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お箸でつついた先には

初めて二郎インスパイア系と言われるラーメンを食べた。二郎系もインスパイアも、ラーメンもまだまだ初心者の私には完全に未知の世界だった。

お店に着くと、男性が2人看板の前に並ぶのが見えた。「店内で先に食券を」と若い女性の店員さんが出てきて通してくれた。店内の様子は意外にも清潔感があり、眩しいほど白い印象だ。女性のお客さんもちらほらと見えなんだかホッとした。

ラーメンを頼もうとすると、「だいぶ量が多いですが大丈夫ですか?」と先程の店員さんに聞かれ「小にします。油少なめで」と伝えた。青い札を受け取り席が空くのを待っていると店内に再び呼ばれた。

通された席は男性に挟まれた席だったが、窮屈ということもなく飛沫感染を防止する透明なボードに仕切られた席には居心地がいいほどの余裕があった。

席の前には営業時間と定休日の書かれたカレンダー。オーダーの確認をするためだろうか台の上にはipadも見えた。

ラーメンを食べるのは何年振りだろうか。その席で醤油ラーメン小の一杯を迎えるのにあまりに長い時間が過ぎた。未知の「二郎インスパイア系ラーメン」が運ばれてくるのはまだか、より一層時間がすぎるのがゆっくりに感じられた。

「9卓お願いします!!」やっと運ばれてくる!

カウンターの前に置かれたのは、麺が見えないほどどっさりと盛られた野菜と二枚の豚がのった大きな一杯だった。二郎系とはこのことか、初めての出会いにワクワクした。

さてどこから食べよう。まず山盛りのもやしにお箸を入れた。溢れんばかりのもやしの上には、ガンガンの冷房に躍る鰹節が見える。もやしをつかみ口に入れる。

4口ほど後、やっともやしの下に麺が見えた。うどんほどもある極太のストレートな麺である。なんだろう初めての「ラーメン」だった。うどんではなく確かにラーメンなのだが、見た目とは違い意外にもあっさりしている。大量のもやしと数本の麺を口に運ぶと、シャキシャキの食感とコシのある麺がいい具合に合わさり次の一口にまた期待を持たせてくるのだ。止まらない。

焼き豚はお箸で持ちきれないほど厚くずっしりとしたスライスだ。ビクビクしながらのパクリ。こちらも油のドギツさを感じさせずあっさりとしていた。

上の山が崩れ、半分ほど食べ進めた。

濁りの少ないスープの中にはまだ大量のもやしとキャベツ。麺もたくさん見える。

いつもならステーキライスも半分ほどでギブアップだが、今回ばかりはまだラーメンが半分残っていることにワクワクしていた。

止まらない。ここで卓上に置かれていたお酢を大さじ2杯ほど足した。「戦いだね、」と一緒に来ていた母に言われ、「戦い」の意味を考えつつ後半戦のつもりでそれに挑んだ。

美味しいいい!食べるたびに美味しかった。最後の一掴みも美味しかった。

お腹は水分でパンパンだったが、気分がよかった。あれだけの野菜と麺がお腹に全部入ったことに、気持ち悪さを一切感じなかった。ご馳走様でした。

カウンターの上にどんぶりを置くと、店員さんが「お姉さんの顔が来た時よりも疲れて笑」と母と私に伝えた。照

食べ終えた達成感に疲れが見えたのかもしれないがそんなお姉さんとのコミュニケーションも含めて好きだった。笑顔で外にでた。

後から聞くと、母はそんな会話も楽しめないほどお腹がいっぱいだったらしい。

でも楽しかったね、ありがとう。

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