の建替え(専有部分のある建物のみの団地の時の一括建替えは区分所有法で規定されている)

 敷地に関しては、一棟の建物とその所在する土地の関係であり、戸建てを含むことのできる団地では使えない。管理所有に関しても、土地又は附属施設を共有することが前提の団地関係では、土地等の所有権の上に管理所有を重複させることは出来ないので準用できない。一部共用部分も各棟の話です。

 区分所有法により、団地関係に準用されていないもののうち棟総会で決議しないといけないのは、上記の★印をつけた3つ、共同利益背反行為に対する訴え、復旧工事、各棟の建替え決議である。しかしながら標準管理規約(団地型)において、管理費支出は団地総会の決議事項なので、共同利益背反行為に対する訴訟費用の持出しは団地総会による予算承認が必要。

 復旧工事、建替え工事に関しても、各棟修繕積立金の取崩しは団地総会による。棟総会で各棟修繕積立金の取崩しができるのは、第四号の建替え等の合意形成にかかる費用のみである。復旧工事、建替え工事を行いたいときは、事前に団地総会の理解を得る必要がある。

参照条文等

標準管理規約(団地型) 第50条(議決事項)
 次の各号に掲げる事項については、団地総会の決議を経なければならない。
六 第28条第1項又は第29条第1項に定める特別の管理の実施(第72条第三号及び第四号の場合を除く。)並びにそれに充てるための資金の借入れ及び団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
七 第28条第2項若しくは第3項又は第29条第2項若しくは第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し

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