コムタムの編集長

しばらくの異国暮らしのあと、小さな出版社を始めた。読みたい原稿だけを出版しようと思った…

コムタムの編集長

しばらくの異国暮らしのあと、小さな出版社を始めた。読みたい原稿だけを出版しようと思ったのも束の間、金もコネもデザイン力もイラストを描く力もないじゃないか。まるで、ロールプレイングゲームのように、少しずつ集まってくれた仲間たちに多くの幸せが降りそそぐように。願いと愛を込めて。

マガジン

  • フトシタ想イトエトセトラ

    ふと窓の外を眺めながら、浮かんでは消える想いを何となく形にしていきます。お付き合いください。

  • いつまでもキリギリスで居たいんだよ

    よく「キリギリスみたいだね…」と楽しそうに話しを聞いてくれる大切な知合いが居ます。だから飽きられるまでキリギリスでいるために少しづつ言葉を紡ぎます。

  • だからやりたい100のリスト

    やりたいことリストを作っている人を見つけては集めています。「あ!君もコレやりたかったんだ…」という発見があってとても楽しいです!!

  • 未来の営業職を再定義しませんか?

    営業職って何ですか。機械化されない?ゴルフを覚える?お酒を飲む?どれもピントがボケた印象しか受けない。感度を上げて上げて上げて正体を切り取る。

  • 母という生き物

    思い出すとつい笑ってしまう母を中心とした一家のエピソード。家族だからこその思い出を1つ1つ綴ることにしました。お付き合いください。

最近の記事

  • 固定された記事

私にしかできないことなんて世界にはない。でも私だからできることは世界にある。

は?溶接?なんで? 友人と話すと決まって、この反応だ。 もう100回目くらいなので、慣れている自分に気が付き、むしろ「驚かれる」のを期待している気さえする。進路が溶接の道だったことに迷いはなかったが、友人の言葉には「女の子だったらカフェとか」「製造業って危険なんでしょ」「男の仕事じゃん」…という疑問が満ち満ちている。ジェンダーレスだなんて、誰が言ってるんだか。 私は柔道を15年間も続けてきた。ついには柔道部の主将としてチームを引っ張ってきた。得意技は一本背負い。 結局卒

    • 年間100社取材して「わかりやすさ」が大事という原点に立ち返った話

      マルチタスク、シングルタスク、KPIにコンセンサス。 仕事をする上で大切にしているのは、極力、横文字を使わないことだ。以前、大学の権威とされる教授さんが「アディティブマニュマニュファクチャリング」という専門用語を記載したのを、「三次元光加工積層造形」と書きなおしたため、「日本語にするな!」と大目玉を食らったことがある。横文字も、和文字も、同じくらい難解な内容のため、損した気分だ。 もちろん横文字を使わなければ、全てがうまくいくわけではない。 しかし、「できるだけわかりや

      • 捨て猫にミルクをあげる不良少年にお別れを言う

        そのエッセイを目にしたのは、「私にしかできないことなんて世界にはない。でも私だからできることは世界にある。」というタイトルで、私のエッセイを書いてみた直後だ。他の人はどんなエッセイを書いているのか、タイムラインを上から順に眺めていると、「私の代わりはいくらでもいる」というタイトルが目に飛び込んできた。 先ほど書いたエッセイと、似たタイトルではないか。 内容は、「昔かたぎの職人のおっちゃんが人生に現れて、罵詈雑言を吐く、その人は、気が付くと頭の中で道を示してくれるようになっ

        • 手紙を書くように仕事をする方法

          アグリ―、オンスケ、エビデンス。 安易に飛び交う横文字と、「常識的にわかってると思うけど…」という人や、「アメリカでは…」という人がとても苦手だ。 だから、古くからあるけれども必要とされ続けている「業界紙」という仕事と、それに関わる人が好きだ。業界紙の読者は、当然、その業界の人ばかりだ。しかし、狭い範囲だからこそ密度が濃く、念入りに読むと、世の中のことがわかる。…ような気がしている。 業界紙は多くの場合、「その業界にとって大きなニュース」「業界の地域別・産業別の特集」「そ

        • 固定された記事

        私にしかできないことなんて世界にはない。でも私だからできることは世界にある。

        マガジン

        • フトシタ想イトエトセトラ
          20本
        • いつまでもキリギリスで居たいんだよ
          7本
        • だからやりたい100のリスト
          10本
        • 未来の営業職を再定義しませんか?
          4本
        • 母という生き物
          11本

