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【朗読】雑詩草子(動画版)第二集
第一集と同様に、九つの自作詩を合成音声で朗読し、写真を組み合わせながら、ひとつづきの動画にまとめました。
もともとばらばらだった短い詩をこのように束ねてみると、その繋がり重ね合わせから、意図していなかった様々なストーリーがあらわれることに気付きました。
是非、最後までご覧ください。
声:VOICEVOX:冥鳴ひまり、VOICEVOX:WhiteCUL
→https://voicevox.hiroshiba.jp
詩・写真・編集:こんちくけ
→https://note.com/conchiqueke/all
「雑詩草子(動画版)第二集」
欠けたがっている(WhiteCUL) 0:11
黄色い背伸び(冥鳴ひまり) 1:01
伽藍堂(WhiteCUL) 1:46
こんにちは、私(冥鳴ひまり) 2:23
漫才また終わる(冥鳴ひまり&WhiteCUL) 3:08
落下(WhiteCUL) 3:50
何かが余る(冥鳴ひまり) 4:38
灯し火(WhiteCUL) 5:07
掌(冥鳴ひまり) 5:36
<収録詩参照>
「欠けたがっている」
縁をかがり縫いされた月が
欠けたがっている
地球が見かねて助け舟を出す
鐘が鳴るように小さな地震が起きた
毛布にくるまれた世界の中で
私は小さくなりたがっている
月を追いかけて
一緒に沈みたがっている
目覚まし時計と目が合った
賢くなれと言われそうで
あまり好きじゃない
「黄色い背伸び」
向日葵の種を一粒隠し持ち
幽霊の後を追えば夕立で
夕立といっても大雪で
冷たい足跡に重なる踵に
銃の頭が挟まって
種と一緒に私も撒かれ
撒かれた途端に埋められて
花が咲くのは夏だろうと
思っていたらもう咲いて
種は千粒、幽霊は
丈に纏まり黄色い背伸び
「伽藍堂」
期外収縮の雑音が空咳を促す
その反動で短針がわずかに進む
群衆は今日も埃っぽい
頷きながら居眠りする人達の背は淡く
伽藍堂の床に落ちる影だけが濃い
「こんにちは、私」
過去の誰かに私は生まれ変わり続ける
つまりこの世界の全ての誰かはかつての私だ
かつて大統領だった私が命令し
かつて兵士だった私が爆弾を投下した
そうしてかつて赤ん坊だった私が焼け死んだ
私だった妻が子を生んだ
こんにちは、私
『また終わる(漫才)』
「こんにちは」
「こんにちは」
「詩を作りました」
「ほうほう」
「きいてくれますか」
「きかせて」
「また終わる、また終わる、また終わる」
「ふむ」
「はじめてもいないのに、また終わる」
「ふむふむ」
「わかれるだけが、はじまりで」
「せつなくなってきた」
「枝毛の先が、また終わる」
「枝毛の話か、もう終わる」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
『また終わる(詩)』
また終わる
また終わる
また終わる
はじめてもいないのに
また終わる
わかれるだけが
はじまりで
枝毛の先が
また終わる
「落下」
光だって落っこちる
だからはじめに落下あり
落下しながら振り回されて
そこで生まれる遠心力のおかげで
この世はなんとかバランスを保っているらしい
つまり
わたしたちは落下しているのだが
あれとかこれとかあいつとかこいつとかに
振り回されているおかげで存在することができる
というワケらしい
「何かが余る」
私はあなたの役には立たない
あなたは私の役には立たない
それでも会えば何かが余る
何かが少し増えるせいかも
「灯し火」
抱きしめていたものを手放しました
灯し火が消えたとき煙に乗せて送りました
宛名なしでも届くでしょう
「掌」
ト音記号をなぞりながら掌が落ちてきた
抱き上げたら陽の匂いがした
最初に仲良くしてくれたのが君だったよね
ありがとう
黒尽くめの服を着て俯いた
拾った掌と僕の掌を重ねた
お別れだね
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