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「日揮HD、骨の再生用材料を量産 仙台の工場で」に注目!

日揮HD、骨の再生用材料を量産 仙台の工場で - 日本経済新聞 (nikkei.com)

日揮ホールディングス(HD)は19日、歯や骨の再生に使うリン酸八カルシウムの量産を始めたと発表しました。リン酸八カルシウムは骨をつくる細胞を活性化し、次第に骨の成分に置き換わります。まずは歯の治療向けに国内の医療機器メーカーに出荷します。将来は骨折などの治療にも適用できるとみて、2030年に売上高20億円を目指します。

機能材の生産子会社、日本ファインセラミックスが仙台市にある本社工場で生産を始めました。独自開発した装置で溶液を反応させ、リン酸八カルシウムの結晶をつくります。生産能力は1時間あたり170グラムと成人1人の骨の約3割に相当します。投資額は非公表。将来は年産能力を150キログラムと、現状の約8倍に引き上げます。

欠損した骨の再生では別の部位から骨を移植する手法が一般的です。ただ骨を採取する際に人体を傷つけるため、患者の負担が大きいです。リン酸八カルシウムは粉末を加工して患部に詰めるだけで骨の再生を促せます。

リン酸八カルシウムは大量につくりづらく、量産手法の確立が課題でした。リン酸塩の水溶液とカルシウム塩の水溶液を混ぜる際に、設備が目詰まりして反応が止まりがちです。日揮HDは目詰まりを防ぐ別の溶液も流すようにし、反応が1時間以上続くようにしました。

今後、超高齢社会の日本をはじめ、イタリアやドイツ等の欧州各国でも超高齢社会になってくる見通しの中、骨折等の治療において患者負担の少ない治療方法として、「骨の再生医療」にニーズが高まってきたそうです。

今回、日本ファインセラミックスは東北大学の鈴木治教授らと共に2013年にリン酸八カルシウム合成のスケールアップに着手し、2023年3月に副生成物を伴わない均一組成のリン酸八カルシウムの連続晶析プロセスへの応用を成功させ、臨床評価に耐え得る量の合成を可能にしたとのことです。

今後、骨の病気になった方へ、負担の少ない形での治療を実現し、高齢者のQOL(Quality of Life:生活の質)向上につながることに期待しています。