        記事

          楽園のつくり方【小説/約2万字/実話ベース】

           ……早起きは三文の得だなんて誰が言い出したんだよ。  ランニングをするわけでもなく、短時間しか眠れないというわけでもなく、朝5時に起きて仕事に向かうのは、何だか不自然だ。俺は外に出ると徐々に夜が明けるようで、空は青白い。はぁーと息を吐くと、吐く息も白い。  とくに誰とすれ違うというわけでもなく、俺は工場についた。工場といっても、大がかりな設備が置いてあるわけでもなく、ロボットなどの目新しい機械類もない。一軒家よりも少し大きな規模の立地に、小型の溶接機や、切断機、研磨機など

          楽園のつくり方【小説/約2万字/実話ベース】

          手紙のように少しだけ〜仕事が好きだけど辞める話〜

          POTLUCKという飲食系のサービスに従事していたのですが、フルコミットから離れることとなった。実際には、空き時間で関わっていければと思うものの、どこまで動けるかわからないこともあり、幕を下ろすことを決めた。 私ごともいいところなので、「報告します★」というヤツではなく、少しづつ感謝や想いをコトバに乗せられたらと思っている。同社の代表である谷合さんがスタッフの仕事ぶりを、「手紙を書くように営業する」と呼称していたのを密かに気に入っているので、手紙を書くように。少しだけ。

          手紙のように少しだけ〜仕事が好きだけど辞める話〜

          人生最大のピンチで考える情熱の限界について。

          よく「●●する10の法則」などビジネス書に、「言葉ではなく情熱を伝えれば状況は自然と変化していく」といった内容がつづられている。また、「真剣に観察すれば必ず解決策は見えてくる」というつづりも目立つ。 あれは嘘だ。 情熱だけでは誰の心も変えられない。証拠はないが、根拠は体験に紐づく。 その日、色黒のマッチョ、チビデブ、眼鏡ブスと計4人で、4畳間くらいの密室で過ごした。蒸し暑く暗い室内でたまに思い出す記憶。 もう何時間経っただろうか。体感では半日くらい顔を合わせている。

          人生最大のピンチで考える情熱の限界について。

          営業は奴隷じゃねぇんだよ。~皮の巻~

          いいかい?営業職のみんなは、オレのマーケティングで躍るダンサーなんだよ?コチラには目線もむけずにマックのPCをいじくる姿はまるで、「自分はエリートだ」という概念が、細身のコーデュロイパンツにねじ込まれたような仕上がりだ。 ある日、突然やってきた親会社の人は、大きな理由はないが、単純に嫌な印象を受けた。どこにでも居る、いけ好かない人。それは多分「嫌いな人」の定義が自分の中に確立されていて、そこにハマった証拠なのだろう。 そういえば、マーケティングってそもそも何だろう。 〇

          営業は奴隷じゃねぇんだよ。~皮の巻~

          営業は奴隷じゃねえんだよ。~骨の巻~

          営業職って要はコミュリョクじゃん! ある日、喫茶店で大学生と思われる2人組の会話が聞こえてきた。1人は細身のイケメン。もう1人はひげ面の太っちょだが、清潔感のある面持ちで、むしろお洒落な印象を受ける。 イケメン:営業とか全然ムリ。俺って声でかいケド、超コミュ障だし。 太っちょ:え、でも超友達多いじゃん。 イケメン:友達っていうか、挨拶だけしてる奴ばっかりなの(笑)。むしろお前の方が、口喧嘩強いし、すぐに論破したがるから、営業とか向いてるって。 太っちょ:えー!クソ上

          営業は奴隷じゃねえんだよ。~骨の巻~

          営業は奴隷じゃねぇんだよ。~肉の巻~

          あれ、お前もう帰るの? 部長の席から野太い声が聞こえた。 空耳かな? ブラック企業じゃあるまいし、家族の誕生日にそんな声が聞こえるはずないよ…と、ブツブツ下を向いてつぶやく同僚は顔色が青白くて、口びるがカサカサしてる。 リップクリームでも買ってあげようかな。 営業だからお酒飲まなきゃね。営業だから帰れなくても仕方がないよね。営業だったら売上に届かなければ給料下がっても文句は言えないよね。営業だから土日は要らないよね。 ねぇ。営業って、奴隷なの? 花形などと言われて

