マンション標準管理規約(団地型) 第48条(議決権)

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2021年6月22日改正


条文

(議決権)
第48条 各組合員の団地総会における議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ団地総会開会までに理事長に届け出なければならない。
4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
5 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その組合員の住戸に同居する親族
三 他の組合員
6 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

(規定なし)
(イ)電磁的方法が利用可能な場合 
7 組合員は、第4項の書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができる。
8 組合員又は代理人は、第6項の書面の提出に代えて、電磁的方法によって提出することができる。

コメント

第48条関係
① 議決権については、土地の共有持分の割合、あるいはそれを基礎としつつ賛否を算定しやすい数字に直した割合によることが適当である。
② 各住戸の面積があまり異ならない場合は、住戸1戸につき各1個の議決権により対応することも可能である。
 また、住戸の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することにより対応することも可能である。
③ ①の土地の共有持分の割合は、第10条コメント①によれば、専有部分の床面積が基準となっており、この点、単棟型の議決権割合(共用部分の共有持分の割合)も同様である。したがって、単棟型と同様、団地においても、①や②の方法による議決権割合の設定は、各住戸が比較的均質である
場合には妥当であるものの、高層階と低層階での眺望等の違いにより住戸の価値に大きな差が出る場合もあることのほか、民法第252条本文が共有物の管理に関する事項につき各共有者の持分の価格の過半数で決すると規定していることに照らして、新たに建てられるマンションの議決権割合について、より適合的な選択肢を示す必要があると考えられる。これにより、特に、大規模な改修や建替え等を行う旨を決定する場合、建替え前のマンションの専有部分の価値等を考慮して建替え後の再建マンションの専有部分を配分する場合等における合意形成の円滑化が期待できるといった考え方もある。
 このため、住戸の価値に大きな差がある場合においては、単に共有持分の割合によるのではなく、専有部分の階数(眺望、日照等)、方角(日照等)等を考慮した価値の違いに基づく価値割合を基礎として、議決権の割合を定めることも考えられる。
この価値割合とは、専有部分の大きさ及び立地(階数・方角等)等を考慮した効用の違いに基づく議決権割合を設定するものであり、住戸内の内装や備付けの設備等住戸内の豪華さ等も加味したものではないことに留意する。
 また、この価値は、必ずしも各戸の実際の販売価格に比例するものではなく、全戸の販売価格が決まっていなくても、各戸の階数・方角(眺望、日照等)などにより、別途基準となる価値を設定し、その価値を基にした議決権割合を新築当初に設定することが想定される。ただし、前方に建物が建築されたことによる眺望の変化等の各住戸の価値に影響を及ぼすような事後的な変化があったとしても、それによる議決権割合の見直しは原則として行わないものとする。
 なお、このような価値割合による議決権割合を設定する場合には、棟総会における議決権割合や分譲契約等によって定まる土地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。
④ 特定の者について利害関係が及ぶような事項を決議する場合には、その特定の少数者の意見が反映されるよう留意する。
⑤ 団地総会は管理組合の最高の意思決定機関であることを踏まえると、代理人は、団地建物所有者としての組合員の意思が団地総会に適切に反映されるよう、団地建物所有者の立場から見て利害関係が一致すると考えられる者に限定することが望ましい。第5項は、この観点から、組合員が代理人によって議決権を行使する場合の代理人の範囲について規約に定めることとした場合の規定例である。また、団地総会の円滑な運営を図る観点から、代理人の欠格事由として暴力団員等を規約に定めておくことも考えられる。なお、成年後見人、財産管理人等の組合員の法定代理人については、法律上本人に代わって行為を行うことが予定されている者であり、当然に議決権の代理行使をする者の範囲に含まれる。
⑥ 書面による議決権の行使とは、団地総会には出席しないで、団地総会の開催前に各議案ごとの賛否を記載した書面(いわゆる「議決権行使書」)を団地総会の招集者に提出することである。他方、代理人による議決権の行使とは、代理権を証する書面(いわゆる「委任状」。電磁的方法による提出が利用可能な場合は、電磁的方法を 含む。)によって、組合員本人から授権を受けた代理人が団地総会に出席して議決権を行使することである。
 このように、議決権行使書と委任状は、いずれも組合員本人が団地総会に出席せずに議決権の行使をする方法であるが、議決権行使書による場合は組合員自らが主体的に賛否の意思決定をするのに対し、委任状による場合は賛否の意思決定を代理人に委ねるという点で性格が大きく異なるものである。そもそも団地総会が管理組合の最高の意思決定機関であることを考えると、組合員本人が自ら出席して、議場での説明や議論を踏まえて議案の賛否を直接意思表示することが望ましいのはもちろんである。しかし、やむを得ず団地総会に出席できない場合であっても、組合員の意思を団地総会に直接反映させる観点からは、議決権行使書によって組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのためには、団地総会の招集の通知において議案の内容があらかじめなるべく明確に示されることが重要であることに留意が必要である。なお、このような考え方は棟総会においても同様である。
⑦ 代理人による議決権の行使として、誰を代理人とするかの記載のない委任状(いわゆる「白紙委任状」)が提出された場合には、当該委任状の効力や議決権行使上の取扱いについてトラブルとなる場合があるため、そのようなトラブルを防止する観点から、例えば、委任状の様式等において、委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決定することが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること等について記載しておくことが考えられる。なお、このような考え方は棟総会においても同様である。
⑧ WEB 会議システム等を用いて団地総会に出席している組合員が議決権を行使する場合の取扱いは、WEB 会議システム等を用いずに団地総会に出席している組合員が議決権を行使する場合と同様であり、区分所有法第39条第3項に規定する規約の定めや団地総会の決議は不要である。ただし、第三者が組合員になりすました場合やサイバー攻撃や大規模障害等による通信手段の不具合が発生した場合等には、団地総会の決議が無効となるおそれがあるなどの課題に留意する必要がある。

解説

 標準管理規約(団地型)において、団地総会の議決権は土地の持分を基礎とする。棟総会における議決権はその棟の共有持分を基礎とすることになり、団地総会と棟総会で議決権の割合が異なることも考えられる。

参照条文等

標準管理規約(団地型) 第71条(議決権)
 各区分所有者の棟総会における議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これらの共有者をあわせて一の区分所有者とみなす。
3 前項により一の区分所有者とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ棟総会開会までに棟総会を招集する者に届け出なければならない。
4 区分所有者は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
5 区分所有者が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その区分所有者の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その区分所有者の住戸に同居する親族
三 他の区分所有者
6 区分所有者又は代理人は、代理権を証する書面を棟総会を招集する者に提出しなければならない。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

(規定なし)
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
7 区分所有者は、第4項の書面による議決権の行使に代えて、電磁的方
法によって議決権を行使することができる。

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