つらいときの友:ゆあん
趣味で音楽を作ることには、どんないいことがあるでしょうか?
私の場合、8年半ほど作曲を続けてみて、今感じるメリットは4つくらいあります。
日々の自分の記録になる
言葉にしにくい気持ちをアウトプットできる
気分転換になる
自作の曲を聴くことで自分のペースを保てる
1はまさに日記をつけるのと同じですし、2・3はストレス発散になります。そして今回紹介するゆあん(CNo23)は、まさに4に当てはまるもので、私はこの曲に救われたと言っても過言ではありません。
「ゆあん」は2017年3月11日生まれです。後で気づきましたが、東日本大震災のあった3.11から6年後に生まれた曲です。出だしから響いている音(HyperCanvasのsoundtrackという音色です)が、私の耳に「ゆあーん」と聞こえたことからこの名前をつけました。オノマトペの一種といっていいのではないでしょうか。
ちょうどこの曲を作り終わったころ、私の体に癌がみつかり、手術に続いて化学療法を受けることになりました。詳しくはまた別の回で書こうと思っていますが、救いになったというのはその治療中のつらさを和らげるのに役立ったということです。
化学療法の副作用は治療法によっても人によっても様々と思いますが、私の場合、「体の中にプチ爆弾を落とされた」ような全身あちこちの痛みと、なんともいえない腹部の不快感でした。そして水がまずく感じ、何も食べる気が起きません。義務感から無理に食べるので,生き物ではなくなったような悲しい気持ちになったものです.
冷や汗が出て、どうにも身の置き所がなく、夜眠ることができませんでした。睡眠薬を飲むのが嫌だったので、動画をみたり音楽を聴いたりしてごまかそうとしました。
いろいろ試した結果、私の場合は、護摩焚きの動画をみること(!)と、このゆあんを聴くのが1番つらさをごまかすのに効果的でした。曲の最初から最後まで貫く同じリズムとシンプルなメロディが、お経のように感じられたのかもしれません。こういう具合の悪い時にはお経っぽい曲が効くんだなあ、などと考えながら、やっと汗がおさまって眠りに落ちるのは心地よいものでした。
もともと自分にとって快適なリズムやコードで作っているので、いわばオーダーメイドの音楽セラピーになるようです。他の人にとってはそうでもないかもしれませんが、自分にとってはどの曲も大切なんだということを再認識した曲でした。
ところで、ゆあんといえば、中原中也の詩「サーカス」に出てくる「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」というのを思い出しますね。意識してつけたわけではないのですが、私もサーカスにおけるブランコの揺れと同じように、少しまったりとした風を感じるイメージで作りました。広大な海のイメージです。
これからも、自給自足ミュージックを続けていきたいと思います。
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