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ことのはいけばな

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花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。地軸の傾いた地球に乗って、太陽の周りを一巡り。花を立て言葉を立てて、遊行します。
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ことのはいけばな 冬至 第66候『雪下出麦(ゆきくだりてむぎのびる)』

ことのはいけばな 冬至 第66候『雪下出麦(ゆきくだりてむぎのびる)』

いよいよ年の瀬。

*金色の穂麦の夢はつごもりに
*月隠れ蝋梅の花灯りたり
*初詣参道の脇花手水
*手水舎の遊女も笑って花灯り

ことのはいけばな 冬至 第65候『麋角解 (さわしかのつのおつる)』

ことのはいけばな 冬至 第65候『麋角解 (さわしかのつのおつる)』

12・26。納めたクリスマスツリーを撤去する。毎年複雑な思いになる時期だ。
3メートルほどのオフィスに立っていたもみの木は、もうパサパサになっている。
切れば、香りはまだ残っているものの、再生の見込みは少ない。都心では植えるところもない。土に返すこともできない、チップにするため持っていくには手間がかかりすぎ、量も少ない。

太い枝は、ゴトンと落ちる。軽くなったとはいえ、日曜日のオフィスフロアにその

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ことのはいけばな 小寒 69候 『雉始雊(きじはじめてなく)』

ことのはいけばな 小寒 69候 『雉始雊(きじはじめてなく)』

成人式の日。どんど焼き。

三色の南天を活ける。

*小正月雉鳴くに似た花となり

*成人のけんもほろろを怖れるな

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三色の南天ももいろめずらしき

3代にわたりて難を差し戻し

↓少年の頃 どんど焼き

*三色の繭玉揺れてどんど焼き書き初め苦手になりしあの年

*帰り道なにやら侘びし小正月だるま火の中張りぼてボディー

*どんど焼き焦げた半紙の空に消え

*どんど焼き黒焦げ半紙の消失点

ことのはいけばな 大寒 72候 『鶏始乳(にわとりとやにつく)』

ことのはいけばな 大寒 72候 『鶏始乳(にわとりとやにつく)』

第72候、つまり一年の最後にこの候のある意味の重さ。スピルオーバーによるパンデミックの中で殊更に。2022・2・3
「初鶏」「鶏旦」「鶏日」などの言葉もあるように、鶏は暗い夜の終わりを告げ、太陽を呼ぶ鶏。暗い冬から春となる時期。彼らは卵を産み、孵すため鳥屋(とや)に入る。
「寒卵」という季語もある。この卵はヨーロッパならイースターに欠かせない。日本のひな祭りという言葉も決して無関係ではないだろう。

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ことのはいけばな 立冬 第57候『金盞香』

ことのはいけばな 立冬 第57候『金盞香』

 「金盞」とはなるほどと思う。昔、中国では、スイセンの花の真ん中にある黄色い部分を黄金の杯(金盞)に、白い花弁を銀台にたとえて、「金盞銀台と呼んでいたそうだ。水仙の副花冠(コロナ)が「金盞」にあたる。

    水仙の金色の盃なみなみと秘める香りのたぷんと揺れて

ことのはいけばな 小雪 第58候『虹蔵不見』

ことのはいけばな 小雪 第58候『虹蔵不見』

 目には見えないが、不意に、たまたま訪れる声なるもの(=音連れ)がある。こうした「ファーストコンタクト」と呼べる現象は名のある宗教家やシャーマンたちばかりではなく、誰にでも確かにあって、不思議な人とか、変わってるとか言われるのであまり表に出さないけど、そういう声に素直になっている方がうまくことが運んだり、心持ちが楽だったりする。そうしたことは竹倉さんのいう通り全く不思議なことでは実はない。声は遍く

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ことのはいけばな 小雪 第60候『橘始黄』

ことのはいけばな 小雪 第60候『橘始黄』

冬の午後 光を搾った 橘も 
  庭より眺む 竜胆の暮れ

色抜けて 茎枝あかく 冬の花
  低い黄道 子守唄聴き

ことのはいけばな 大雪 第61候『閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)』

ことのはいけばな 大雪 第61候『閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)』

『礼記』の月令には「天気上騰シ、地気下降、天地不通、閉塞シテ冬ヲ成ス」と記され、天の気は空に上がり、地の気は地中に閉蔵され、天と地が分かれ、通じ合わなくなって冬になるという意味です。春から秋まで行われていた天地の交流が終わり、お休み期間に入るような感じです。
花の稽古は神社の杜の剪定枝も使っての冬至飾りを作った。

  そらをみつ 山の麓の虚空蔵 ガランガランと 眼玉の揺れる

  ひっそりと 虚

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ことのはいけばな 大雪 第63候『鱖魚群』

ことのはいけばな 大雪 第63候『鱖魚群』

植物に埋め込まれているcodeを読みながら、音楽のように音色が流れ、巻物が開かれていくように物語が聞こえたら、生命はそのようにきっと一緒に世界で踊っているとしたら、滅びて生まれて滅びて生まれて輪廻の物語。冬至を前に月も満ちてきて、星々が語る神話の断片にどうにか触れたくて、こうして虚実被膜の世界を立ち上げているのかもしれない。

  
  
  さかのぼる 銀色の矢の ひるがえり 月の白瀬に 沸きか

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