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ブランディング=自らを突き詰めること。

【ラゴムのコラム 耕すように考える】No.004:2020年4月9日

※コンセプトラボ・ラゴムFacebook「ノート」に掲載した記事の転載です。「ノート」機能がなくなるのに伴い、こちらに引っ越しました。

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早く落ち着いてほしいとの願いもむなしく
新型コロナウイルスの感染がさらに広がり続け、
いよいよ緊急事態宣言が出されました。

「Stay home ~ 家にいよう。」が
世界共通のスローガンとなったいま、
図らずも時間的な余裕が生まれたのなら、
これまであまり意識することがなかった“自分”と
じっくり向き合ってみるのもいいのではないでしょうか。

ブランディングとは
「自らを突き詰めて考える」作業。

企業であれ、なんらかの組織であれ、
ブランドであれ、商品であれ、
あるいは個人であれ、
自らのことをみつめ、とことん向き合い、追究することが
ブランディングの本質だと思います。

まるで「哲学」のよう?
本当にその通りだと思います。

そしてブランドの核となるCIは、ブレない軸。
迷ったときに立ち返る原点。
ほかの何者でもない、これが自分だと
胸を張れる“らしさ”です。

よく「差別化」といわれますが、
最初から「差別化」を考える必要はないと
私は思っています。

あくまで個人的な整理のしかたですが、
「ブランディング=自分について考えること」
「マーケティング=他者について考えること」
とシンプルに捉えています。

なので、「差別化」からスタートするのは、
他者を軸に自分のポジションを決めることのように思えて
どうなのかと疑問を感じてしまうのです。

また「ナンバーワン」も「オンリーワン」も
他者との比較でしかないように思えます。

それよりも「自分は何者か」を考え、
ひたすら“らしさ”を追究し、
他に惑わされないことの方が大事ではないかと。

好きでたまらないこと。
得意だったり上手だったりすること。
時間を忘れて夢中になってしまうこと。
どうしても気になって気になってしかたないこと。
幼い頃からかなえたいと思っていること。
自分の手でなんとか解決したいと思うこと。

それが、“らしさ”のかけら。

集めて並べてみることで、“らしさ”が
ちゃんとしたカタチになって見えてきます。

苦手なことや弱点、嫌いなこと、
できないことややりたくないことに
目を向ける必要はありません。

同様に、他人と比べる必要もない。

絶対値の「好き」や「得意」でいいのです。

「好き」も「得意」もない、
自分には “らしさ”なんてない、
という人がいるかもしれませんが、
“らしさ”のない人はいません。

「個性的」ではないかもしれないけど
“らしさ”は、ちゃんとある。
たとえば「地味」も「普通」も「控えめ」も、
立派な“らしさ”のひとつ。
「個性的」は、他人を意識し、比較しての評価だけど、
“らしさ”は絶対的な価値なんです。

ありふれていると思えることだっていい、
大好きな人やブランドのモノマネだっていい、
どんなに隠しても真似ても滲み出てしまうものが
“らしさ”だから。

自分の中にあるいちばん大事なものを探す、見極める。

無理して “つくる”ものではないので、
他人の中にみつけにいったり、
流行りものの中から探したりしてはダメ。

“らしさ”を100%出そうとするのはいいけど、
120%、150%と
実体以上によく見せようとするのもNG。
それは「自分ではない何者か」になろうとすることだからです。

ただし、「他人から見た自分の評価」を知ることは
自分で気づかなかった強み、よさ、魅力を認識できるので、
“らしさ”を追究するうえでプラスになると思います。

自分のことは、案外わからないものですからね。


見失っている、忘れかけている“らしさ”を取り戻すと、
本来あるべき姿が見えてきます。

「Stay home ~ 家にいよう。」のいまこそ、
ブランディングを考える好機。
自らを突き詰め、“らしさ”を洗い出してみませんか。

先行き不透明な、混沌とした状況が不意に訪れたのは
もしかすると、誰もがいったん立ち止まって
いろいろなことをじっくり考えるべきときだ、
ということなのかもしれません。

この状況が一日も早く収束すること、
そしてみなさまの健康を心より願っています。

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