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<こみろぐ|学び>大宇宙の探求者(3)

2020年は、色んな料理を作ることに挑戦している。
新しいメニューにもたくさん挑んだし、苦手だったお菓子も焼いた。

調味料を手作りしたり、「記憶レシピ」になっているメニューをもう一度、基礎から丁寧にやり直してみたりしている。

そして数日前、Instagramでフォローさせていただいている、Maori Murotaさんの投稿を読んで、ちょっとした回想モードになった。

パリ在住のMaoriさんが「ロックダウン後にさまざまなものを手作りするきっかけ」を、書いてらしたからだ。

そしてわたしもまた、自分がここ最近の行動のきっかけが、ロックダウンだったことを思い出した。

わたしが住んでいるところ(アメリカ東海岸・某州)は、パリ程の激しいロックダウンは起きずに済んでいるが、それでも春先には一晩でスーパーの棚から生活必需品がなくなったり、小規模の買い占めがあったりした。

スーパーの棚からはどんどん品物がなくなっていき、補充される気配がない。

生鮮食品も欠品が多くなり、特に「すぐに食べられるもの(パンやスナック、冷凍調理品、ボトル入りの飲みものなど)」はあっという間になくなって品薄になった。

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パンの棚には数えるくらいしか商品がなく、乳製品の棚もガラガラに。

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生鮮品もまた同じ。

以下の3枚はすべて違うスーパーの、開店中の様子だ。
「閉店前」の様子ではない。

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そのうち、欠品が続く生鮮品の棚には覆いがかけられ、空の冷蔵庫を動かさないようにするためか、棚そのものが一時的に機能しないようになっていた。

約1ヶ月くらいすると、スーパーの棚には少しずつ商品が戻ってきたが、買い物に行っても「そのものがない」という状態はまだ続いていた。

そうして季節が夏に向かうころ、ようやくファーマーズ・マーケットが再開したことで、少しだけ買い物がしやすくなったが、わたしはなんとなく、心もとなさを感じていた。

このことがある前から基本的に食事はすべて自分で作るし、特に砂糖と添加物と精製された食品をとらないようにしてきた。

そういう生活の中で「ないもの」の代用品を考えたりと「頭を使うこと」はずっとやってきたけれど、この「スーパーマーケットに供給を握られている状態」に対して、何かもうちょっと具体的なことはできないのだろうか。

…という、漠然とした不安があった。

自給自足したいとまでは考えていないが、もう少し生活そのものをシンプルにわかりやすく、そしてもっと安全にしたほうがいいように感じてもいた。

そんなときに出会ったのが、荻野恭子さんの「手作り調味料がある暮らし」という本だった。

そうか、ないなら作ればいい。

宣伝のために公開されていた内容の一部を読み、手作り調味料はまだ未体験だったものの「これならいけるかもしれない」と思った。

なにより、なぜかどうも気になったからだ。
こんなふうに感じるときは、わたしにはそれが正しい。

一週間ほどして届いた本を読んだところ、そこにあったレシピは予想通りあっけないほど簡単だった。

確かに、味噌系(コチュジャン、豆板醤)などは熟成の期間が要るが、ほとんどは「煮詰めたら終わり」「材料を合わせたら終わり」のようなものばかり。

そして家に材料が揃っていることがわかって作ってみたトマトケチャップは、びっくりするほど美味しかった!!

トマトケチャップにほとんど興味がなかった支配人が、スプーンに山盛りにして使うくらい、美味しいだけではなく、抵抗なく体が受け止めてくれる。

以前に使っていたケチャップは、市販品だ。

それでも砂糖や甘みが入っているのがいやで、とうとうたどり着いたのが「パレオダイエット」対応の「甘みをまったく使っていない製品」。

そして、そのときはその品物がロックダウンの影響で手に入らなくなっていて、次の手を考えていたところだったのだ。
そのタイミングでレシピが手に入り、しかも美味しくできたのはすごく嬉しかった。

しかも「自分が選んだものだけでできている」という安心感もある。
材料だって空で言えるくらい、少ない。

製品にするには毎回の味や色合いにムラがあるが、家で楽しむ分だけなら、まったく問題ないと思う。

自給自足は無理でも、買わなければ食べられないと思っていた食べ物が少ない材料で色々作れると知るとなんだか少し身軽になったようでホッとする。
〜Maori Murataさんのコメントより〜

わたしがそのとき感じたのは、まさにそれだ。
Maoriさんが書いてらした「少し身軽になってホッとした」感覚だった。

もっと工夫していけば、自分が作るもので生活をもっとシンプルにできるはずだ…と目先が開けたようにも感じた。

そこからはますますたくさんのレシピを調べて作ってみるようになり、今では樋口直哉さんのレシピでお菓子を焼くようになった。

これに挑戦するということは「お菓子作りだけは苦手だ」と長いこと思い込んでいたわたしには、大きな一歩。

このごくシンプルなりんごのタルトは、とっても美味しい。
口にした瞬間「自分に、こんなものが作れるなんて」と感動した。

こうして今や「手作り調味料」がきっかけで、わたしは「料理と科学」の関係に興味を持つことにもなったのだ。

これはたぶん、Maoriさんが同じ投稿で書いてらしたことがつなげたものだと思う。

手作りの喜びは、その美味しさは勿論の事、買えなくても自分で作れるという心強さを得る事でもあると思う。
〜Maori Murataさんのコメントより〜

心強さを得て、わたしはもっと前に進んでみたくなった。

テストがあるわけでも、ノルマがあるわけでもない。
自分のためにだけする勉強。

おそらく時間はかかるし、学んだところでなんの資格も得られないけれど、手にする技術と心強さは、きっとずっと自分のものだ。

学ぼう。
肩書きのない、ただの「Commy」として、生きるために。

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