企業内研修をリアルと同じようにオンラインでやってみた結果
4月初旬、「やはり対面じゃないと・・・」と心の中で叫んでいる私がいたが、シャレにならない数の企業内研修延期or中止の連絡があり、オンライン開催に踏み切った。
緊急事態宣言も解除され、少しずつ日常が戻りつつある今日この頃ではあるが、経営者や人事の研修担当者であればいつでもオンラインという選択ができる状態にはしておきたいところである。
しかし、まあ、この4~5月は色々やらかした。
折角なのでこの2か月の間に弊社でやらかしてきた失敗とオンライン研修のポイントを以下に記させて頂く。
目次
1:やりたいこと・できること
2:起こってしまったトラブル
3:準備すること
4:研修の進め方・配慮
5:終わりに
1:やりたいこと・できること
結論から言うと、座学研修でやりたいことはほぼオンラインできる。
(弊社では主にZoomのウェビナー機能を利用している)
・資料を配る
・1:Nで一気に伝える
・QAをやる
・ワークショップをやってもらう
・N:Nでディベートをやってもらう
・アンケートを配布し、答えてもらう
全部できる。
しかし、できるだけであって、うまくやろうとすると多少コツが要る
(詳しくは3でご紹介する。)。
2:起こってしまったトラブル
4月初旬、本当に思い出したくない程大きなトラブルを起こしてしまった。
これまで10年以上企業内研修を行ってきて、ここまで酷いクレームを頂いた事はなかった。
「どうするんですか?研修時間の半分以上が成立していませんでしたよね、代替日ありませんよ?」
「こんな事があるんですね。予定の半分も終わってないじゃないですか。」
等々、散々であった。
弊社でオンライン研修を実施した際に起こった主なトラブルは以下2つに集約できる。
1:環境整備不良
2:参加者の暴走
まず、環境整備不良では、
ネットがつながらない、Zoomが立ち上がらない、カメラが起動しない、音声が聞こえない等々が講師サイド、受講者サイドの双方で起こってしまった。
その結果
・参加できなかった方が何名かいらっしゃった
・プラン通り(進行表に沿って)進める事ができなかった
が起こり、ご迷惑をおかけすることになってしまった。
次に参加者の暴走。
暴走と書いたが、参加者が悪いのではなく、これをマネジメントし切れなかった進行サイド(弊社)の方に問題があった。
・どこから漏れているかわからない謎の音楽
・受講者が勝手にいなくなる(問いかけても返事が無く・・・)
・受講者が研修と関係ない事をやっている
・「〇〇ちゃんごはんよ~」とか聞こえる
受講者が集中できる環境を作る事ができなかった事で、トラブルが起こってしまった。
3:準備すること
以下は弊社での失敗を踏まえたオンライン研修実施準備チェックリスト(通常のものに加えて使用する)である。
〈前日まで〉
□必要機材の準備(講師:PC2、スマホ1、マイク1、スピーカー1 人事担当:PC2)
□ 30分前接続テストの依頼(社内ホスト-受講者&弊社-社内ホスト)
□名簿に「使用機材・環境」欄を追加記入
□ホストとの進行内容打ち合わせ
□進行表の作成
□アンケート作成(survey monkey使用)
〈当日〉
□ 講師はPC2台+スマホ1台(PCとは別の回線)をホストとしてつないでおく
□ 30分前接続&テスト(弊社・社内ホスト‐受講者)
□ 15分前受講にあたっての説明(社内担当者様に実施依頼)
(禁止事項の説明とペナルティの展開、ミュートの使い方や、
ブレイクアウトルーム使用時の注意、発表方法等)
□ 5分前ブレイクアウトルームでの雑談開始(ランダム)
□ 1分前通常モードに戻す
□アンケート配布(surveymonkey使用)・回収
特にオンラインでの研修を受講したことが無い方を対象にする時は、事前に
ミュートの使い方やメモを取るポイント、chatへの記入ルールなどを丁寧に説明しておく必要がある。
4:研修の進め方・配慮
通常の研修との差異を中心に書かせて頂くが、まず3つ。
1:chatは匿名に
「疑問質問等はchat機能でお願いします」
と開始させて頂くが、1回目は本名で、2回目以降は匿名で行ったところ
2回目の質問数が1回目の10倍に膨れ上がった。
ラジオDJ並みに質問を捌いていかなければならないが、質問が出ない事には理解度が分からず研修が成功する可能性は低い。
匿名のやり方は以下サイト内
「ウェビナー中のQ&Aの管理」
を参照して頂きたい。
2:ホストは2名以上で
弊社では、対面での研修は基本的に最初から最後まで講師1名で行ってきた。しかし、それがオンラインでは成り立たない事が良く分かった。
話ながら、スライドを進めながら、chatを見ながら、受講者の状態を見ながら、待機室に誰かいないか見ながら、質問に答えながら、
指示内容をchatに記入しながら、ホワイトボードを書きながら、ブレイクアウトルームの管理をしながら、、、
崩壊した。
・途中参加の方々を無視し続ける
・ミュートで話し続ける
・ミュートになってますよ~というchatに気づかない
等々は勿論だが、特に無理だったことが
・ブレイクアウトルームでの見回り
・チャットへの質問事項等の捌き
・受講者の受講状況チェック
の3つである。
そういえば、現場の部長が急に
「何やってるかみせろ」
等と乱入してきた時も、サポートの方にうまくハンドリングして頂いて
助かった事があった。
ホストは2名以上で。これは必須である。
3:受講者には常に刺激を与え続ける
「受講者が受講中に何をしているのかわからない」
(スマホでゲームをしている、居眠りをしている・・・等々)
これはオンライン研修をやった事のある方であれば感じることだと思う。
そして、リアルレベルでそれを把握することは不可能である。
弊社の場合は考え方を変えて「何をやっていても良い」その代わり「アウトプットを確実に出してもらう」とすることで活路を得た。
そのために
・10分に一度はワークを発生させる
・ワーク毎にルームを入れ替える
・ワーク毎にワーク人数を変える
を行った。
オンラインのメリットを最大限利用することで面白い事が
出来るようになる。
終わりに
リアルの研修で講師やファシリテーターに必要とされてきたものと
オンラインのそれではスキルセットが大きく変わった様に感じる。
プレゼン力よりもミキシングスキル。
個人の表現力よりも資料作成能力。
実際にやってみた経営者や人事担当者の方には是非感想をお聞きしたい。
カトキチ@組織・人材開発コンサルタント
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