猫ちゃん大好きブログその3「折り合いのつけ方」

今週は感情の振幅が激しいです。
色々整理できないことが多いです。「花束みたいな恋をした」のことではないです。いやもちろん「花束~」を観た後も感情がおかしくなりましたが。

劇団「地点」の三浦基氏のパワハラ問題で動きがありました。
詳報はこちらから見られます。

http://www.kamoberi.com/article.html?id=wkgdglrfb

衝撃だったのは、被害者側のA氏が会見において「パワハラの告発後に三浦氏に2500万円の訴訟の予告をされた。社会的に抹殺されると思い怖くなった」という事実が明かされたことです。
非常に大きな話だと思うのですが、やはり表現の世界の小さい分野でのできごとであり、あまり話題になっているようには思えません。
舌鋒鋭く激しく非難している人もいます。
しかしその論調はなんというか、正直「140字の小刀」という印象で、ただ刺すためだけの言葉に見えるものも少なくありません。
僕がツイッターで書いた言葉もその一つかもしれません。三浦氏の作品作りにおける心性を「グロテスク」と書きました。
ツイートを送信した後に、「そんな書き方しなくてもよかったんじゃ」とも思いましたが、かと言って被害者の記者会見まで開かれて「部外者が立ち入れる話ではない」と静観するのも気持ちが落ち着かないし、特にコロナで「政治と生活がいかに分かちがたく結びついているか」が肌感覚で分かってしまうこの時代状況において、同じ業界にいる人間としてこういう物ごとに対してはなるべく反射神経で反応したいと思っていて、あのような発信をしました。

その一方で「正義感に駆られて発信しない」とも決めています。

これについてはうまく言えないのですが……。

思い切って書いてみると「これには言及しているけどあれには言及しない自分ってどうなんだ」という心理状態になると色々とよくないので、現実に被害に遭われている方がいるのに申し訳ないのですが、「ハラスメントに抗議し、いずれはなくすために発信している」のではなく、あくまで「自分の、物事への距離を測るために発信している」という側面が大きいのだと思います。このnoteもその一環です。

で、これを書いている途中にこの件の続報が出ました。こちらです。

http://www.kamoberi.com/article.html?id=wkgdglrfb

「ああ、もう完全にアウトだこれは」という思いを固くしました。
平田オリザ氏もツイートしてたので、何かしらの動きに発展していくような気がします。

青年団つながりでひとつ脱線しますが。
例えば青年団は厳しい「セクハラ・パワハラ規定」があると言われていますが、そういった規定を設けている劇団は他には稀でしょう。
コンプソンズには内部規定はありません。つまり各々の倫理観とそれぞれの関係性だけで物事が進んでいます。
けっこう怖いことだと思います。
というか「セクハラ、パワハラにまつわる厳しい内部規定があるから安心」とも言えません。
ほとんどの劇団は生活していくだけの固定給を俳優に支払えないわけですから。
いっそのこと、
【劇団=その構造上「セクハラ・パワハラ」を内在する集団】
と定義に加えた方がいいんじゃないかしら、とすら思います。
また、ここ数年、同年代の演劇人とセクハラ、パワハラ問題で意見を交換する時は、「キャリアが上の劇団、演劇人」への批判がセットでついてきます。
つまり「私たちの世代はおおむね大丈夫だけど、上の世代はいまだに価値観が古い人が多くて困るよね」みたいなことです。
現実そういう側面はあるのでしょうが、「未来の演劇界のために」という大義名分で勇み足になりすぎるのも考えものだと思うこの頃です。

さて、どの辺から脱線したのか分かりませんが、戻します。
「セクハラ・パワハラ問題への言及はあくまで自分の、物事への距離を測るために発信している」ということについてでした。
しかし僕にはひとつ、どう考え、折り合いをつければいいか分からない問題があります。

アップリンクの問題です。

会見に臨んだ元スタッフの方には僕もかつて上映の際にお世話になった方がいました。
また原告側の弁護士、馬奈木厳太郎さんには、2015年に出演したドキュメンタリー「大地を受け継ぐ」でお世話になりました。公開後も色々お話を聞いたりして、その人となり、誠実さにいたく感銘を受けました。

一方で、現在もアップリンクにいらっしゃるスタッフさんにも知り合いがいます。
そして先日、関わった作品がアップリンクで上映されました。
まだ詳報出ていませんが、別の作品でもアップリンクがらみでひとつありそうな感じです。

アップリンクは上映館であり、そこで上映されている作品にまでこの問題が及んでしまうのはどうなのか……無関係とは言えないが……うーん……。
というのが正直なところです。(とはいっても私は一度「問題が解決されるまでは客として観に行かない!」と言ってしまったのですが)
この問題の解決は社長の浅井隆氏が「まず辞める」ことからしか始まらないと思うのですが、そうなってない現状は何とかならないのか、とは思っています。

しかし、地点の問題には歯切れよく言えるのにアップリンクに関することだとゴニョゴニョなっちゃうねお前、みたいな感じはぬぐえません。

でもホント、今のところインディーズ系の映画にとって、
「アップリンク(特に渋谷)がなくなること」=「都内で上映できる場所がなくなること」
とほぼ同義みたいなところがあるので……
何か言いたいけど何を言えばいいか分からないし、何も言えないでいる状況も後ろめたい、けど……みたいな状況にいる役者さん、けっこう多いのではないでしょうか。ひとまずRTだけしとく、みたいな……。

まさに今、「社会に物申すくせに身内には甘い」を地で行ってる気がします。
頭がモヤモヤしてると創作への集中が切れちゃうので、いずれ折り合いつけたいなと思ってます。

先週に引き続きまた尻切れとんぼなおわりになってしまいました。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?