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「日立『ガクチカは聞きません』 新卒ミスマッチ防止策続々」に注目!

日立「ガクチカは聞きません」 新卒採用面接、ミスマッチ防止策続々 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

企業の採用活動の主戦場だった新卒採用にも変化の波が押し寄せています。自社のカルチャーや仕事にフィットする学生を探り当てようと企業は知恵を絞ります。これまでの常識を破ることが出発点です。

「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)は聞きません」──。日立製作所は2023年、事務系新卒採用の最終面接を一変させました。導入したのは「プレゼン選考」です。「入社後どの職種で日立のリソースを使ってどんな社会課題に取り組みたいか。それはなぜか」を5分以内で説明してもらいます。

ある学生は新興国への留学中に経験した交通渋滞や防犯面の課題を踏まえ、「女性が安心して移動できる世の中へ」というテーマを設定。日立の無人運転技術や人工知能(AI)を活用した防犯システムで解決できると提案しました。そのプレゼンが評価されたこともあって同社への入社を果たしました。

「論理的思考や課題発見力を見極めやすい」。タレントアクイジション部の大河原久治部長代理は手応えを語ります。課題をどう設定するかで学生の個性が浮き彫りに。学生からも「キャリアについて考えるきっかけになった」などと好評で、内定後の辞退率は以前に比べ約10ポイントも下がったとのことです。2025年卒採用でも継続する方針です。

厚生労働省が2023年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、2021年3月大学卒の働き手で就職後2年以内に離職した人の割合は24.5%と、ほぼ4人に1人。2020年3月卒の人に比べて2年以内の離職率は2.6ポイント上昇しました。こうした傾向が続くようでは、お互いにとって不幸です。

ソフトウエアのテスト業務を手掛けるSHIFTは、企業が専門性やスキルを重視する風潮にあえて背を向けます。IT未経験の人材を年数百人単位で採用。外資系ホテルのバーテンダーがエンジニアとして入社したケースまであるそうです。

一見リスキーとも映る同社の採用を支えるのは、テスト業務への適性を測る独自開発の「CAT検定」です。プログラミングのようないわゆるITスキルではなく、正確性や伝達能力といった「素質」を問うのが特徴です。

開発時にはテストの素案を丹下大社長含むすべての幹部と社員が受検し、点数と社内での活躍ぶりを照らし合わせて内容をチューニングしました。合格率1桁の難関試験だが、未経験でも受かればほぼ確実に入社後活躍できるという期待感が求職者を引き付けます。

会社側はうわべのスキルではなく、スキルの土台となる素質を見たい。求職者側はせっかく手に入れた仕事でミスマッチを避けたい。CAT検定は両者のニーズを満たしているといえるでしょう。

売り手市場で採用の在り方は激変しています。

まず押さえるべきなのは、採用の早期化です。大学3年春には勝負が始まり、出遅れた企業が挽回するのは難しいです。内定承諾後の辞退も今や普通で、学生と連絡を取り続ける必要があります。「早期化と長期化が同時に起こり、採用担当は悲鳴を上げている」(ベネッセi-キャリアの岡本信也dodaキャンパス編集長)

採用コストは上昇が続きます。マイナビによると新卒は1人平均56万8000円。「高学歴層など需要が大きい人材なら100万円を超える」(人材サービス会社幹部)。中途採用のコストはより高いです。1人100万円はざらで300万円に達する事例もあります。

主要因は転職エージェントの紹介手数料率の上昇です。年収の30%が相場でしたが、「高度スキル人材では50%、時には100%に及ぶ」(ビズリーチの間瀬貴哉ビジネス開発統括部総合企画部長)。

株価とともに人手不足もバブル期並みですが、当時と今で採用の環境は全く異なります。かつての人気企業の多くはランキング下位に沈み、賃上げで「大卒初任給は20万円まで」の常識も過去のものとなりつつあります。認識の大幅なアップデートが必要です。

日立製作所の新卒採用のホームページには「ゆずれないものがある。」という一貫したテーマで展開されていて、とても読み応えがあります。また、ジョブ型人財マネジメントにおいて、「いい『働き方』って、なんだろう。」と問題提起をして、会社と社員の関係性について分かりやすく解説しているのが特徴でした。会社と社員が同じ方向を向いてお互いに成長していくことがとても大切で、個性を活かす取り組みを行っていることも解説しています。

日立で何ができるのか、何をしたいのかといった主体的な方々が、今後どのように活躍していくのか。今後の日立に期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。