2020年はパワハラ問題提起の具体的対処が問われる年

パワハラ防止対策の法制化(パワハラ防止措置等の実施義務の創設)がなされ、令和2年6月1日から施行(中小事業主は令和4年3月31日までは努力義務)となった。

罰則は無いものの、違反した企業には厚労大臣から助言指導などちょっかいを出されたり企業名を公表されたりとロクな事が無い。
そんな中、2019年12月にこんなニュースが流れてきた。

《暴言音声公開》ジャガー横田の気弱な夫“木下医師”が壮絶パワハラ
「ドアの開閉音にも激高し恫喝」元スタッフが損害賠償請求

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これは「あの気弱そうな夫が・・・」という話題性を狙った記事だと思うが、そんな事はどうでも良い。
問題は、この恫喝の内容である。

文春(私は大嫌いであるが)が報じている内容は以下の通りである。

・厳しい叱責を受け、頭を小突かれたり蹴られたりする事は日常茶飯事
・ウーロン茶の銘柄が気に入らず、看護師に隣の市まで買いに行かせ、
 患者を待たせてその看護師が叱られた。
・机の上にある物を投げつける
・ドアを蹴りながら叱責する

ここまで明確なものが出てきてしまうと、言い逃れは厳しい。

社員がパワハラを起こしてしまった場合

経営者や人事担当は社員がパワハラを起こしてしまった場合の対処方法を
マニュアル化しておく必要がある。

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社員から相談があった場合、「相談を無視する」等対処を誤ると
問題が大きくなってしまう可能性がある。

相談があってからの流れは大きく

1:相談発生→2:調査→3:判定→4:対処

の4段階となる。

1:相談発生
相談の段階で「それは酷い」「しっかりと処罰しなければ」
等と言ってしまう方がいるが、事実関係がはっきりしないうちに
その様な反応をするのは逆効果になりかねない。

2:調査
調査では、行為者・周囲の人にヒアリング調査を行う事が一般的であり、
間違ってもこの件について

「全社アンケートをしよう」

等といたずらに事を大きくしない事だ。
この様な問題を噂話の様に流している人事担当者を見た事があるが、どうかしている。

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3:判定
調査結果を元に、判定をする。

〇〇という発言や机を叩いて威嚇する等の行動が日常的にあった。
直近では〇月〇日、〇月〇日、〇月〇日に同様の案件が確認されている。
等々である。

判定には経営者(企業規模に応じて)・人事責任者・担当部署責任者・人事担当者の4者で判断するのが望ましい。
調査内容をまとめ、就業規則、社風等に則して判断する。

4:対処
対処は4者で、被害者、加害者双方への対処を決定する。
被害者には労災の申請案内や、定期相談の案内、異動の相談等を行い、
加害者に対しては処分の内容とその理由の伝達を行い、被害者にはちゃんと謝罪をして頂く等が必要だ。

自分の上司が明確なパワハラ上司であった場合

この木下氏の様な明確なパワハラは職場では珍しいものかもしれない
(少なくとも弊社クライアントにはその様なところは1社もない)。

もしそうなら録音等証拠をおさえて、会社の相談窓口
(無ければ経営サイド)に

・使用者責任
・安全配慮義務違反

を訴える。
誰も取り合ってくれない様なところは、特定郵便等配達記録が残るものを使って郵送する等の方法がある。

また、その証拠とともに

・労働基準監督署
・みんなの人権110番(0570-003-110)
・都道府県 総合労働相談コーナー
(東京では九段の労働局内や有楽町の交通会館3F等にある)

に相談しても良いだろう。

パワハラとは何か

「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」

と厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で纏められた。そしてその中で暴行や傷害などの「身体的な攻撃」、遂行不可能な仕事を強制する「過大な要求」、仕事を与えない「過小な要求」、私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」の6つの類型についても挙げられた。

しかし、そのどれとも言えない、明確に決められない様なグレーゾーンのパワハラの方が多く発生している。

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管理層全員で

「自社で起こりうるパワハラとは何か?」
「自社では業務上必要勝相当な範囲とは何か?」

を事例を挙げながら定期的に話し合い、予防していく事が必要では
ないだろうか。


カトキチ@組織・人材開発コンサルタント

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