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管理者とは【区分所有法】

 管理者とは、区分所有法第25条に定められており、集会の決議で選任される。いわゆる管理人さんや管理会社とは異なる。

区分所有法 第25条(選任及び解任)
 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
2 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。

 管理者とは、区分所有法における管理組合の執行機関になる。なお、管理組合法人では執行機関は理事になり、管理者を置かない。

区分所有法 第26条(権限)
 管理者は、共用部分並びに第21条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第47条第6項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第18条第4項(第21条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
3 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第2項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
5 管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。

 第26条により、管理者は共用部分と全員で共有する敷地や付属施設を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。すなわち、共用部分等を管理するために保存行為を行い、規約や集会決議に従って管理を行う義務を負っている。

 上記以外にも、規約や集会の議事録を保管する義務や集会の招集、集会の議長、集会での報告などの業務も区分所有法で定められている。また、区分所有法第28条により、管理者の権利義務は民法の委任に関する規定に従うため、善管注意義務(民法644条)も負うことになる。この場合、区分所有者の団体が委任者、管理者が受任者になる。

区分所有法 第28条(委任の規定の準用)
 この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。
民法 第644条(受任者の注意義務)
 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

 これらの法令を受けて、標準管理規約では、理事長を管理者(第38条第2項)に指定し、また、「組合員のために、その職務を誠実に実行する」(第37条第1項)と定められている。

 管理者等はマンション管理の目的が達成できるように法令等を遵守し、区分所有者のために誠実にその職務を執行する必要がある。



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