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ことのはいけばな

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花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。地軸の傾いた地球に乗って、太陽の周りを一巡り。花を立て言葉を立てて、遊行します。
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#24節気72候

ことのはいけばな’22  立春 第一候『東風解氷』2・4〜

ことのはいけばな’22 立春 第一候『東風解氷』2・4〜

花を活けるように、言葉を三十一文字ほかの器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。

*歌つくり人間以外のものとなる

*木蓮の花弁の傷にふれるまい

*木蓮のレンゲで春を掬わんと

*木蓮のコートはだけてことのほか

*木蓮も裳裾ひらいて東風まねく

*如月に衣を脱いで粋だねい!

*木蓮の花弁の立ちて囲いたる厳かに溢る蘂守らんか

*紅季三寒四温で烟り立つ

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ことのはいけばな 大寒 72候 『鶏始乳(にわとりとやにつく)』

ことのはいけばな 大寒 72候 『鶏始乳(にわとりとやにつく)』

第72候、つまり一年の最後にこの候のある意味の重さ。スピルオーバーによるパンデミックの中で殊更に。2022・2・3
「初鶏」「鶏旦」「鶏日」などの言葉もあるように、鶏は暗い夜の終わりを告げ、太陽を呼ぶ鶏。暗い冬から春となる時期。彼らは卵を産み、孵すため鳥屋(とや)に入る。
「寒卵」という季語もある。この卵はヨーロッパならイースターに欠かせない。日本のひな祭りという言葉も決して無関係ではないだろう。

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ことのはいけばな 大寒 70 候 『欸冬華(ふきのはなさく)』

ことのはいけばな 大寒 70 候 『欸冬華(ふきのはなさく)』

白読

派手に動くヴァイオリニストがもつヴァイオリンの形と
ピアノを弾くピアニストの後ろ姿は相似形。

天井は丸い方がいい。
頭蓋骨も丸いのだから。

効率の良さを重視した空間は四角ばかり。
音が綺麗に響かない感じがする。

更に悪い素材ばかりで囲まれた空間では、
花のもちだって悪い。
人は鈍い生き物になっている。
花の反応は真っ当。

楽器というのが人の身体の拡張でもあり、楽器によって、より高ら

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ことのはないけはな 霜降 第52候『霜始降』

ことのはないけはな 霜降 第52候『霜始降』

お友達へのブーケ。大きくなった。。。温室は花屋ではないので、時々こうしてご縁ある方からのご依頼を受けて、花を組みます。よいサプライズになったかな。また会える日を楽しみにしています。

冬の朝束ねた花の息をして霜踏むような心地こそすれ

ことのはいけばな 立冬 第57候『金盞香』

ことのはいけばな 立冬 第57候『金盞香』

 「金盞」とはなるほどと思う。昔、中国では、スイセンの花の真ん中にある黄色い部分を黄金の杯(金盞)に、白い花弁を銀台にたとえて、「金盞銀台と呼んでいたそうだ。水仙の副花冠(コロナ)が「金盞」にあたる。

    水仙の金色の盃なみなみと秘める香りのたぷんと揺れて

ことのはいけばな 立冬 第56候『地始凍』

ことのはいけばな 立冬 第56候『地始凍』

猿オガセ幹を伝ってどこまでも静かに枝を大地に返す
地衣類のはたらきなくばこの森のミタマノフユは目覚めぬものを

ことのはいけばな 小雪 第58候『虹蔵不見』

ことのはいけばな 小雪 第58候『虹蔵不見』

 目には見えないが、不意に、たまたま訪れる声なるもの(=音連れ)がある。こうした「ファーストコンタクト」と呼べる現象は名のある宗教家やシャーマンたちばかりではなく、誰にでも確かにあって、不思議な人とか、変わってるとか言われるのであまり表に出さないけど、そういう声に素直になっている方がうまくことが運んだり、心持ちが楽だったりする。そうしたことは竹倉さんのいう通り全く不思議なことでは実はない。声は遍く

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ことのはいけばな 小雪 第59候『朔風払葉』

ことのはいけばな 小雪 第59候『朔風払葉』

小雪となって12月、描くキャラはみんな寝ている。
みんな冬眠の時期なのだろう。北風が払う落ち葉の下で命は守られ春を待つ。

『古代緑地』という絵本シリーズは、ここでしっかり休んでまた始まる予感。

ことのはいけばな 小雪 第60候『橘始黄』

ことのはいけばな 小雪 第60候『橘始黄』

冬の午後 光を搾った 橘も 
  庭より眺む 竜胆の暮れ

色抜けて 茎枝あかく 冬の花
  低い黄道 子守唄聴き

ことのはいけばな 大雪 第61候『閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)』

ことのはいけばな 大雪 第61候『閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)』

『礼記』の月令には「天気上騰シ、地気下降、天地不通、閉塞シテ冬ヲ成ス」と記され、天の気は空に上がり、地の気は地中に閉蔵され、天と地が分かれ、通じ合わなくなって冬になるという意味です。春から秋まで行われていた天地の交流が終わり、お休み期間に入るような感じです。
花の稽古は神社の杜の剪定枝も使っての冬至飾りを作った。

  そらをみつ 山の麓の虚空蔵 ガランガランと 眼玉の揺れる

  ひっそりと 虚

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ことのはいけばな 大雪 第63候『鱖魚群』

ことのはいけばな 大雪 第63候『鱖魚群』

植物に埋め込まれているcodeを読みながら、音楽のように音色が流れ、巻物が開かれていくように物語が聞こえたら、生命はそのようにきっと一緒に世界で踊っているとしたら、滅びて生まれて滅びて生まれて輪廻の物語。冬至を前に月も満ちてきて、星々が語る神話の断片にどうにか触れたくて、こうして虚実被膜の世界を立ち上げているのかもしれない。

  
  
  さかのぼる 銀色の矢の ひるがえり 月の白瀬に 沸きか

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ことのはいけはな 立秋 第39候『蒙霧升降』

ことのはいけはな 立秋 第39候『蒙霧升降』

*会いたくて大口真神白き世に遠吠え遥か青き目かぎろい
*苔を踏み岩に雫の伝い落ち睫毛を袖を濡らす狭霧の
*狼の今にも緑の木の間から揺らぎ出るか足音もなく
*真っ白の細かき粒に閉ざされて杉の潜みに光る胸板

ことのはいけはな 芒種 27候 『梅子黄(うめのみ黄ばむ)』

ことのはいけはな 芒種 27候 『梅子黄(うめのみ黄ばむ)』

たまに父親ということを忘れている。

そんな親なので、父の日

もうちょっと猛々しさと重厚感を求められたのだろうか。

* 雪豹の サルエルパンツ 父の日に 琥珀といふ名の 羊羹合わせて

*ともすれば ふわふわとせり 父なれば ギフトを眺め 父永遠謎(父とはなに)か?

梅雨

* ひとしきり 雨のごとくに 紫陽花の 私の中を濡らして過ぎる

*ぽたぽたと 雨垂れのする 紫陽花の 不意に色も

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