【和紙】愛媛県鬼北町で《泉貨紙》に出逢った話
愛媛県鬼北町で行われた手作りノートワークショップに行った際、和紙の一種である《泉貨紙》に出逢いました!
和紙の奥深さに触れると同時に、その歴史についても想いを馳せる体験となり、レポートを書きました。ご一読の上、和紙に興味を持って頂けたら嬉しいです!
泉貨紙とは?
二枚貼り合わせて作る通常より厚めの和紙
上記の引用の通り、《泉貨紙》は一枚の和紙を二枚貼り合わせた状態で乾燥させて作る、特殊な和紙です。
現在は愛媛県と高知県で製造されており、今回私が触れたのは愛媛県鬼北町で作られた泉貨紙でした。
実物のしっかりとした感触に感動!
特徴は、ノートの表紙にできるほどの厚みと和紙ならではの素朴な風合い! 貼りつける際に残る微かな縦じまも、独特の趣を醸し出しています。
和紙と言えば薄くて軽くて……、という一般的なイメージしか持っていなかったのですが、実際に泉貨紙に触れてびっくりしました!
薄い和紙を2枚貼りつけただけなのに、とてもしっかりしてるんです。今回はノートの表紙に使わせて頂いたのですが、ハガキや名刺にもバッチリ対応しそう。
かといって、ずっしり重いわけでもなく、和紙特有の軽やかさの名残も感じられて、なんとも不思議な触り心地。
生成りのあたたかな色合いに、日に照らすと微かな光沢も踊って、いつまでも飽きがこず眺めていられそうです。
小物作りや、卒業証書にも?! 特徴を活かした多様な用途
丈夫な紙なのでメインの用途は工芸用ですが、鬼北町の小中学校では卒業証書に使用されたりもします。
また、柿渋を重ねて塗っていくと皮製品のように丈夫になるのを活用して、ハンドバッグなんかも作れちゃいます!
これ、市井の方が作られたとのことで驚きです……! 泉貨紙の上に描かれたお子さんの絵をバッグにできちゃうなんて、最高のアイデアですね。
地域おこし協力隊・粟野さんにお話を伺いました
今回、泉貨紙について教えてくださったのは、鬼北町地域おこし協力隊の粟野さん。
粟野さんは和紙作りの魅力に惹かれて鬼北町へ移住されたのだそうです。現在は地域おこし協力隊として、和紙の技術継承や工芸品製作に携わられています。
過酷な紙漉き……だからこそ、次の世代に遺したい
泉貨紙について様々なお話を聞かせて頂き、一番印象に残ったのは泉貨紙保存運動が起こった際の出来事でした。
実際に紙漉きを生業としていた方々から、「やめてくれ」と反対されたそうです。
紙漉きは、冬の寒さ極まる折、冷たい水に手足を晒してひたすら作業する過酷な仕事でもあります。あんな苦しいものを残して何になる……そういう意見もあったと言います。
だからこそ、厳しい環境の中で受け継がれてきた貴重な技術を途絶えさせてはならない。そうした志を若い世代の方々が心に灯し、今も和紙が漉かれているという事実に胸が熱くなりました。
鬼北町での泉貨紙保存会は、現在鋭意活動中です。昨今、国内で生産される和紙の原料は多くが輸入されていますが、鬼北町では地元で楮を育てる取り組みを行っているとのこと。今後の活動も応援したいですね!
もっと知りたい、もっと触れたい、和紙のこと
今回、鬼北町で泉貨紙と出逢うことで、まだまだ知らない和紙の世界があることを改めて実感しました。
その土地土地によって、製法も材料も、和紙を使った文化も、多種多様な違いがある。そして、それを守っていこうとしている方々がいる。決して当たり前ではない現状に感謝しつつ、もっともっと和紙のことを知りたいと意欲が高まりました!
知っているようで知らない和紙の世界、今後もお届けしてまいります。興味を持ったところから、ちょっとでも触れて頂けたら幸いです。
◆鬼北町泉貨紙保存会についてhttps://www.maff.go.jp/chushi/kohoshi/mag_newsletter/attach/pdf/bn180238.pdf
https://www.town.kihoku.ehime.jp/uploaded/attachment/10154.pdf
◆鬼北町地域おこし協力隊・粟野さんのご活動について
インスタ: https://www.instagram.com/reitennichi/
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