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「ジョブ型雇用に対応した人事制度にしたいのですが・・・」等、人事評価制度に関するQ&A #1

本日は人事評価制度に関するQ&A#1をまとめていきたいと思います。

Q:ジョブ型雇用に対応した人事評価制度にしていきたいのですが、
 何から手を付ければ良いのでしょうか・・・
(製造業(上場企業)人事部課長)

A:現在の日本には、欧米型のジョブディスクリプションを活用し、職種別採用、個人同意の異動、職種×職位レベルの設定、昇給昇格賞与の現場管理、戦略ベースの要員計画、管理をするようなフルスペックのジョブ型は少ないように感じています。

①ジョブ型
②メンバーシップ要素の入ったジョブ型
③中間型
④ジョブ型要素の入ったメンバーシップ型
⑤メンバーシップ型
(出典:「ジョブ型雇用の全て」白井正人を参考に簡素化)

の5つに分けたとすれば、御社はどこに入りますか?
もし、①であれば人事評価制度は必要ありません(評価によって給与が変わったりすることはありませんので)。ジョブディスクリプションに記載のある仕事をやっているかどうかだけですので、1on1等でたまに話を聴く程度で良いでしょう。②であれば、現場が評価をしやすいようにサポートしてあげる事が中心となりますし、③~④であれば役割等級制度に基づいてMBOを実施していく等、2010年代から日本で流行ってきたマイルドな成果主義と大差ないものだと思いますので(かなり強引ではありますが)、評価項目などを現在の経営理念や戦略などに合わせて変更すれば良いと思われます。

Q:評価への納得感が低いという課題があり、2年前に人事評価制度を改定しました。行動評価項目を大きく変え、経営戦略に合ったものになったと思うのですが、納得感が高まったかはまだ分かりません。もっと劇的な変化があると思ったのですが・・・
(中堅広告代理店総務部部長)

A:人事評価の、特にプロセスや行動等の定性評価は、その評価の納得性が評価者と被評価者の信頼関係で担保されています。評価者と被評価者の関係が良いものであれば納得性があり、悪い関係であれば納得性が無い等、かなり脆弱な基盤で成り立っていると言えます。評価の目線等が提示されている場合も多くありますが、最後は評価者の主観での判断となるのが定性評価というものです。評価項目をいくら変えようが、評価者と被評価者の関係性にメスを入れなければ改善は難しいと思います。

Q:毎年評価者研修を実施していますが、マンネリ化している気がしています。本当にこれで良いのか、やり方に疑問を持っています。
(製造業総務部課長)

A:評価者研修も何のためにやっているのか?が明確にならなければ、わけもわからないまま評価エラーが云々とか、評価シートの書き方が云々の様な、ありきたりな内容に終始してしまいます。もちろんそれらが課題であれば良いのですが、そうではないケースの方が圧倒的に多いのではないでしょうか。例えば、定性評価の納得感を高めたいのであれば、評価者と被評価者の信頼関係がベースにありますし、目標の立て方でコケているのに、評価の精度を上げようとしても難しい事はわかると思います。自社の評価制度の課題は何かを特定しないまま、闇雲にありきたりなメニューをこなしても効果は限定的だと思われます。一度サーベイやインタビューを実施し、その結果を皆様で話し合って課題について検討されては如何でしょうか。

Q:弊社では評価に不満がある若手社員が多いようです。評価制度を改定してまだ1年なのでなんとも言えませんが正しく評価できているかには不安がありますがどうでしょうか・・・
(専門商社人事部長)

A:不満の内容を調査してみましたか?捨て置いて良いものとそうではないものがありますので、早めに特定しておいたほうがよいと思われます。評価結果に不満があるのか、評価プロセスに不満があるのか、両方か。結果に不満があるのであれば、自分との期待のギャップなのか、他人と比較して(若手の評価結果は共有されていることも多い)なのかで話は変わってきます。更にプロセスに不満があるのであれば

①一貫性を疑う
②偏見の存在を疑う
③情報の正確さを疑う
④評価結果について、被評価者の関わり度を疑う
⑤全体の利害関係を疑う
⑥倫理性を疑う

の6つ程疑う余地がありそうです。

Q:間接部門の目標設定がマンネリ化してしまいます。何か良い方法は無いでしょうか?
(製造業人事課長)

A:間接部門は目標管理制度との相性が悪い事は体感されていると思います。制度自体を変えてしまう事も一つの手ですが、制度設計が面倒くさい、運用が煩雑になる等の問題があり、すぐに打てる手ではないかもしれません。まず、定量評価については、全社目標とリンク、もしくは廃止というところも増えています。定性目標については、

1,廃止
2,簡素化
3,DX化
4,集中・分散化
5,アウトソーシング化
6,標準化
7,過剰品質の適性化

等の評価項目は定番ですが、取り組んでいないものがあれば、採用しても良いかもしれません。

本日はここまで。最後までお読み頂きありがとうございました。


カトキチ@人材・組織開発コンサルタント

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