          営業は奴隷じゃねぇんだよ。~肉の巻~

          建築クソ野郎が現れた。

          クソ野郎が好きだ。 世間的なクソ野郎の定義は知らないケド、「ソレがないと生きていけないんじゃねぇのか?」というくらい熱く何かに打ち込んでいる男の子の事をクソ野郎と呼ぶことにしている。コイツらの言葉はいつも熱があって、誇りがあって、専門性があって、徐々についていけなくなるんだケド、確かな対象への愛かたくさん詰まっている。 その日、出会ったクソ野郎は建築をこよなく愛していた。 東京大学の大学院卒だそうで、分厚い眼鏡の奥でクリッとした大きな目がよく動く。月並みに大学名を褒めると

          建築クソ野郎が現れた。

          ホーチミン在住者が調査とお勧めするカフェ事情。「1stGARDEN(ファーストガーデン)」

          ベトナムのホーチミンの特徴の1つとして、とにかくカフェが多い。…というより多すぎる! 日本でよく見かける「オレ週末は大体カフェで過ごすかなぁ」と言っているお洒落な野郎も、メキメキとオープンして、バキバキと潰れるホーチミンのカフェ事情を完璧にマークするのは難しいだろう。だからまず我々コムタムクルーは、とにかくホーチミンに居る人にも居ない人にも、ただ「好きなんだから知ってて欲しいんだよね」というカフェを特集することにした。 ●もくじ〇1stGARDENってどんなとこ? 〇1

          ホーチミン在住者が調査とお勧めするカフェ事情。「1stGARDEN(ファーストガーデン)」

          リリックなんて無理に韻を踏まなくていいんだよ。

          コアな趣味しか愛さない友達ができた。通称ブンチャー(@BCKfromCTC)。 休み何してんの?…と聞くと「気象衛星局の天候情報を眺めるだ」とか、「ここから44㎞先にある道の名前が知りたいんだ」とか。おおよそ理解できないブンチャーの世界観にいつも気が付くと飲み込まれる。もっと知りたいしもっと多くの人にブンチャーの魅力を知って欲しい。 だからまず、ある日ブンチャーが書いてくれたリリックを紹介する。 タイトル:8月革命通り 30過ぎた僕はどうやら今もhiphopの

          リリックなんて無理に韻を踏まなくていいんだよ。

          チャイニーズが現れた。

          中国人と聞いて連想するものは何だろう? 最近になって人件費が高騰した…とか、電化製品を爆買いしている…とか、態度が悪い観光客が多い…とか。頭を捻っても、おおよそプラスのイメージとは程遠いものばかりが思い当たる。 その日、ノンビリした英語で話かけてきた中国人は、短いパンツ姿にビールビンで黒ぶちメガネをかけていた。同じ中国人だと思われたのか、それとも異国で痩せ型の背格好をしているために現地の人間だと判断されたのか、「私は日本人だ」と答えるとオーバーリアクションでビックリして目

          チャイニーズが現れた。

          ド田舎のコーヒー。

          ド田舎に来たからこそ気が付く、それは別に何も困らないということだ。あと、たまにコーヒーが異常なくらい苦いこと。 暮らしだした家には共同の洗濯機しかないし何よりボロい。バイクは2㎞進むために10回くらいエンストする。道はガタガタで歩くと少し足が痛くなる。都会に住んでいた時は消えるボールペン「フリクション」を使っていたので、10キロ以上離れた文房具屋を3件ハシゴして探したが、結果見つけることができなかった。でも、日常生活に大きな変化や不便はない。 20mに1人はコーヒー売りが

          ド田舎のコーヒー。

          互い違いのYシャツ。

          ボタンをかけ間違えることを「互い違い」と言う。小さい頃に親からよく注意されたものだ。ボタンの方から見ると本来通らない隙間を通ることになるし、隙間の方から見ても本来通ることのないボタンがくぐっていく。まさにお互いに違う状態。 おおらかな国民性のせいか、この国ではボタンが互い違いになったYシャツに袖を通いている人をよく見かける。自分が小さい頃に注意されていたからか、身だしなみを気にする人間だったはずが、海をまたいだ途端に不思議と気にならなくなった。むしろ熱帯地域のために上半身が

          互い違いのYシャツ。