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年間100社取材して「わかりやすさ」が大事という原点に立ち返った話

マルチタスク、シングルタスク、KPIにコンセンサス。

仕事をする上で大切にしているのは、極力、横文字を使わないことだ。以前、大学の権威とされる教授さんが「アディティブマニュマニュファクチャリング」という専門用語を記載したのを、「三次元光加工積層造形」と書きなおしたため、「日本語にするな!」と大目玉を食らったことがある。横文字も、和文字も、同じくらい難解な内容のため、損した気分だ。

もちろん横文字を使わなければ、全てがうまくいくわけではない。

しかし、「できるだけわかりやすい文言で伝えようとすると、どちらかと言えば横文字を使わない方が伝わりやすい」といった小さなこだわりを大切にしている。

しかし、伝わりやすい方が良いことは、全社会人が知っている。そのため、もう一歩踏み込むのであれば、「極力、内容を理解してから伝える、書く、話す」ということを注意している。

例えば、金属加工業では必須項目の一つである「溶接」という作業。「職人は近いうちにロボットに代替えされる」と言う人が数多くいるが、「どのように自動化されると考えているのか」を質問すると、流暢に返答できる人は、ほとんどいない。同じように、「職人の仕事は価値がある」と言うが、どのような価値かを説明できない人も数多い。

つまり、それが正解でなかったとしても世間の言葉ではなく、「自分としては、このように解釈している」と伝えられるよう、気を付けているというわけだ。

ちなみに、溶接がロボットに代替えされている分野は自動車産業が多く、「金属板と金属板を重ねてスタンプのように溶接機を押し付けて接合する『抵抗溶接』のジャンル」は、大部分が自動化されており、これからもロボット適応率は増加するだろう。

しかし、溶接ロボットは、現段階では職人の手よりも、はるかにサイズが大きいため、実は、「ロボットが入らないサイズ」の構造物が、世界中、数多く存在するのだ。

また、実は人間の肩・腕・手は関節が多く、稼働できる領域が広く動きが精密だ。ロボットは5軸加工機と呼ばれる、5個の関節を持つモデルが一般的なため、大きなロボットハンドを、複数の関節で折り曲げ続けて、溶接すべき場所に職人と同等レベルで届けることが、現状では難しい。

文明が進み、15関節の小型ロボットハンドを装着したモデルが開発されたとしても、売値が1億円などでは普及するのは難しいだろう。国内のすみずみまで届けたいのであれば、200万円くらいまで値引きすることが欠かせないはずだ。98%オフ。

前置きが長くなってしまったが、私は、できるだけわかりやすく伝えたいのだ。そのためには、「こう考えている」という持論をオープンにして、物事を話し始められる人間でいたい。

少年ジャンプの人気コミックで、ギャングが「ギャングは『ぶっ殺してやる』ではなく、『ぶっ殺した』を使うべきだ」などと言っていた。なかなか良いことを言う。論より証拠は最強だ。証拠は示すのが極端に難しい時代のため、わかりにくい論より、わかりやすい論を使いたい。

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