古代緑地 Ancient Green Bert 第11話 『花の窟(はなのいわや)』
おこりん坊の ぷんこちゃん です
いつも 怒ってばかりで
プンプンしています
こんなに↑!
尖がって イガイガして 手が付けられない
棘だらけの 時もあるんです
口から火を吐き 身体は炎をボウボウ噴き上げ
熱で姿はユラユラして ときおり骨が爆ぜる音がします
目の奥の闇には 赤い焔がチラチラしています
ぷんこちゃんは どうしてこんなに 一体全体 なにに 怒っているのか
自分でも 本当は わからないのです
ものごころついた時から ずっとこうなのです
とうとう 怒りすぎて その焔に焼かれて 真っ黒な煙に包まれて
燃え尽きてしまいました
ぷんこちゃんは 炭になって 最後の最後 「おかあさん」と言って 涙を一粒こぼしました
青い海から
ひたひたひたひた寄せてきた光の波が
消し炭のようになった ぷんこちゃんを まるく包みました
スカスカのぷんこちゃんに 光のようで 同時に水や大地のようでもあるおもいものが満ちてきて
みどりの芽が むっくり 起き上がりました
光のいざる波は ぷんこちゃんの 死んでしまったおかあさん
ぷんこちゃんが 生まれたのと引き換えに 死んでしまったのでした
だからぷんこちゃんは ずっとずっと さみしくて 辛くて 怒っていたのです
おかあさんは ぷんこちゃんに
言いました
「熱い火は ここにしまうと ちょうどいいのよ 」
両手で包んだ 炎を ぷんこちゃんの胸の蓋を開けて しまってくれました
「これで 安心 」
ぷんこちゃんは 胸が熱くなって ドキドキしはじめて 生き返ったのです
おかあさんに 会えて おかあさんが怒っていないってわかったので
ぷんこちゃんは もう 棘を出したり 火を吐いたりしなくていいのです
やさしくあったかいぷんこちゃんになったのです
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古代緑地 第11話 『花の窟』
今日は母の日 熊野の花の窟神社で見えた光景から生まれたイザナミとカグツチの物語
2020/5/10
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