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<漫画>最果てのソルテ<1>(水上悟志)

「惑星(ほし)のさみだれ」「戦国妖狐」「スピリット・サークル」「プラネット・ウィズ」の水上悟志さんの最新作が、とうとうまとまった!!

その作品が、大っ…………好きで、すべての単行本を所持している作家さんのひとりだ。

1000ページ超えのネームが先にアニメになり(既に放送終了)、原作者本人がアニメを追う形でコミカライズしている「プラネット・ウィズ(月刊ヤングキングOURS)」と同時進行しているこの作品は、掲載ペースが四半期に一度なので少々ゆっくりめ。

でも、その分ページ数が多く、単行本には3話ぶんまでしか収録されていない。

「SFハイ・ファンタジー」とされているが、たしかにそうとしか言えない世界観だ。全体の雰囲気はRPG的ファンタジーだが、魔法はもちろん、科学もある。

そして、奇想天外な設定も!!
こんなところも水上作品ならでは。

「魔法汚染」された、そして魔法を「神」に禁じられた世界に住む少女・ソルテは、両親を亡くした孤児として村の村長に育てられている。
ある日、ソルテは偶然から「サルベイジャー」サリエラと出会うが、その出会いは、ソルテの運命を大きく変えていくことになった。
育ての親だった村長の正体を知り、サリエラの死をもって、ソルテは自分自身の運命を生きることを選ぶ。

「プラネット・ウィズ」がやや重めの作画(ベタが多いからか?)なのに対して、「ソルテ」は絵が洒脱な感じで、少し軽い印象を受けた。
でも、いつもながら全体的な絵の密度は心地よく、わたしの場合はそれを鑑賞するためにじっくり読むので時間がかかる。

特に、読み切りをのぞけば、たぶん初めてではないか(※)と思う女主人公、ソルテの表情が豊かでとても可愛い。

※「惑星のさみだれ」の主人公は夕日、「戦国妖狐」も主人公は迅火と千夜、「スピリット・サークル」の主人公は風太、「プラネット・ウィズ」は宗矢…いずれも男性

そんなソルテの意志と思いの強さに、1話からすっかり引き込まれた。

かの女を取り巻くキャラクターの個性やバラエティも楽しく、細かな演出でしっかりと個々のキャラが語られている。
かれらが今後に色々と何かが起きそうな「予感」を与えてくれるのがまた、ワクワクする。

この巻は、イントロから察するに先が長いであろうストーリーの「ベース」とともに描かれた「旅立ちの物語」なのだが、台詞や演出で読み手に世界観を理解させる手腕は、いつもながら素晴らしいと思う。

もちろん、伏線や考察点などもきちんと盛り込んであるので、読み返しても飽きない。

感情表現がはっきりしているソルテのおかげで、起伏のあるストーリーにも馴染めて感情移入しやすく、ソルテの「気持ち」がガッツリと伝わってくるのがいい。

1巻発売記念のインタビューも面白かった。

水上作品というと、キャラクターの名前にいつもひねりがあるように思う。

「惑星のさみだれ」の「朝比奈さみだれ」の姉は「氷雨」、母は「晴子」父は「時雨」、そして主人公は「雨宮夕日」で、そのライバルは「東雲三日月」…などなど。

関係のあるキャラクターには、なんらかのつながりが作ってあるように感じるのだ。

「最果てのソルテ」の場合、「ソルテ=シュガルン」という名前から「塩」「砂糖」を連想していて、そこに妖精の「セレン」が来ると「それは『セレニウム』のことなのか?」…などなど、キャラクターの名前に色々と思いを巡らせていたのだが、インタビューで「そんなことはなかった」ということをご本人の談から知って、つい、笑ってしまった。

それでも、「水上さんの頭の中で、無意識でなにかが働いているのかな」…などと思ってしまう。
それこそ「直感」というものなんだろう。

水上作品独特の「奇想天外な設定や展開」の秘密も語られていて、ニヤニヤしながら読んだ。

そのインタビューによると、実はこの「ソルテ」は「とある長編の水上作品」とリンクしている部分があるそうなので、いつどこでそれがわかって「ニヤッ」とできるのか、楽しみにしている。

なんとなく「あれかな〜〜」…っと思っているのだが、当たるかどうかw

今なら、1巻の直後の話にあたる「4話」がすぐにオンラインで読める。
予定どおりなら、「5話」は1/20に公開されるはず。


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