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わたしの屋根に雪つもりつ・2022

このタイトル「わたしの屋根に雪つもりつ」は、大島弓子の作品のタイトルだ。

実際には、この冬はまだ一度しか雪は降っていないし、海の近くのこのへんじゃ、ストームが来たところで10センチも雪は積もらない。

でも、ずうっと前…CMSやブログサービスが始まる前から、大晦日に記事を書くときはこのタイトルなので、今年もそうする。
それを始めたころは「ひと晩で1メートル」なんて積雪がよくあって、実際に雪が屋根につもったまま、新年を迎えたりもした。

2021年の春から始まって、2022年もまたもう、すごかった。
いくつもの別れとお見送りがあり、たくさん勉強させてもらい、新しいものや新しいこととの出会いもあった。
元気だったり不健康だったり、自分の体との付き合いにも大きな変化があった。

でもなんとなく、それらを言語化しきっていない「今」、それらを綴ったところで自分以外が読んでも面白いものにはならないと思う。

なので、ポテトサラダの話でもしよう。

では。
「ポテトサラダ」というと、どういうものを思い浮かべるだろう?

ほくほくにマッシュしたじゃがいもなのか、粉吹きいもなのか、角切りでちょっと煮崩れたいもなのか、ざっくり崩したいもなのか、クリーミーでぽってりしたいもなのか。

色んなパターンがあると思うが、最大公約数的に「マッシュしたじゃがいもに、きゅうり・人参・肉もの(ハムやソーセージ)・玉ねぎが一緒になって、マヨネーズで和えられたアレ」ではないかと思う。

お店で頼んで出てきたら「うん、これこれ」ってなるあの感じ。
お弁当の隅にいたり、定食の野菜の隣にいたりする、あの感じ。

アンチョビやにんにくと一緒になった大人っぽいのもあるし、マカロニが入ったタイプもある(これにはソースをちょっとかけると美味しい)。

しかし、わたしの実家には、非常にストイック…としか言いようのない「ポテトサラダ」があった。

これまたいつものごとく「母はどこで覚えてきたのやら?」なのだが、わたしは実家以外では見たことがない。

それは、軽く焦げ目がつくくらいに炒めたベーコンとみじん切りの玉ねぎだけが具になった、ポテトサラダだ。

味付けは軽いマヨネーズと塩胡椒とベーコンから出た脂と少量の酢だけ。
人参やきゅうりといった彩りの野菜は何もなく、アイボリーのマッシュポテトにチラチラとベーコンのピンクが見え隠れするだけの、非常にストイックなルックス。

ソースも醤油もなにも足さず、そのまま食べる。
酒飲みのつまみになら、胡椒を多めに挽いてもいいかもしれない。

でも、それがとても美味しかった。

最大公約数的「ポテトサラダ」の作り方を知っていれば、再現できてしまうくらい、シンプルこの上ないものだ。

今でもわたしはそれをよく作る。
が、わたしは実家のものをだいぶ改変してしまったので、今ではたぶん「独自のポテサラ」になっていると思う。

一番の改変ポイントは「おから」。
わたしが初めて買った「料理エッセイ&レシピ」は魚柄仁之助の本なのだが、そこに載っていたのが「ポテトおからサラダ」、略して「ポテから」。

マッシュしたじゃがいもの半分を生おからに換えたポテトサラダで、カロリー(というか糖質?)も抑えられるし、食物繊維もたっぷり摂れる、というもの。
おからのおかげでタンパク質もしっかり摂れそうだ。

これと実家の「ストイックなポテサラ」を合体させたのが、わたしの「ポテサラ」。

つまりそれは「生おから+マッシュしたじゃがいも+塩でしんなりさせたみじん切り玉ねぎ+炒めたベーコン&その脂+マヨネーズ+塩胡椒+お酢」…でできている。

じゃがいもよりもおからの分量が多いほうが美味しい。が、多めの生おからとマッシュポテトを合わせると、非常にパサパサ、モサモサする。
それを解決するには、調味料をではなく「水」を足す。

実は、「最大公約数的ポテサラ」も同じなのだ。
マッシュしたもののときに限るが(粉ふきや角切りのときはまた違う)、いもの種類や状態によっては、蒸そうが茹でようが、マッシュしたときに水分が足らず、モッサリしてしまう場合がある。

そこへマヨネーズを足しても味が濃くなるだけで、パサパサ感はなくならない。酢を足しても酸っぱくなりすぎ、油を足したらくどくなっていく。

そんなふうに「パサッとしてるな」…と思ったら、そこへ単純に「水」を足すだけで、テクスチャがガラッと変わる。
「水」だから、余分な味を足さなくても済むのがいい。

混ぜながら、好みの感じになるまで様子を見て少しずつ水を足す。
塩気が足りないと思ったら、マヨネーズより普通に塩を足すほうがまとまると思う。

年始の買い出しで日系スーパーに行った際、久しぶりに「生おから」を買えたので作ってみた「ストイックなポテから」。

こんなふうに、出会った物事や人と、価値観や慣習にとらわれることなく新しい魅力や楽しみを生み出せるのは素晴らしい。
その一歩を踏み出す勇気を、いつも持っていたい。

これからもそうありたい…と願って、2022年を締めくくろう。

今年、別れた人・もの、出会った人・もの、みなさん本当にありがとう。
どなたにも、どれにも、幸せを願う。

2023年も、楽しく・美味しく・一生懸命、生きていくよ。


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