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【参加レポート③】事業構想ツアー2022冬@亀岡 2日目:ザ・サイネンショー

事業構想ツアー2日目午前
亀岡らしい底冷えする、けれども気持ちの良い朝を迎え、宿泊したゲストハウス藤原邸を後にした。2日目午前は、KIRICAFEへ移動し、京都芸術大学 教授の松井利夫先生からお話を伺った。

ゲストハウス藤原邸の暖炉

ザ・サイネンショー:個性を取り戻す
2022年9月に一般社団法人きりぶえから出版された「ザ・サイネンショー」は、松井先生にとって次の次元へと移行するきっかけとなったそうだ。

未だ見えていない世界に可能性があること、他者の文脈を自分の文脈に取り込み、自分と重ね合わせていくことで新しいものが生み出されるご自身の貴重な実体験を共有くださった。

松井先生は創作プロセスの繰り返しに少々飽きを感じておられた時期があったそうだ。そんな時出会ったのが、その後展覧会を共に実施していくことになる三宅さんだ。三宅さんの熱量がすごくてその熱に感化され自分も再燃焼される。対話する為に展覧会をしていたが、たくさんの人が訪れて作品も売れた。やがて人が人を呼び、人が集まり→レストランができ→カフェができ→うちもやりたいという人が出てくる。

窯場が多くの人の出会いの場となり、これならやっても良いなと思い始めて、ついにはザ・サイネンショーという本を出版するところまでに至ったのだそう。

あるひとりの人の熱意に心を動かされた強い共振から、ワークショップを共に行うようになり、そこに集まった人たちが様々なリソースを生み出し、喜ぶ人が増えていく。そんなエネルギーの輪が広がり、関わった人の心の炎を再燃焼させ響いていくのだ。

再燃焼は、リサイクルでもアップサイクルでもなく、自分を超えていく表現活動で、複数の人と共有する事により文化が生まれていく。

言語化の重要性:
松井先生は、再燃焼を語る時、言語化の重要性を強調されている。
言語化は自己に対する語りかけでもあるが、他者に伝わっていることを確認する点において重要であると。

私個人は、言葉にする事で意図とは逆に失われる豊かな情報をどう扱えば良いのか難しさをいつも感じている。

小山先生始めツアーメンバーが参画したこのセッションでは、言語化には2種類あるという主旨の議論がなされとても腑に落ちた。2種類とはこうだ。

1.文化を生み出す言葉を紡ぎ出す言語化。
2.説明責任で端的に表される言語化。説明に終始し、その先に文化を生み出すことはない。

KIRI CAFEに柔らかな朝の光が差し込む

文化を生み出す言語化:
松井先生は、ザ・サイネンショー的言語を作り出そうと考えておられるとのことだった。­­

再燃焼の窯で焼いた作品は、例えば、作品が窯の中で倒れたりしてもそれを失敗と呼ばないそうだ。むしろ「いいボケですね」「良いひずみだ」「これ良いたれですな」など、既存の価値観では失敗と定義される事や作品を、味わいや個性と捉えポジティブな側面から評価、表現していくというものだ。このなんともおおらかなゆるさが、寛容さ・包容力を生むのだと感じた。

言語は思考を作り、強固なものにし、行動を変容させる力を持っており、ひいては新たな文化を創造していく。
この点において、こういった取り組みの企業における必要性を強く思った。

自己言及的に考えることの限界:
松井先生は自己の唯一性が劣化している時には、他者との関わりで目が覚めるような経験があり、相手との関係性で自分が開かれて、自己更新できるとおっしゃっていた。

隠したい事を見せていく事がアートであり、失敗、破綻が次の段階に進む突破点となると、松井先生は語る。

再燃焼は、思わぬ発見を導くような、新たなアートを生む他者の文脈をとりいれる装置だ。

ザ・サイネンショーに掲載されているフォーカスのぼんやりとした数々の写真のように、ソフトフォーカスによる一種の曖昧さが他者と自己の境界線に寛容を生み、他者の文脈をとりいれるチャンスを逃す事なく可能にするのだろう。

事業構想ネットワークでも、この再燃焼を装置として更新をしていく事で、見えていなかった可能性や新たな価値・文化を生み出すような構想ができたらこんなに心踊ることはない。

セッションの終わりに、松井先生と再燃焼に関する小冊子を事業構想ネットワークとして発行するお約束をした。再燃焼という装置からどんな事が起きていくのか、流れに任せつつ感度良く行動して行きたい。

文: 瀧澤真由美


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